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52 嬉しいこと続き

この日は、ジェイクがグレイさんを連れて帰ってきた。


「ただいま。」

「おかえりなさい、ジェイク。グレイさん、いらっしゃい。」

「グレイから大事な話があるらしい。談話室で良いな。」

「では、お二人分、そちらにお酒と食事を用意して貰いますね。」

「ああ、頼む。」

「いや、ジェイク。プルメリア様にも聞いて頂きたい。」

「そうか?それなら、食堂にするか?」

「話がメインでしたら、談話室でつまみながらが良いのではないですか?」

「それでお願いします!」


私達は談話室に移動する。

席に座ると、お酒とつまみが運ばれてきた。


皆、仕事がはやいわ。


「ありがとう。」


ライラとメランだけが給仕のために残る。


「それで、話は何だ?」

「………ライラさんと結婚させてくれ!」

「は?」

「ライラ?」


ジェイクは驚き、私はライラを見た。頬が少し赤くなっているが、無表情で頑張ろうとしている。


「貴方は承諾済み?」

「はい。」

「おめでとう。ジューン達には?」

「ありがとうございます。プルメリア様達の許可を得てから、話そうと思いました。」

「…順番はこちらが先で良いものなのかしら?」


私は、ジェイクを見る。


「はぁ…、グレイ。親御さんへの挨拶が先だろう?」

「これには理由があるんだ。」

「理由か?」

「…ライラ、貴方もそこでは無く、こちらに来て話しましょう。メラン、ここにいるのが気まずかったら、退室していいわ。」

「では、場違い感がありますので、退室いたします。」


メランは頭を下げてから退室した。

ライラは椅子には座ろうとせず、グレイさんの後ろに立った。


「座ったら?」

「仕事中ですので。」

「…そう。」

「話を戻そう。それで理由とはなんだ?」

「結婚したら、仕事がどうなるか分からないから、先に話したいと…。それから、」


グレイさんはライラを見る。


「それから、プルメリア様のお子様の乳母になりたいのです。」

「え?ライラ、もう赤ちゃんいるの!?」

「グレイ!お前は!」

「ちょっ、ちょっと待て!ライラさん、言葉が足りない!」

「…ライラ、説明をお願い。」

「はい。結婚してからのお二人の様子から、ご懐妊も近いのではないかと思いました。」

「あ、うん。」


改めて言われると、恥ずかしいわ…。


「その時に、グレイからこの話がありまして、それならすぐに行動すれば、乳母にもなれるのではないかと、考えました。」

「それで行動しちゃったと?」


私とジェイクはグレイさんに視線を移す。


「まだ、していない!」

「その前に許可を得ようと思いました。必要ないと言われる事もありますし。」

「えーと…。確かに乳母とかは考えてなかったかも。」

「そうなのか?」

「ええ。子育て経験者だし、何とかなるでしょう?」

「リア!」

「あ…。」

「………今、経験者と?」


私の言葉に焦るジェイクと、不思議そうなグレイさん。


「…俺が、あとで説明する。」

「よろしくお願いします。…とにかく、乳母の件は完全にお願いする事はないと思うけど、助けてほしい事があるのは確かね。」

「はい。」

「あとは仕事の事だけど、通いでも大丈夫ですよね、ジェイク。」

「ああ。しかし、家が遠いと通いも難しくなるのではないか?」

「グレイさんの今のお家は?」

「確か、騎士寮だったか?」

「そうだ。だから、結婚を期に探さなくてはならない。」

「うーん、この近くにどこかありましたっけ?」

「無いな。…この家の使用人スペースは、家族で住めるほど広くはないしな。本宅にお願いするのも違うだろう。」

「ジェイク、相談なんだが…。近くで土地を探したい。」

「ん?」

「この辺りはエメラルド家の管理になっているだろう?」

「なるほど。親父に話してみるか。」


そうして、ジェイクとグレイさんは、ジェイソンお父様へ話す為に本宅に行った。


結果、近くのエメラルド家の敷地に家を建てることになったそうだ。


「家ができても、こちらのライラの部屋もそのままにしておくからね。自由に使ってね。」

「はい、ありがとうございます。」

「あとは、ご両親への挨拶だな。グレイ、こればかりはお前次第だ。頑張れよ。」

「言われなくても。」


その数日後、ライラの結婚が決まった。





「ライラ、家の進行状況はどう?」

