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24 誕生日②

お店から出て、ネックレスをつけて貰った後、私はたこ焼きが食べたくなり、ジェイクの手を引いて、たこ焼き屋へ向かった。


首元で揺れる石が嬉しい。ジェイクに包まれているような感じがする。


ジェイクの胸元にある石もチラチラ見てしまう。

ジェイクが自分のものだと主張しているようで、恥ずかしい反面とても嬉しかった。


「ふふふっ。」


思わず、笑ってしまう。


「どうした?」

「いえ、何でもありません。」

「そうか?」

「はい。あ!ありましたよ。」

「いらっしゃいませ。何人前?」

「えーと…。」

「2人前くれ。」

「味付けはそこで自由にどうぞ。」


青のり、鰹節、ソース、マヨネーズ、辛子やわさびもあった。


「ジェイクはどうしますか?」

「ソース、マヨネーズ、辛子だな。」

「はい。…私はソース、マヨネーズ、わさび。…よし!できました。」

「広場で座って食べようか。」

「はい!」


私達はベンチに座り、たこ焼きを食べる。

ジェイクはあっという間に食べ終えてしまった。


「全然足らん。」

「はい、どうぞ。」


私の分のたこ焼きを渡す。


「悪いな。」

「いいえ。私は1人前食べるとお腹がいっぱいになってしまいますから。先程もそれで迷っていて…。他のものも食べたいし、どうしようかなって。」

「気にせず、好きな物を買って、一口ずつ食べるといい。クレープもそうすれば良かったな。」

「でも、クレープは生クリームスペシャルでしたから。ジェイクはあまり甘いものを食べないでしょう?」

「ああ、そうだな。…良く知っているな。」

「お茶をしていても、手を付けるのは甘くないものばかりでしたから。」

「もしかして、リアの家で甘くない菓子が出るのは…。」


この世界のお菓子は甘いものがほとんどだ。

しかも、とっても甘い。

そのため、ジェイクが甘いものが苦手だと気づいてからは、チーズクッキーや、ほろ苦いコーヒー味のカップケーキなどを用意してもらっていた。


「せっかくのお茶なのに、お茶請けがないのは寂しいかなって。」

「リア…。俺は幸せだ。」

「私も幸せですよ?」

「リア…。」

「ジェイク…。」


見つめ合っていると、視線を感じた。


「ジェイク。」

「分かっている。ここから離れて人通りが少ない所へ行く。逃げる準備もしておいてくれ。」

「はい。何時でも」


私達はベンチから立ち上がり、裏路地へ歩いた。視線の主は一定の距離をとって、付いてきている。裏路地に入ったところで、ジェイクが前を見たまま声をかけた。


「そろそろ出てこい。」


反応なし。


「それなら、こちらから行く。」


ジェイクは気配がある辺りに近づき、蹴りを入れる。


「ちょ、待ってください。」


ジェイクは蹴りを寸止めした。


「お前ら…」


出てきたのは2人。


「どなた?」

「…部下だ。」

「部下?」

「はい!リカルド殿下護衛隊に所属しております!」


2人は私に向かって敬礼した。

よく見ると、確かにリカルド殿下の護衛騎士たちだ。


「何故、後をつけた。」

「後をつけたといいますか…」

「はっきりしろ!」

「はい!すみません!広場で見つめ合うお二人を見かけて、興味に負けました!」

「おい!」

「ほぉ。覗きをしていたと。」

「覗きというか、あんな所で見つめ合っていたら目に入るというか…。」

「あ?」

「いえ、すみませんでした!」


ピッと姿勢を正してジェイクの前に立っている。


「ジェイク。あんな所で、その…、とにかく私達にも非はあると思うので、そこまでにして街歩きを再開しましょう?」

「リア。お前は…。」

「悪漢では無かったのですし、時間が勿体ないですよ?」

「ふぅ、分かった。…お前達、他のヤツに余計な事を言うなよ。」

「「はい!もちろんです!」」

「もう、行け。」

「「はい!失礼します!」」


2人の騎士は走り去って行った。


「すまん。後でしっかり教育しておく。」

「ジェイク。ほどほどに。」

「ああ。」


そして、メイン通りに戻ろうと歩き始めると、ジェイクに手をひかれる。


「ジェイク?」


ジェイクは動いていなかった。


「どうしました?」

「もう少しここにいないか?」

「でも、こちらには何もあり、」


私が話し終わる前に、抱きしめられた。


「あいつらへも、感謝しなくてはな。人目のない所へ来る理由を作ってくれた。」

「じぇ、ジェイク?」

「後で、と言っていただろう?」

「い、言いましたが…。」


ジェイクの腕に力が入り、強く抱きしめられる。


「ジェイク。逃げませんから、少し力を…。」

「す、すまん。苦しかったか?」


ジェイクは、腕の力を抜いて私の顔を覗き込んだ。


「少しだけ。」


そう言って、私はジェイクの背中に手を回した。


「ネックレスをつけた時からジェイクに包まれた気がしていましたが、やはり本物のほうがいいですね。」

「ネックレスだけでいいと言われたら、泣く。」

「泣く?ジェイクが?…ぷっ、くくく。」


私はジェイクの胸に顔を伏せながら、笑いが止まらなくなる。


「笑い過ぎではないか?」

「ご、ふふっ、ごめんなさい。」


ジェイクは抱きしめたまま、落ち着くのを待ってくれた。


「ずっとこのままいられたらいいのに。」

「ああ。」

「ジェイク。愛しています。」

「!」


ジェイクから声が聞こえてこない。

不安になって、ジェイクを見上げる。


「ジェイク?」

「リア、卒業したらすぐに結婚しよう。」

「!」


驚いて、すぐに返事ができなかった。


「リア、駄目か?」

「いいえ。…驚いただけです。婚約しておりますし、結婚するのは当たり前なのですけど、いつとは決まっていなかったので…。」

「…それで、返事は?」

「はい、喜んで。」


また、ジェイクの腕に力が入る。しかし、さっきとは違い苦しくはない。


「幸せにする。」

「はい。私もジェイクを幸せにします。」

「ククッ、それは楽しみだな。」


そして、いつもよりも深い口付けを交わした。


「…はぁ。ジェイク。」


これはやばい。腰が抜けそう。


「リア。もう一度。」

「もう駄目です。」

「何故?」

「何故って…。これ以上したら…」

「したら?」

「倒れます。」

「はははっ。それは、困るな。…では、メイン通りに戻ろう。」

「…お願いします。」


私達はメイン通りに向かって歩き出すが、私は足元がふらついてしまった。


「少しやり過ぎたか?」

「いえ、そんな、とても幸せな時間でした。」

「…やはり、もう一度。」

「ジェイク!」

「分かっている。」


ジェイクは、私の腰に左手を回し、支えるように歩く。


「もう大丈夫ですよ?」

「念の為だ。」

「…落ち着きません。」

「…分かった。」


ジェイクは腰から手を離した。それが、少し寂しく感じてしまう。


自分で言ったことなのに…。


私はジェイクの左手を取った。



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