表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/72

49 新しい生活②

「ふぅ。ヤミありがとう。」

「相変わらず、良い動きですね。」


ヤミは、あの事件での動きのことを言っているのだろう。


「でも、身体が重いわ。やっぱり、毎日少しでも動かないと駄目ね。また、よろしくね。」

「はい。」


隣を見ると、ジェイクとノアが手合わせしている。


「これは、なかなか終わりそうはないわね。…サム、皆、準備はできた?」

…「「「…」」」…


返事がない。


「おおーい!」


私はサムの前で、手を振る。


「はっ!…プルメリア様、何処までも付いていきます。」


サムが片膝を付き、頭を下げる。

サムに続いて、他の侍従や侍女も同じ姿勢をとった。


ええー!何これ?…こわっ。

私、教祖的なものになった覚えないけど…。


「あ、うん。…ありがとう?」

「…クッ。」


私が少し引いていると、ジェイクの笑いを堪える声が聞こえる。


「ジェイク。堪えきれていませんよ?」

「ははは。すまん。…まさか、ここまでになるとは、予想外だった。」

「プルメリア様。少し休憩なさいますか?」


ライラが休憩の準備をしてくれていたようだ。


「ジェイク。どうなさいますか?」

「お茶をひとくち貰おうか。」

「はい。ライラ。」

「はい。」


お茶を飲んだら、また手合わせを続ける。


「ライラは侍女達に、ノアは侍従達に稽古を頼めるか。」

「「畏まりました。」」

「サムも揉まれてこい。リアは、俺の相手をしてくれるか?」

「喜んで。」


皆でそれぞれ動き始めた時、


「おお!やってるな。」

「親父。」


ジェイソンお父様がやってきた。


「お前達が運動場に来ていると聞いて、俺も出てきてしまった。」

「母上は?」

「まだ寝ているよ。プルメリア、後で相手をしに行ってあげてくれ。」

「リカーナお母様の予定が良ければ、お茶の時間に、お茶請けを持って行きます。」

「伝えておく。」

「よろしくお願いします。」


その後は、私達の手合わせを見てアドバイスをして、戻っていった。


「そろそろ戻ろうか。」


ジェイクに言われ、皆で家へ戻る。



朝食を食べた後、私はロック料理長の所にいた。私の後ろにはライラと、サムがいる。

サムは、私がここに来ると聞いて不思議そうにしていた所を、ジェイクに言われて連れてきた。


「お茶請けを作りたいのだけれど、材料は使っても大丈夫かしら?」

「ここにあるものでしたら、余裕をもって準備してございますので、大丈夫です。」

「分かったわ。えーと…、ドライフルーツのパウンドケーキが作れるか。後は、しょっぱいものも欲しいな。…ポテトチップスにしましょう。」

「ぽてとちっぷす、ですか?」


サムはやはり不思議そうだ。

慣れているロック料理長は必要な道具等を持ってきてくれた。


「じゃがいもはどれくらい使いますか?」

「そうね…。30人分くらい出来そう?」

「はい。大丈夫です。」

「お茶請けに、じゃがいもを使うのですか?」


サムが驚いている。

しかし、その問いには誰も答えず作業をすすめる。

私がパウンドケーキを作っている間に、ロック料理長がじゃがいもを薄切りにしておいてくれる。


「ありがとう。とても助かるわ。」

「有難きお言葉。」

「また、そんな堅苦しい言い方。」


パウンドケーキが焼けて、粗熱が取れた頃には、ポテトチップスも殆んどが揚がっていた。


「後は任せてもいい?出来上がったら、皆で食べてね。」


私は、パウンドケーキと11人前のポテトチップスを持ってジェイクの所へ行った。


「ジェイク。出来たからリカーナお母様の所へ行きましょう。」

「美味しそうだな。」

「まだ駄目ですよ。リカーナお母様と食べるのですから。」

「分かっている。」

「この半分は、ここに居るサム、ライラ、メラン、ヤミ、ネーロ、クロの分よ。」


私は、小分けにした6人分をサムに渡した。

ネーロも姿を表す。


「やった!プルメリア様、ありがとうございます。監視が終わってからだと、無くなっているだろうから、食べられないかもと思っていました。」


ネーロが喜びの声を上げる。


「今、監視当番はヤミとクロ、ネーロよね?ヤミとクロにも持って行ってね。」

「はい。」


返事をして、すぐに消えた。


「そういう理由で、あなた達3人へもよ。」

「いつもお気遣いありがとうございます。」


ライラとメランが頭を下げる。

サムはまだ動かない。


「執事長がいらないなら、私が頂きますが?」


メランが全てを受け取ろうとすると、サムはポテトチップスを抱え込んだ。


「頂きます。」


私とジェイクは、顔を見合わせて笑う。


「では行こうか。お前達はそれを食べていろ。」

「…お見送りします。」


サム、ライラとメランは、ポテトチップスが入った紙袋を持って見送ってくれた。


ジェイクが荷物を持ってくれて、散歩がてら本宅まで歩く。


「手合わせもしたし、朝からずっと動いているが、…身体は大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。」

