ウェルクside
カルアから報告を受けた私は、すぐにジェイソンの所へ向かった。
「ジェイソン!うちの娘に何をさせてるんですか!!ロバート、お前がいながらどうしてこんな事になってるんだ!」
「申し訳ございません。」
ジェイソンとは、学園の先輩後輩。仲良くさせてもらっているが、これはない!
「何って、走らせている。ロバートも謝る必要ないだろう。」
「すぐにやめさせてください!」
「お前、そんなに表情出るんだな。」
「何を言っているんですか!せめてドレスと靴を着替えるとか!」
「はあ…、練習は俺に任せるんじゃなかったのか?」
「そうは言っても!」
「お前の娘は普段、ぺったんこ靴に運動前提の服を着ているのか?」
「そんなわけ!……!!!」
「もう分かるだろ?身を守る為だよ。お前は命を狙われることも多い。そして、家族も。だから、娘が言った突拍子も無い事に許可を出した。あの子を守る事になると思ったから。そうだろ?……事件があった時、1番にやる事は逃げる事だ。」
「まだ、8歳ですよ?」
「だから、走るんだろう?戦っても力負けする。」
「…すみませんでした。」
「いや、気にするな。ほら、可愛い愛娘が頑張ってるぞ。見てみろ。」
窓の外では、一歩一歩ゆっくりだが、走っているリアが見える。
「根性あるな。…私は走れと言ったとき、断ってくると思っていたぞ。」
「言ったら聞かないのです。」
「誰に似たんだろうな。」
「………」
トントントン!!!
「ウェル様、こちらだと聞きました。あれはどういう事ですか!説明してください!」
大きな音のノックがしたと思ったら、返事を待たずにミディアが入ってきた。
「ミディア、ジェイソンが来ている。」
「ごきげんよう、ジェイソン様。うちの娘は何をさせられているのでしょうか。運動の件はウェル様から聞いておりますが、これは!」
さっきの自分を見ているようだ。少し恥ずかしい。
「家族仲が良いようで何より。」
ジェイソンに肩をポンと叩かれる。
「……。ミディア、説明をするよ。」
さきほど、自分が言われたようにミディアに説明を始めた。
「さて、そろそろ行くか。」
その間に、ジェイソンはリアがいる外に向かった。