表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/72

47 新居

エメラルド家へ向かって、馬車が出発する。

いつも通り、私はジェイクの膝の上だ。


「リア。」

「ジェイク。」


私達は見つめ合い…。


先程の仕返しです。


私は、自分から口づけをし、さらに深くした。


「!?」


ジェイクが驚いて離れようとするが、私はジェイクの頬を両手で抑え続ける。

口腔内を存分に味わった後、ゆっくり口を離した。


「リ…ア…。」

「ジェイク、先程のお返しです。」


ジェイクはボーッとしている。


あれ?


「ジェイク。あの…。」


やりすぎた!?

と言うか、前にジェイクだって激しいキスして来てたよね?


少しすると、ジェイクがゆっくり話し出す。


「…される側は、初めてだったので驚いた。気持ちが良いものだな。」

「そうですか。」


ジェイクは、受け身もイケると…。なるほど。

私達は、結婚したのです。今後は、私も攻めていきましょう。


私はニッコリ笑う。


「これも前世で?」

「?」

「どうしょうもない事なのは分かっているが…、俺はこの口づけをリアへ教えた者に嫉妬している。」


そっか。やっぱり、そこが気になるか。

これは仕方の無いことかもしれない…。


「私は、前世で経験があるから躊躇がないのは確かですが、このキスはジェイクに教えてもらったものですよ。…でも、今後もこういう事は出てくると思います。結婚を止めたくなりましたか?」

