13 手紙
今日は、クレマが遊びに来ており、婚約の報告もした。
「おめでとう!」
「ありがとう。」
「なるほどね。まぁ、騎士団長が好みだと話していたし、収まる所に収まった感じね。」
「師匠はただの憧れよ。」
「憧れと恋の違いは?」
「うーんと、憧れは『きゃー』って感じだけど、恋は『ぎゅー』って感じ。」
「よく分からないわ。」
「そう?」
「そうよ。それにしても、陛下はよく納得したわね。」
「婚約のこと?」
「そうよ。こう言っては何だけど、私も昔からの婚約者がいるし、侯爵家で歳が合う令嬢はもういなくなる訳よね?」
「そうね。」
「爵位が高い家の者と、婚約させたいのだろうと思っていたのだけれど。」
「案外あっさりだったみたいよ。詳しいことは言われなかったけれど。」
「そうなのね。そうすると、次の候補は伯爵家の誰かよね。」
「そうなるわね。お父様は知っているのだろうけど、仕事の話はほとんどしないから、確かなことは分からないわ。」
「まあ、誰になっても、前回のような間違いは犯してほしく無いわね。」
「そうね。もう誰も傷付けてほしくはないわ。」
その後は近況含め、他愛もない話をして時間を過ごしていた。
トントントントン
「はい」
ドアが叩かれたので返事をすると、ロバートが入ってきた。
「プルメリア様。エメラルド様がお見えです。」
「え?今日約束していたかしら?」
「いえ、約束は無いとおっしゃっていました。」
「そうよね。……客間に通して、少し待ってもらって。」
「畏まりました。」
「クレマ。」
「分かっているわよ。師匠さんだか、婚約者様がいらっしゃったんでしょ?たくさん話せたし、私はもう帰るわ。」
「たぶん、ジェイク様の方ね。師匠の時は騎士団長と言うから。……ごめんなさいね。」
「いいのよ。二人の時間楽しんで。」
クレマは、そう言ってウィンクをして帰っていった。
「お待たせ致しました。」
「いや、友人とお茶会だったのだろう?こちらこそ先触れもなく、来てしまって申し訳ない。」
「予定より長く話していたので、大丈夫です。どうか致しました?」
「もうすぐ休みも終わるだろう?会えるときに会いたいと思ってな。仕事で急に空きが出たものだから、来てしまった。これは土産だ。」
「まぁ!可愛らしいお花!」
ジェイク様は、ピンクのガーベラがメインの小さなブーケをくれた。
「女性に花など送ったことが無かったから、店員に任せてしまったが、どうだろう。」
「そうなのですね。これはこれで嬉しいですが、今度はジェイク様が私らしいと思う花を選んでくれると、もっと嬉しいと思います。」
「オパール嬢らしい?」
「ええ。」
「分かった。」
「ところで、ジェイク様。婚約もしたのですし、オパール嬢というのは………。」
「そ、そうか?では、プルメリアと………。いや、リアと呼んでも?」
「はい。もちろんでございます。」
こうして私達は、お茶をしながらゆったりとした二人の時間を過ごした。
◇
そして、学園へ戻る日になった。
今日は我が家の者以外に、ジェイク様も来てくれている。
「お父様、お母様、お兄様、行ってきます。」
「気をつけて過ごすんだよ。」
「はい。」
「ジェイク様、手紙書きますね。」
「ああ、俺も書く。」
「それでは、行ってきます。ライラ、またよろしくね。」
「はい。」
「ネーロとノアもよろしく。」
「「はい。」」
私とライラは馬車の中へ、ネーロと、ノアは御者席へ乗り込む。
学園に居ると、休みは無いに等しいので、この休みの間、3人にも休んでもらっていた。
実は、1年生の初めての長期休み時に…
「3人とも、この休み中は、貴方達も休んでね。」
「「「え?」」」
「学園では、休日が無いでしょ?いつも頑張ってくれているんだし、ゆっくりしてちょうだい。もちろん、給料は出すようお父様に言ってあるから大丈夫よ。」
「休みは交代に貰っています。」
ライラが言うと、ネーロとノアも頷いている。
「何を言っているの。休みの日も私の周りで、何かしらしていたではないの。」
「それは…。」
「それは、休日とは言わないわ。」
「「「申し訳ありません。」」」
「3人が居てくれるのは、とても嬉しいのよ。でも、体を壊さないか心配なの。」
「プルメリア様…。」
「お願い。」
「「「……はい。」」」
3人とも渋々だったが、休んでくれた。それからは、恒例となっている。
馬車の中では、ライラが休みの時の話をたくさん聞かせてくれた。
学園についたら、ノアとネーロにも聞いてみましょう。
そんな風に過ごしていると、学園に着いた。
何事もなく部屋に向かい、部屋でお茶を飲む。
「はぁ、落ち着くわね。………無事に着いたと手紙を書かなくては。ライラ、準備をお願い。」
「畏まりました。」
「あ、ちょっと待って。ジェイク様にも書いたほうがいいかしら?………でも、着きましたと書いても困るだけ?どうしましょう。」
「プルメリア様からの手紙ならどんな物でも嬉しいと思います。」
「………………そうかしら。それなら、2通分の準備をお願いできる?」
「畏まりました。」
お父様には着いたことを簡潔に書いた。
さてと、ジェイク様には………。
こういう手紙ってどう書けばいい?
婚約者に初めての手紙…。
着きましただけでは駄目よね…。
ゔーん…………。
「プルメリア様。差し出がましいですが、1つだけ失礼します。私は、考えすぎず思ったことを書けばいいと思います。」
「思ったこと?」
「はい。」
学園に来たらよっぽどのことがない限り、長期休みまで帰ることはない。ジェイク様と次に会うのも、いつになるか…。
「『ジェイク様、無事に学園へ着きました。まだ授業も始まっていないのに、すでにジェイク様に会えないことを考えてしまい、寂しく思います。』…………なんか違う様な。」
ふと、机にある押し花を見た。
「そうだ。『以前頂いたガーベラを、押し花にして大切にしております。寂しくなっても、ジェイク様がそばにいてくれるように感じて、頑張れそうです。』よし!ライラ、お願いできるかしら。」
「畏まりました。」
ライラはニコッと笑って、手紙を出しに行った。




