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16  ライアンの変化

---ウェルクSide---


ライアン殿下が学園から戻ってきた為、再々教育の話し合いが始まった。


話し合いというか、最終確認だな。


「陛下。我が家に任せて頂けるのですよね?」

「いや、それは…。なぁ、宰相」

「陛下、前にも言いました。諦めてください。それに、前回の再教育が失敗しているのです。今回の再々教育は、任せたほうが良いと思いますよ。」

「…分かった。」

「うちの息子も、」


ジェイクも頭にきているのは知っている。リアの事を本当に愛してくれているからな。

しかし…


「ジェイソン。今回は礼儀作法に関しての再々教育ですから、ジェイクには我慢してもらってください。」

「……伝えておく。」

「お願いします。」

「…やり過ぎるなよ。」

「私情は少ししか挟まず、きちんと教えますよ。」

「挟むのかよ。」


家に帰り、結果を皆に報告する。


「ライアン殿下の再教育は我が家に任された。」

「そうですか。それなら私が…」

「いや、私が行く。」

「ズルいですよ。」

「お前はレオン殿下に付いていろ。」

「父上こそ仕事が忙しいでしょう。」


チスとふたりで睨み合っていると、ミディアが口を開いた。


「私が行きます。」

「「は?」」

「ダリアと一緒に行ってきますわ。」


実は、我が家は使用人も戦闘訓練していて、ダリアは侍女長という立場だけでなく、ミディアの護衛も兼ねている。


「しかし…」

「わ·た·く·し·が。」


ミディアの口調が強まる。

今回の件、ミディアも頭に来ていたのだろう。


「…分かった。しかし、私情は挟まない様にな。」

「あら、私が私情を挟むと?」

「い、いやそうではないが…。」

「貴方達の方が、私情を挟みそうだけれど?」

「そ、そんな事はない。な、チス!」

「そ、そうですよ。そんな事はないです!」


こうして、ミディアが教育を行うことになった。



---ライアンの私室-ライアンside---


私は学園から、王宮に戻された。


納得がいかない。

婚約の話はお祖父様に言われたのだし。

前回もそうだが、私は騙されただけ、私は悪くない!

オパール嬢には、本当の事を言っただけではないか。何が悪いのだ!


そこへ、来客が来たことが知らされた。


「ライアン殿下。ご機嫌麗しゅうございますか?作法をお教えする事になりましたミディア·オパールでございます。こちらは侍女のダリアです。」

「ご機嫌な訳ないだろう。」

「そうでございますか。」

「私は教えてもらう事はない。帰って良い。」

「私は陛下の命で来ております。」

「自分の娘を再教育した方が、良いのではないか?」


オパール夫人はニコリと笑った。


「プルメリアが何か致しましたか?」

「分からないのか?野蛮な事をしているではないか。」

「殿下に何か致しましたか?」

「だから、淑女というものは走ったり、戦ったりはしないであろう?」

「殿下にご迷惑をおかけしましたか?」

「だから先程から言っているだろう!聞いていないのか!」

「私も先程から申し上げております。プルメリアは殿下に迷惑な事をしたのでしょうか?」

「それは…。」

「それは?」


私は何も言えなくなった。

オパール嬢から何かをされた事はない。

というか、よく考えると向こうから近づかれた事もない?


「答えが出ませんか。それでは、この話はここまでです。授業を始めましょう。」

「…」

「お返事が聞こえませんが?」

「…」

「ふぅ…。」


オパール夫人は息を吐いてから、続けた。


「今回、何故学園から戻されたのかお分かりですか?」

「…俺は騙されただけだ。」

「騙された?」

「そうだ。」


バチン!

