51 覚えてない…
うーん、よく寝た!
私は1度背伸びをした。そして、ふと気づく。
部屋?
私、食事してなかった?
…夢?
いやいやいやいや、そんな訳ないよね。
「リア、起きたか?」
横にいるジェイクが目をあけた。
「ジェイク?おはよう?」
「体調は大丈夫か?」
「とても、スッキリしているけれど。」
「そうか、それなら良かった。頭が痛かったり、気持ちが悪かったりはしないんだな?」
「ええ。何も。」
「記憶はあるか?」
「えーと、食事をしてたら、いつの間にかベッドに…。」
「…ないんだな。」
「はい…。」
「はぁ。」
ジェイクが溜息をついた。
「リア。今後、俺以外と酒を飲む事は禁止だ。」
「…そんなに酷かったのですか?」
「馬車の中で、襲わなかった俺を褒めてくれ…。」
どういう事かしら?
襲いたくなる酔い方?
キス魔になるとか、服を脱ぎたくなるとか、甘えるとか?
よく分からないけど、迷惑をかけたのは確かなのよね…。
「ごめんなさい。お父様もお兄様も酔い方が可笑しいと思ったことが無いので、私も大丈夫だと思っていたのです…。」
「そう落ち込むな。リアの酔い方は可笑しくはない。可愛くて、色っぽいだけだ。」
「!」
何したんだ、私!
「本当にごめんなさい。迷惑をかけました。」
その時、お腹がグゥっと鳴った。
「ククッ。今は、まだ夜だ。お腹が空いているなら何か食べよう。」
「…はい。」
私はベッドから起き上がり、ジェイクと休憩室に移動した。
テーブルの上には軽食が置かれている。
おにぎりだ!
「夕方に物音がしたから、用意してくれていると思っていたんだ。」
私達はおにぎりを食べていく。
「これは昆布です。」
「こっちは、…ん?なんだこれ。」
「見せてください。…あー、これは魚のフレークですね。」
「フレーク?」
「魚を崩して、味をつけて炒めます。」
「へえー、美味いもんだな。」
おにぎりを食べ終えると、お茶を飲みながら少し話す。
「リア。オパール婦人は酒を飲まないと言っていたが、飲んだ時の話も聞いたことは無いのか?」
「飲んだ事はあるみたいですが、詳しくは教えてはくれませんでした。」
「そうか。…リア。今度はここで飲もうな。」
ジェイクは、眩しいくらいの笑顔をこちらに向ける。
「はい…。」
その後は寝直し、無事に遠乗りに行くことができた。
それは良いとして…。
その日の夜、早速お酒の瓶を持って、にこやかにしているジェイクが休憩室にいた。
そして、次の日は起き上がれず、ベッドの上で過ごすことになり、数日前の様にジェイクに世話をされるのだった。
「明日から、お仕事復帰ですね。」
「…行きたくない。」
「あら。ジェイクでも、そういう日があるのですね。」
「いや、初めてだな。…リア、一緒に行こうか。」
「何を…。」
「リアが居ればいつも以上に頑張れる気がする。」
「美味しいものを作って待っていますから、頑張って来てくださいね。」
「………分かった。」