「まさか!やめたい筈ない!」

「では、『色んなことを知っていて、楽しめるしラッキー』位に思っていてください。」

「ラッキー、か…。」

「ええ。実践をしたことがないものでも、知識だけはあります。楽しみにしていてくださいね!」

「前にも言ったかもしれないが、楽しみな様な怖い様な、だな。」

「ふふふっ。」

「変なことを言って、すまなかった。」

「いえ。不安に思うことは、話してくれた方が良いです。私も話します。」

「そうだな。これからも、何でも話すことにする。」

「ホウ·レン·ソウですね。」

「ホウレンソウ?」

「報告、連絡、相談です。仕事で大切な3つの事ですが、夫婦間でも大切だと私は思います。」

「なるほど。…よし、我が家の家訓にしよう。」

「そんな大袈裟な事では…。心に留めておく程度で良いです。」

「そうか?…リアが言うなら、そうするか。」


馬車が止まった。エメラルド家へ着いたようだ。

私とジェイクが馬車を降りると、使用人達が外に並んでいた。

しかし、そこは私が思っていたエメラルド家では無かった。


「ジェイク。ここは?」

「我が家だ。」

「えーと…」


私は、周りを見回す。少し離れた所に、私が思っていたエメラルド家の屋敷が見える。

同じ敷地内ではあるようだ。


「説明をよろしくおねがいします。」

「報奨金があっただろう?」

「お父様と、ジェイソンお父様に上乗せされた、あの?」

「そうだ。あれを使って建てた。」

「え?いや、でも。」

「親父達と一緒に住むより、何かと良いだろうと。」

「そんな、わざわざ?」

「親父の引退後は、こちらとあちらを交換だそうだ。驚いたか?」

「そりゃあ。…これが、ジェイクの『そのうち分かる』ですか?」

「ああ。」


ジェイクが嬉しそうに笑う。


「とりあえず、中へ入ろう。説明はそれからだ。」


まずは、談話室で使用人の紹介を受ける。


「執事長のサ厶だ。エメラルド家本宅の副執事だった者だ。」

「よろしくお願い致します。」


ジェイクより少し年上に見える痩せ型の男性だ。


「侍女長はライラ、副侍女長はメランが務める。」

「「よろしくお願い致します。」」

「よろしくね。皆さんもこれからよろしくお願いします。」

…「「「「よろしくお願い致します。」」」」…


サ厶、ライラとメランの後ろにいる侍女、侍従達にも声をかける。


「そして、我が家の影長はノアになった。その下には、ネーロとこいつ等だ。」


ノアとネーロの後ろに、あの日の黒尽くめ達がいる。


「どういう事ですか?」

「引き抜いた。影に関しては、リアの護衛を主として、家の周りの警戒をしてもらう。」

「「「「よろしくお願い致します。」」」」

「プルメリア様。実力は本物です。ご安心ください。」

「はぁ…ノアがそう言うなら、大丈夫なのでしょう。4人ともよろしくね。えーと名前はあるかしら?」

「俺はヤミです。」


あの日、話すことが多かった黒尽くめだ。残りの3人もそれに続く。


「俺は、クロです。」

「僕は、コクです。」

「自分は、ボクです。」

「そう。ヤミ、クロ、コク、ボク。よろしくお願いします。」

「「「「はい。」」」」

「後は本宅にも警備隊がいて、こちらまで巡回する様になっている。」

「分かりました。」

「それから、料理長の、」

「ロック料理長!?」


そこには、オパール家の料理長だったロックがいた。


「プルメリア様、またよろしくお願い致します。」

「リアの料理に耐性のある料理長の方がいいだろう、との侯爵の配慮だ。」

「……私は、毒か何かですか。」

「ある意味そうかもしれない。」

「ジェイク…。」

「ははは!今度は家の案内だな。さぁ、行こうか。」


ジェイクに手を差し出される。

手を繋いだまま、家の中を見て回る。

その後ろからは、サ厶とライラが付いてくる。


「1階の主な部屋は応接室、食堂、談話室、広間だな。それから、ここを曲がると使用人達の住居スペースだ。そちらに別玄関や階段もあり、こちらを通らなくても、行き来できるようになっている。」

「分かりました。」

「次は2階だ。」


そう言って、玄関ホールの左側から伸びる階段を登る。


「2階は、客間、執務室、一番奥が寝室だ。寝室と執務室の間には休憩室も作った。3部屋は行き来が可能だ。ここだな。」


休憩室と言われた所に入ると、なんと小さなキッチンも配置されている。簡単なものなら作れそうだ。


「ジェイク、これ…。」

「リアの手料理が、いつでも食べられるようにな。」

「ありがとうございます。たくさん作りますね。」

「ただ、小さいからな…。オーブンを使う時や大量に作る時はロック料理長に言って、1階のキッチンを使ってくれ。」

「分かりました。そうします。」

「休憩室には、バルコニーも付いている。」

「ジェイク。素晴らしいです。」

「喜んでもらえて何よりだ。さて、…ゴホン。いつまでもその格好という訳には行かないだろう?」

「ジェイクがそのままで、と言ったのですよ?」

「……ふたりとも、もう下がっていい。」


ジェイクは、サ厶とライラにそう声をかけた。


「「畏まりました。」」


サ厶とライラは、頭を下げてから部屋を出ていく。その時に、ジェイクはサ厶ヘ一言付け足した。


「声をかけるまで、こちらには来ないように。」

「心得ております。」


そして、ドアが閉められた。


そういう事か!

そうだよね、そうなるよね。

…でも、まだ夜とは言えない時間だけれど。


「リア、こちらへ。」


ジェイクに手を引かれ、寝室の方へ促される。


「あの、ジェイク。その…身体を拭いたり、お化粧を落としたりしたいのですが…。髪型もこのままでは…。」

「ん。後でな。」


ジェイクはニッコリ笑う。


とても、嬉しそう…。


「ふぅ…。分かりました。」


私は息を吐いて、覚悟を決めた。

寝室に入ると、二人で寝ても余るくらいの大きさのベッドが置かれていた。


ベッド脇には部屋着の他、軽食や飲み物も用意されていた。


「明日から1週間の休暇を貰っているから、ゆっくりできるぞ。」


何を!?

分かっています、分かっていますけど!