「それなら良いんだ。」

「心配してくれて、ありがとうございます。」

「いや。…今日は気持ちが良い日だな。」

「そうですね。」


本宅では、リカーナお母様が玄関で出迎えてくれた。


「プルメリア。いらっしゃい。」

「お邪魔いたします。」

「母上。リアがお茶請けを作ってくれた。一緒に食べよう。」

「まぁ。ありがとう。早速、お茶にしましょうね。」


談話室に移動し、お茶を用意してもらう。

テーブルの上には、持ってきたポテチとパウンドケーキが並ぶ。


「これは?」

「ポテトチップス、じゃがいもです。」


リカーナお母様は、ポテチを口に入れる。


「パリパリで美味しい!止まらなくなるわ。」


続けて口に運んでいる。

そして、次はパウンドケーキ。


「こちらはケーキね。」

「はい。」

「うーん!これも美味しいわ。甘いのと、しょっぱいものが一緒だといくらでも食べられそうね。」

「パウンドケーキは、2、3日置くともっと美味しくなりますよ。」

「そうなのね。それでは、残りは後で食べるわ。」

「ぜひ!」

「ジェイク。こんなに美味しいものを、食べられて幸せね。」

「ああ。本当にそうだと思う。」

「そう言って頂けると、作ったかいがあります。また作ってきますね。」

「ありがとう。楽しみにしてるわ。」


お茶会はにこやかに終わった。


帰り道…


「休みも折り返し地点だな。」

「早いですね。」

「明日、天気が良かったら、また遠乗りでも行くか?」

「良いのですか?」

「身体が大丈夫なら、だけどな。」

「…」


手加減してくれているだろう状況で、もっと手加減してくださいとは言えない…。

そうだ!主導権をにぎれば!


「リア?」

「大丈夫です!」


私は、ジェイクに向かって微笑んだ。



今は真夜中、作戦は失敗に終わった。


頑張った、頑張ったのよ…。


私が攻める形にして、始めは言う通りにしてくれていた。

でも焦らしすぎて、結局『我慢できない』と、主導権はジェイクへ。


明日(と言うか、もう今日?)は遠乗りの筈だったのに、きっと無理…。


私は布団を、頭までスッポリ被った。


「リア。怒っているのか?」

「怒っていません…。」

「それなら、顔を見せてくれ。」


チラッと顔を覗かせる。


「遠乗りは行けそうにありません…。」

「…すまん。」

「…こちらこそ。すみません。」

「何故、リアが謝る。」

「だって、……私が焦らしすぎたから。」


ジェイクが自分の口元を抑え、目を閉じる。


「確かに、あれは燃えた。」

「ジェイク!?」

「妖艶なリアに、我慢がきかなかった。」


!!


「と、とりあえず、もう休みましょう。」


上半身をおこしていたジェイクの腕を引いて、横にならせる。


「おやすみなさい。」

「おやすみ。」


私はジェイクの腕を抱き枕のようにして眠りについた。



朝、私は腰が痛いものの、思ったよりも回復していた。


「リア、起きたか?」

「はい。おはようございます。」

「おはよう。今日も天気が良さそうだ。外で朝食を食べよう。」


カーテンの隙間から、暖かそうな陽の光がキラキラしている。


「気持ち良さそうですね。」

「運動は止めておくか?」

「そうですね。ストレッチだけにします。」

「分かった。俺は、朝食の事を伝えながら、ついでに少し動いてくる。」

「はい。いってらっしゃい。」


ジェイクは目を見開いたあとに、満面の笑みになる。


「行ってくる。」


…素敵。


私はベッドから起き上がり、ストレッチを始める。少しすると、ドアがノックされる。


コンコンコン


「どうぞぉ。」


ストレッチは止めずに、返事をする。


「失礼致します。プルメリア様、おはようございます。」

「メラン、おはよう。そっか。今日はライラが休みの日ね。」

「はい。それなのに、もう起きて活動しています。」

「ふふふっ。メランは、休みの日ゆっくり起きる派?」

「はい。昼まで寝ています。」

「1度起きてからの、2度寝は最高よね。」

「そうなんです!…っと、失礼致しました。」

「良いのよ。メランらしくて安心するわ。」

「プルメリア様…。ストレッチのお手伝いはいりますか?」

「それなら、背中を後ろから押して。」

「はい。いきます。」

「ゔー、きくぅ。」


ストレッチを終えて、着替えなども終わる頃には、ジェイクも戻ってきた。


「外の準備も出来ていたようだし、汗を流してくるから朝食にしよう。」

「はい。」


『汗を流すお手伝いを。』と、言いたい所だけど、そんな事を言ったら、今日は外にも出れなくなるのは分かっている。


だから、また今度にしよう。そうしよう!


私は大人しく、ジェイクの準備が終わるのを待ち、一緒に外に出た。


外に用意されたテーブルには、サンドイッチやフルーツが並べられていた。


「美味しそうですね。」

「ああ、そうだな。」

「何から食べようか迷います。ジェイクは、決まりましたか?」

「俺はこれだな。」


ジェイクはローストビーフのサンドイッチを手に取った。


「こういう肉系のサンドイッチを見ると、スジ煮を思い出す。」

「ロック料理長に言って、材料がある時にまた作りましょうか。」

「頼む。その日が楽しみだ。さてと、遠乗りは明日にして、この後は何をするかな。…そうだ。街に行くか?」

「良いですね。そうしましょう。」



私達は朝食を食べ終えてから、街へ向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