「小さい家ですので、そんなにかからないかと。」

「そうなの?」

「はい。私達には使用人もいませんし、家族で過ごせればそれで良いという事になりました。」


それは、私の前世の様な暮らし。

自分で掃除して、食事を作って、庭造りして、愛する人を待つ。


「…羨ましいわ。」

「え?」

「何でもないのよ。完成したら遊びに行っても良いかしら。」

「小さい所ですが、ぜひ。」

「ありがとう。楽しみだわ。」


そこへ、メランがやってきた。


「プルメリア様。スターチス様からお手紙です。」

「お兄様から?」

「はい。」

「何かしら。」


私はその場で手紙に目を通す。


「…まぁ!赤ちゃんが産まれたって!女の子だそうよ。」

「おめでとうございます。」

「会いに行ってもいいかしら。…でも、すぐに行っても疲れさせてしまうだけよね。落ち着く頃が良いわ。ジェイクにも相談しましょう。」


私はジェイクの帰りを待った。

侍女から、ジェイクが帰ったと伝えられた時は、急いで出迎えに行った。


「ジェイク。おかえりなさい。」

「ただいま。そんなに急いでどうした?」

「お兄様から手紙が、」

「スターチス?今日は会っていないな。」

「女の子が産まれたそうです!」

「それは、めでたい。祝をしなくては。」

「はい。1ヶ月くらいして、落ち着いてからお祝いに行こうと思うのですが、どうですか?」

「産まれたらすぐに祝いを出す物と思っていたが、1ヶ月おいても良いものか。」

「リカーナお母様へ確認しましょう。」

「そうだな。」


私達は、まだ夕方と言うこともあって、すぐに確認へ向かった。


「確かに産んですぐに来られるのは疲れていたし、眠かったから、迷惑だったわね…。言えなかったけれど。身内なのだし、手紙でその旨を伝えれば良いと思うわよ。」

「では、そうする。」

「急に来て申し訳ございませんでした。」

「良いのよ。」


私達は家に戻り、お兄様に手紙を書いた。


『産んで1ヶ月程は、安静にさせてあげてくださいね。この時期に無理をしても良いことはありません。

お祝いは、安静期間がおわり落ち着いた頃に、持って伺います。

その時にまた、予定をお聞きしますね。

お姉様にもよろしくお伝えください。』


「これをお兄様へ届けてくれる?」

「畏まりました。」



1ヶ月後…


私達はオパール家にいた。


「お兄様、お姉様、おめでとうございます。」

「ありがとう。」

「名前はアリスだよ。」


お兄様も、お姉様も幸せそうだ。


「当たり前ですが、まだ首も座っていませんね。」

「…ねぇ、リアは出産や子供に詳しいわよね?」

「詳しいのかどうかは別ですが、別の世界での経験はありますから。」

「今回、とても安産だと言われたの。貴方のおかげよ。…改めて他の妊婦さんに、話を聞かせてあげる気はないの?」

「それは…」


ボロが出そうだし、人伝で話すくらいで丁度いい。


「…そうよね。」

「ジャスミンが色々聞いて、良いと思ったものを、教えてあげたら良いじゃないかな?」

「そうするわ。出産前の散歩みたいにね。…リア、他にもあったら教えてね。」

「はい。」

「リア、祝の品を忘れているぞ。」


話の区切りがついた所で、ジェイクが袋を前に出した。


「そうだった。」


少し大きめのドレスと、着ぐるみ数着、そしてスタイを多めに用意した。


「開けてもいい?」

「どうぞ!」

「可愛い!チス、これ!」

「着せてみたくなるな。」

「着せてみましょう。えーと、これなら…」


お姉様は小さめの猫の着ぐるみをアリスに着せた。


「可愛い!!!!!」

「はぁ。ため息が出る程、可愛いね。」


そこへお父様と、お母様も来た。

そして、アリスを見て悶絶している。


その横で、お姉様は私に言った。


「今回は女の子だったから、次は男の子ね。」

「もうですか?」

「女の子は嬉しいけれど、やっぱり跡取りは必要だと思うの。」

「あ、それなら、」


私は、お姉様に産み分け方法を耳打ちした。


「!…頑張るわ。」

「いえ。お姉様だけではなく、お兄様次第という所もあります。」


それを聞いたお兄様も話に入ってくる。


「そうなのか?どんな方法なんだ?」

「体調が戻ってから、お姉様に聞いてください。」

「私から説明するの!?」

「お願いします。」

「俺も知りたい。」


ジェイクまで…。


「でも、どちらでも嬉しいですよね?」

「もちろんだ。」


話はそこまでにして、私達はお姉様の負担にならない様に早々にお暇した。





