ノアside
プルメリア様は、いつも「ありがとう」と「気をつけて」という言葉をくれる。そんな令嬢は珍しい。
学園内を偵察していると、噂話はどこからでも聞こえてくる。
“オパール嬢は見目がいいのに残念だ”
“野蛮な所さえなければ”
そう噂している人物は、きっちり名前を覚えている。
全然分かっていない。
プルメリア様は、野蛮などではない!
戦っている姿も美しいんだ!
影たちもプルメリアの事が大好きだった。
そんなプルメリアからのお願い。
「さぁ、気合い入れて調べるか。」
「どこ行くんだ?」
ちょうど帰ってきたネーロに声をかけられる。
「プルメリア様からお願いされた。」
「プルメリア様から?珍しいな。で、何を?」
「クリスティーナ·アンバーを調べに行ってくる。」
「ライアン殿下の隣にいた?」
「そう。気になるそうだ。」
「俺達のいない間に何かあったのか…?」
「後でライラ嬢に聞いておいてくれ。行ってくる。」
調べて分かったことは、大まかに3つ。
①クリスティーナという娘は、学園入学前にアンバー男爵家に入ったという事。何でも当主が侍女に産ませた子だという。
②入学してからライアン殿下にベッタリだという事。
③意味不明な事を言っているという事。
意味不明な事というのは…
○ライアン殿下の婚約者がプルメリア様である。
○ルビー嬢とアメシスト嬢はプルメリア様の取り巻き。
○自分はヒロインとかなんとか。
そして今、目の前で靴や服を汚したり、破いたりしている。
何やってんだ、こいつ?
「これでよし!全く、何なのよ。婚約者は違うし、虐められないし、話が進まないじゃない!しかも、プルメリアが美人でライアンが見惚れてるし。ヒロインは私よ!」
そういうと何処かへ走っていった。
追うか。
追って行った先は、ライアン殿下のところだった。
「ライアンさまぁ!」
「クリスティーナ!どうしたんだ、その格好は!」
「急に囲まれて、ライアン様に近づくなって言われて……」
「アンナか!」
「いえ、違う方でした。」
「誰かわかるか?」
クリスティーナは、目に涙をためて首をふる。
なんだ、この茶番……。
………とりあえず、プルメリア様の所へ戻るか。
プルメリア様に報告をすると、お礼を言われたあと、考え込んでしまった。
そりゃ、考え込むよな。自分の名前が出てきてるし、巻き込まれるのが目に見えてる……。
俺たち影は、一層気を引き締めないとな。
ネーロとライラと、これからの相談を早々にすることにした。




