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44 学園、ライラとグレイ

学園に戻る日になった。

先生方は、まだ対応に追われて大変なのだろうが、私達にとっては特に変わらない様に思えた。


そして、何も無かったように、日が過ぎていった。


「戻ってからだいぶ経つけれど、平和ね。」

「…」


珍しくライラが、ボーっとしている。


「ライラ。」

「…」


返事がない。


暇だし、良いか…。


私は、それ以上声をかけず、観察してみた。


「はぁ…。」


ライラは、さっきから何度も溜息をついている。


これって…。


「ライラ。ラーイラ。」

「はい!申し訳ございません。」

「疲れているなら、休憩していらっしゃい。」


私は微笑んで、休憩を促す。


「…すみません。」

「怒っていないわ。」

「少し出てきます。」

「はい。いってらっしゃい。」


ライラが部屋の外に出て、靴の音が聞こえなくなるのを待つ。

それから、ノア達を呼んだ。今日は、ネーロが休みの為、ノアとメランがやってくる。

私は、前置きなく聞いた。


「ライラ、恋してる?」


メランは、首をひねっているが、ノアは、何か考えている。


「心当たりがあるの?」

「ライラがどうこうではないのですが…。」

「それって、グレイさんだったりする?」

「はい。プルメリア様、何故それを?」

「前にちょっとね。で、ノアがそう思ったのは?」

「グレイ副隊長の雰囲気と言いますか、騎士団見学の時に少し変だったもので…。」

「あの日、ノアとライラを見た時に、驚いた様な顔もしていたわね。」

「はい。ライラの周りでいつもと違うのは、それくらいかと。まあ、常に一緒にいる訳でも、監視している訳でもないので、何とも言えませんが…。」

「そりゃそうよね。」

「調べますか?」

「いいえ。その必要はないわ。」

「あの、プルメリア様。」


メランが手を挙げて、発言する。


「はい、メラン。どうぞ。」

「何故恋だと思うのですか?もしそうだとして、ノアやネーロが相手の可能性も。」

「なぜ恋だと思うのか?から答えるわね。溜息が多くてボーっとしているのと、」

「と?」

「雰囲気と勘!」

「ざっくりしてますね…。」

「もう1つ。ノアとネーロが相手の可能性だけど、それも雰囲気ね。3人には、こう…甘い雰囲気が全く無いのよ。どちらかと言うと、同士?」

「その通りです。」


ノアが答える。


「まぁ、ふたりのどちらかへの思いに気づいて、思い詰めているという可能性もゼロでは無いけれどね。」

「プルメリア様!?」

「あくまで可能性よ。」

「…楽しんでいますね。」


ノアが呆れている。


「最近何もないですものね。」


メランが納得した様に頷く。


「いくら何でも、これ以上は止めておくわ。ライラから話をしてくれるのを待つ!」

「「畏まりました。」」


それは思っていたより早く訪れた。

外から戻ってきたライラが、私の前で頭を下げた。それを見たノアとメランは、その場から消えた。


「プルメリア様。先程は、申し訳ございませんでした。」

「良いのよ。ひとりで私の身の回りのことを、してくれているんだもの。疲れることだってあるわ。」

「いいえ。そうでは無いのです。…実はグレイ副隊長より、告白されまして…。」


ライラの声が段々小さくなっていく。


「そう。」

「驚かないのですか?」

「以前からそんな気配はあったから。」

「私は、全然気付きませんでした。」

「それで、どう答えたの?」

「断りました。しかし、心を乱されているのも確かです…。」

「えーと、なんと言われたか聞いても?」


ライラは話し始めた。



学園での、とある空き時間…


「ライラさん。少し良いですか?」

「何でしょう?エメラルド様から何かございましたか?」

「いえ、隊長は関係ないです。聞きたいことがありまして。」

「はい?」

「ライラさんは、あの護衛の方とお付き合いされているのですか?」

「?」

「この間の騎士団見学に来ていた。」

「あー。ノアの事でございますか。付き合っておりません。」

「しかし、その髪飾り!」

「この髪飾りですか?プルメリア様から頂いた物です。」

「ペアなのではないのですか?」

「違います。プルメリア様の側仕えは皆頂きました。先程から、一体何が言いたいのでしょうか?グレイ副隊長には、関係のないことだと思われます。」

「関係なくない!…のです。」

「はぁ…。」

「私は…いや、俺は貴方が好きです。オパール様の為に動く貴方や、慈しむ様に見ている姿を見て、心が高鳴る。以前、オパール様に相談した際に、恋の相手として浮かんだのもライラさんでした。騎士団に見学に来た時、ノアさんのピアスとライラさんの髪飾りが同じ事で、ふたりがそういう関係なのではと思い、嫉妬もしました。その嫉妬で完全に自覚した訳ですが…。とにかく、好きです。」