この日は朝に、ライラから嬉しい報告があった。


「家が完成しました。」

「そうなのね。おめでとう。」

「それから、あの…。」

「どうしたの?」

「……子供を授かりました。」


ライラが顔を赤らめながら話す


「おめでとう!いつ分かったの?」

「ありがとうございます。つい先日分かりました。」

「家が完成して、妊娠も発覚しておめでた尽くしね!グレイさんも喜んだでしょう?」

「あ、いえ。まだ言っておりません。」

「え?」

「まずはプルメリア様へと…。」

「グレイさんへの報告はいつする予定?」

「考えていませんでした。次にあった時にでもします。」

「なんか順番が違う気がするけれど、それなら。ふふふっ。」

「プルメリア様?」

「ジェイクにグレイさんを連れてきてもらいましょう。」

「?」


私はすぐにジェイクに手紙を書いた。


「そういえば、悪阻は?」

「気持ち悪さはあまり。」

「そう。食べ悪阻とかもあるし、気持ち悪さだけではないから、少しでもいつもと違う事があったら休むのよ。」

「はい。ありがとうございます。」


夕方には、グレイさんを連れてジェイクが帰ってきた。


「ただいま。」

「おかえりなさい。」

「お邪魔します。なんか、家の完成祝いをして頂けるそうで、ありがとうございます。」

「ふふっ。今日は食事だけですが、引っ越した時に、改めてお祝い贈ります。ライラ、今日はもう仕事終了よ。着替えてきて。」

「はい。」


私達はライラを待って、食事をした。そして、その時間が来た。


「いつ引っ越すんだ?」

「まだ決めていないんだ。でも、近い内に式をあげて、引っ越すつもりだ。」


私はライラを見る。


「グレイ。次の休みにお父様達と式の日付を決めましょう。」

「ん?次の休み?」

「ええ。招待者は少ないですし、近い方ばかりでしたよね?」

「あ、ああ。俺は貴族でも無いし、家族と同僚さえ呼べればいい。」

「私もです。なので、式はできる一番早い日で行ないましょう。」

「?」

「ライラ。言葉が足りていないわよ。」


ライラも緊張しているのかしら。


「失礼しました。………子供が出来たので、早めに式をあげましょう。」


ライラは小声で言ったが、グレイさんには聞こえたのだろうか?


「………………え?こ、ども?」


聞こえていたみたいね。


「はい。」

「よしっ!」


グレイさんはガッツポーズをした。


「グレイ、おめでとう。」

「おー、ありがとう。」

「おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「リアは知っていたのか?」

「今日、聞きました。でも、まだグレイさんに話していないと聞いたので、大きなお世話をやきました。ごめんなさいね。」

「いえ。今日聞けて良かったです。」

「悪阻も軽い様だし大丈夫だと思うけど、安定期はまだだと思うから、無理は禁物よ。」

「はい。」

「あとは、聞きたい事や、不安な事はある?」

「えーと、」


ライラは話す事を躊躇しているようだ。


「ん?聞きづらい事?」

「…」


ライラは私の耳元に口を寄せた。


「あー、そういう事。」


話し終わったライラは顔を赤くしている。

ジェイクとグレイさんは不思議そうな顔をしている。


「私達、少し席を離れますね。」


私は微笑み、ジェイク達に断わってから別の部屋へ移動した。


「ライラ、さっきの事を話す前に1つ良いかしら?」

「なんでしょうか?」

「まさかとは思うけれど、繋ぎ止めたいから身体を開いたのではないわよね?」

「それは、違います!」

「それなら良いのよ。それでは、さっきの話だけど、妊娠初期は安静。でも安定期に入れば、大丈夫よ。でも、いつも以上に優しくね。」


ライラの悩みは簡単に言うと、妊娠中にグレイさんが浮気をしないかだった。


心配する必要はないと思うけれど…。


話をした後はジェイクたちの所に戻った。


「何の話だったんだ?」

「女同士の秘密です。」

「そうか。グレイ、今日は泊まっていくだろう?酒を飲もう。」

「ジェイク。ライラの妊娠が分かったばかりですよ?二人で過ごしたいに決まっているでは無いですか。グレイさん、お部屋を用意致しますね。」

「ありがとうございます。」


私達は食後のお茶を飲んだ後に、各部屋へ行き休んだ。



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