オパール夫人が、持っていた扇を鳴らした。


「人のせいにばかりするのは、お止めください。殿下に良識があれば、この様な事態にはなっていないのです。」

「良識が無いというのか?」

「良識があるのなら、何が悪かったのか分かるのでは?」

「…」

「さて、まずはプルメリアへの態度について、話しましょうか。」


こうして、オパール夫人との勉強が始まった。

オパール夫人はニコニコしていたが、話す度に追い詰められていく。変な威圧感もあり、段々胃が痛くなってきた。

そして、私は次の日に寝込む事となった。



---16---


ライアン殿下が、再々教育を終了し学園に戻ってきたその日…


「今までの態度、申し訳ありませんでした!」


クレマとお茶をしていると、私の元へライアン殿下が謝りに来た。


「そ、そういう事で…失礼します!」


そして、すぐに去って行った。


「あれ、誰?」

「ライアン殿下。」

「それは、見て分かるわ。そうではなくて、今までと態度が違いすぎない?」

「再教育を我が家が請け負ったのだけれど、私は内容とか聞いていないから…。ライラ、何か聞いている?」

「奥様が担当なさったそうです。」

「お母様が?」

「はい。」

「そう。ますます分からないわ。」


その後はライアン殿下と顔を合わせることもなく、平和な学園生活を送り、また長期休暇となった。


「おかえりなさい。」

「お母様、ただいま戻りました。」

「プルメリアさん、おかえりなさい。」

「お姉様、よろしくお願いします。」


実は、数カ月前にお兄様が結婚をした。

その為、奥さんになったジャスミンお姉様も同居している。

結婚式の為に一度戻ってきたけれど、すぐに学園へ戻った為、お姉様と生活するのも今回が初めてだ。


「荷物の整理が終わったら、お茶でも飲みましょう。」

「はい、すぐに終わらせてきます。」

「ライラ。休み前、最後のお仕事お願いしてもいいかしら?」

「もちろんです。休みは、いらないくらいなのですが。」

「それは駄目よ。また、学園でお世話になるのだからきちんと身体を休めてね。」

「ありがとうございます。」


そんな話をしながら部屋へ行き、荷物の整理を終えてお母様とお姉様の所へ戻った。


ソファに座り、3人でお茶を飲む。


「お姉様、私のことはリアで良いのですよ?あ、私は勝手にお姉様と呼んでしまっていますが、嫌なら仰ってください。」

「そうですか?それなら、お言葉に甘えてリアと呼ばせて頂きますね。お姉様呼びも大歓迎です。妹が欲しかったので嬉しいですわ。」


それから色々な話をした。


「ジェイク様が、私達を結びつけてくれたのですよ。本当に感謝しています。」

「そうなのですか?知りませんでした。詳しくお願いします。」


そんな話を始めた時、お兄様が帰って来た。


噂をすれば影とはこういう事ね。


「チス、おかえりなさい」

「ジャスミン、母上、ただいま。リア、久しぶりだね。元気だったかい?」

「お兄様、おかえりなさい。とても元気よ。」

「ところで、なんの話をしていたんだい?」

「お兄様とお姉様の馴れ初め。」

「ジャスミン!?」

「まだ、話していませんよ。これからです。」


狼狽え出すお兄様と、クスクス笑うお姉様。

そんな二人を見て、こちらも幸せになる。


「仲がよろしい様で何よりです。」

「そういえば、私も詳しくは聞いていませんね。」

「お母様もですか?」

「ええ。学園で出会ったとしか。」

「お姉様、続きが聞きたいです。」

「あれは…」

「ジャスミン!お茶のおかわりいるかな?お菓子もたくさんあるじゃないか。どれにする?」

「お兄様…。そんなに聞かれたくないのですか?」

「家族に自分の恋愛話なんて、何の辱め…。」

「まぁ、私との事が恥ずかしいと?」

「違う!そうじゃなくて!」

「分かっていますよ。二人だけの秘密ですね。」

「そう、それ!」


またお姉様がクスクス笑う。


こんなに落ち着かないお兄様なんて、滅多に見れないわ。


私は嬉しくなって、今の二人を見て思ったことをそのまま伝えた。


「私は、お姉様がお姉様になってくれて、とても嬉しいです。」

「まぁ!嬉しい!私も、妹がリアで良かったですわ。」


その後にはお父様も帰ってきて、楽しく家族の時間を過ごした。





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