「ごめんなさい。」

「え?」

「グレイ副隊長をそういう対象に、考えたことがなくて。」

「では、今から考えてください。」

「無理です。」

「しかし、俺もこういう気持ちになったのは初めてです。簡単には、諦めませんから覚悟してください。」



「…という流れです。」


顔を赤くしながら話すライラが可愛い。


「それから?」

「その日から必ず、日に1回は話しかけられます。」

「うん。」

「しかも、」

「しかも?」

「甘いです。」

「嫌なの?」

「嫌というか、女性に慣れているように感じて、本気なのか何なのかも分からないのです…。」

「それをはっきりしないとモヤモヤする?」

「はい。あ、いえ、私はもう断っていますし、無理とまで言ってしまいました。今更…。」

「うーん。…断ったけど、話してみたら気になりだした。でも、女性慣れしているし不安。という所かしら?」

「…はい。」

「ライラはどうしたい?本心が知りたいなら、ジェイクを通す事もできるわよ?」


ジェイクと仲が良いのだ。性格は問題はないと思う。しかし、友としてと、恋人としては違うかもしれない。


「そうでないなら、自分でそのまま話してみたら?今の弱々しいライラも可愛いけれど、いつものライラも、かっこ可愛いわよ。いつもの感じで、どーんと!」

「どーんと、ですか…。」

「そうよ。」


ライラは目を閉じ、深呼吸をした。


「どーんと、行ってきます。」

「行ってらっしゃいと言いたいところだけど、グレイさんがどこにいるか知っているの?」

「…知りません。」

「もう。ライラも抜けてる所があるじゃないの。人のこと言えないわね。」

「申し訳ございません。」

「ノア。」


名前が呼ばれると、すぐに現れる。


「グレイさんがどこにいるか調べてきてくれる?」

「畏まりました。」


ノアはすぐに調べに行ってくれた。そして、10分程で戻ってきた。


「プルメリア様。グレイ副隊長は、只今休憩中で食事を取っています。」

「ライラどうする?」

「行ってきます。」

「他の騎士や侍従侍女がいるかもしれないわよ?目立ってしまうかも。呼び出してもらう?」

「大丈夫です。どーんと、ですから。」


そう言って部屋を出ていった。


「本当に大丈夫かしら…。」



---グレイ、ライラside---


グレイは、側仕え用の食堂で昼食を取っていた。


ライラさんは来ないな。

まだ仕事か。


俺は、女性に不自由をした事は無い。浮気や二股とかはしなかったが、付き合っている人がいなければ、来るもの拒まず去るもの追わずだ。

ジェイクに惚れた相手ができ、面倒くさい事になった時には、どうしてそうなるのか不思議だった。


それが、人の事を言えなくなってしまった。


ライラさんの仕えているオパール様は、色んな意味で規格外の方だ。あのジェイクが惚れるのも無理はない。

その規格外の女性を支えているライラさんも、規格外だ。

護衛も兼ねているようで、何かあっても冷静に対応し、凛としている。そんなライラさんのオパール様を見る目は、慈しむ様な穏やかな目になる。


それは不思議な感覚だった。

これは、なんだろうと思っていた。


そんな時、ライラさんとオパール様の護衛のひとりが同じモチーフの物を付けているのを見てしまった。


何故?

ふたりはそういう関係なのか?


俺の心が乱れる。

今までの女性相手に、ここまでの嫉妬を感じた事は無い。


そうか。そういうことか…。


自覚し告白したが、断られた。しかし、自分から告白したのだって初めてなんだ。そう簡単に諦めるわけにはいかない。


そんな事を考えているグレイへ、ライラが近づいていき、声をかけた。


「グレイ副隊長。」

「ライラさん?」

「お話があるのですが、少し良いですか?」

「もちろん。」

「では、こちらへ。」


ふたりとも顔には出していないが、内心は違った。


落ち着いて…自分の気持ちをどーんと…。


ライラさんから声をかけられたのは初めてだ。何があるんだ…。迷惑だとか、話しかけるなとか!?


ふたりは人気のない所まで来た。

すると、ライラは急に立ち止まり、後ろにいるグレイの方へ勢いよく向いた。


「ボフッ!」


ライラの顔は、グレイの胸元にぶつかった。

ライラが急に止まった為、後ろでグレイがライラにぶつかりそうになっていた所へ、振り向いたライラの顔が埋まる形になったのだ。


「す、すみません。」


ライラはすぐに離れた。


やってしまった…。


「いや、こちらこそ。」


ライラさんが俺の胸に…。


「「…」」


ふたりの間に沈黙がおきる。


「ライラさん。話とは何かな?」

「あ、はい。」


落ち着いて…落ち着いて…


「グレイ副隊長はモテますよね?」

「え?あ、うん、モテなくはない、と思う。」

「私は、モテません。」

「そんなにキレイなんだから、そんなことないでしょ?」

「きっ!?…コホン。告白だって、この間が初めてです。」

「そうだったんだ。」

「だから、よく分かりません。」

「うん?」

「私は、断りました。」

「うん。」

「無理です、とも言いました。」

「はい…。」


これは、迷惑だコースか…。


「それなのに何故…。分からなくなって、仕事にも支障をきたしています。」

「ん?」


なんか違う?


「グレイ副隊長は女性慣れしていますが、私は慣れていません。からかっているだけでしたら、」

「からかってないから。何でうちの隊長の婚約者の侍女を遊びに選ぶの。そもそも、本気でなかったら、告白なんてしない。」

「そ、そうですか。」

「ライラさんは俺をどう思っているの?迷惑?」

「迷惑だなんて。…でも、断っていますし、」


なるほど。


「それは、置いておいて。今の気持ちは?」

「…グレイ副隊長から声をかけてもらうのを、待っている自分がいます。」


グレイはライラさんの顔に手を伸ばし、頬を触る。


「期待して良いのかな?」

「…」

「ライラさん?」

「こういうところです。慣れていませんので、手を…。」

「…はい。」


グレイは伸ばした手を引いた。


「心臓がいくつあっても足りません。…加減してください。」

「それって…。良いように受け取るよ?」


コクンと、ライラは頷いた。


「そっか。良かったぁ!」


グレイは身体の力が抜けたように、座り込んだ。


「グレイ副隊長、大丈夫ですか?」

「うん。大丈夫。…まず、副隊長呼びをやめるところから始めようか。俺もライラと呼んで良いかな。」

「…はい。よろしくお願い致します。」




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