…そんなにできるかな。


「リア、やっとこの日だ。リアの知識は気になるが、それは後々…。今日は俺に任せてくれないか?」

「…よろしくお願いします。」

「ああ。…それにしても、本当に女神の様だ。ドレスも、とても似合っている。」

「女神…?言い過ぎです。」

「そんな事はない。」


ジェイクにお姫様抱っこでベッドへ運ばれ、横にされる。


「愛している。リアと出会えてよかった。」

「私もジェイクと出会えて、幸せです。」


顔が近づき、口づけをする。その口づけはすぐに深くなる。


「ん…、はぁ。…ジェ…イク…。」

「…リ…ア…。やさしく…するから…。」

「…はい。」


私は、ジェイクに身を委ねた。



どれくらいの時間が経ったのだろうか。

長い様な短い様な時間が過ぎ、私の声は枯れていた。


もう、駄目。

ジェイク、初めての人にする回数ではないです…。


「リア、すまない。やり過ぎた。」

「…おみず、…おみずをください。」


私はジェイクから貰った水を飲む。


「ふぅ…。」


ふと、ある事を思い出す。

思い出したら、試したくなった。


「ジェイクは飲まないのですか?」

「そうだな。頂こう。」


私は、水を違うコップに注ごうとするジェイクの腕を引いてベッドへ座らせ、自分の口へ含ませていた水をジェイクの口へ…。


ゴクン。


「美味しいですか?」

「…」

「ジェイク?」

「リア。まだそんな元気があるなら、もう一度だな。」


!?


「ごめんなさい。ちょっとした出来心でした!」

「もう遅い。煽ったリアが悪い。」

「きゃっ!」


ジェイクが覆いかぶさる。



そして、今度は起き上がれなくなった。

カーテンの隙間から陽の光も入ってくる。


一体何時なんだ?


「腹が空いただろう?用意してあった物を食べよう。」

「…はい。」


返事をしたものの、疲れていて腕一本動かしたくない。


「ジェイク。あ~ん。」


私は口を開けて、ジェイクが食べ物を入れてくれるのを待つ。


「リア、また…。」

「もう、無理です!疲れていて、動きたくありません!」

「…分かった。」


ジェイクは親鳥のように、私にサンドイッチを食べさせてくれる。


「今は何時でしょうね。」

「まだ、明け方だな。」

「そうなのですね。」

「今、湯浴みの準備もさせる。」

「はい。ありがとうございます。その前に、服を着ておきたいです。そこの取ってください。」

「大丈夫か?ひとりで着られるか?」

「ジェイクが着せてくれるのですか?」


ジェイクは一瞬目を丸くしたが、思いついた様に言った。


「よし、そうしよう。今日は全て俺がする。」

「全てですか?」

「ああ、移動も俺に言うように。風呂までも俺が運ぶからな。」


そう言うと私に服を着せて、部屋を出ていった。

少しすると、ジェイクが戻ってきて、私を抱き上げた。


「リア、湯浴みの準備ができた。行くぞ。」

「もしかして、準備もジェイクが?」

「ああ。サムやライラたちには、今日1日休むよう言ってきた。」

「そうですか。」


お風呂に着くと、椅子も用意されていて、そこへ降ろされた。


「…」

「…」


ジェイクは、そのまま出ていこうとしない。


「ジェイク、大丈夫ですよ?後は自分で出来ます。」

「いや、俺がする。」

「いやいやいやいや。」

「そんなに、嫌々言うな。」

「いえ。そう言ういやでなく…。」

「もう全て見ている。気にするな。」

「気にします!とにかく、10分ください。それ以上かかりそうだったら、お手伝いお願いします。」

「…分かった。10分だな。」


そして、ジェイクは出ていった。


「はぁ…。早くしなくちゃ。」


私はダルい身体で頑張った。


服を脱ぎ、


「被りのもので、良かった。」


四つん這いで、浴槽近くに移動し、


「赤ちゃんに戻ったようだわ…。」


身体を洗い、


「簡単でいいや!」


浴槽へ入る。


「ふぅ………。気持ち良い。」


やっと、落ち着いた時だった。


「リア、10分経ったぞ。」

「ジェイク!?」


もう、時間切れ…。


「ここまで自分で出来ましたから、大丈夫ですよ。もう少し温まったら出ますから。」


私はお湯の中で身体を隠しながら、ジェイクへ言ってみる。

ジェイクは額に手を当て俯いていて、すぐに返事は返ってこない。


何か、葛藤しているようね…。


「………移動する時に呼んでくれ。」

「はい!」


私はゆっくりお湯に浸かる事ができた。

服は自分で着れるものを、用意してくれていた様だ。


これはきっと、ライラ達の選択ね。

ありがとう。


私は心の中でお礼を言う。


「ジェイク。いますか?」

「…出来たか?」

「はい。」


私はまた抱えられて、移動する。


「どこに行きたい?」

「休憩室に行きたいです。」

「了解。」


休憩室に入り、ソファに降ろされる。

私達は何をするでも無く、のんびり過ごした。

もちろん、その間はジェイクが給仕までしてくれた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