第6話 『理由』
太陽の黒点、「ダークフレア」拠点内
?「ねえ、白薔薇さん。私ね良く分からないけど、頭が痛い……。何でだろう…。」
茨の鳥籠の中で白いフードの人物ーーロゼは目の前の少女に話しかける。
少女は何も言わずただ首を傾げるだけだった。
そんなろを遠くからシリウスが見ていた。
?「シリウス、悪い趣味の持ち主なんだね。覗きは良くないよ。」
シリウス「何しに来たフレア?」
睨みながらフレアに質問をするシリウス。
嫌悪感のオーラが出ていた。
フレア「理由はないよ。」
シリウス「お前は何も感じないのか?」
フレア「何がだい?」
質問に質問で返すフレア。
その態度が気に入らないシリウス。
シリウス「本当に何も感じないのかお前は!」
フレアの襟首を掴み迫るが、等のフレアは顔色変えず無言でシリウスを見ていた。
シリウス「お前は本当に……何も感じないんだな…。……この化け物めがっ!!」
フレア「化け物?そういう君はどうなんだい?」
フレアの言葉にそう言われて掴んでいた手を離す。
シリウス「私は……」
それ以上は何も言えなかった。
※
朝、都内。
美雪「……以上、今日の天気予報でした。これからお出かけの皆さん、行ってらっしゃい。」
朝の情報番組の天気予報コーナーを終えた美雪。
スタッフ「白石さん、お疲れ様です。」
スタッフが声をかける。
美雪「ありがとうございます。」
ディレクター「白石さんお疲れ様!いやー今日も絶好調だよ!視聴者からの反響もグッドだよ!」
ディレクターが上機嫌で話す。
美雪「ありがとうございます。」
身支度を終え、スタッフと別れ1人でウェザーサービスへ向かう美雪。
今日は、雨音から会社へは送れないと言われたので会社近くへ向かうバスが停まる、停留所へと向かっていた。
歩いている途中、悲鳴が聞こえた。
声の元へ向かうとそこには雪が降っていた。
美雪「何で?どうしてですか……?」
ついさっきまで天気予報をしたばっかりの美雪は戸惑っていた。
『予報は晴れ』と自分で言ったからだ。
それなのに雪が降っている。
戸惑いながらも雪の中を走った。
所々に氷の像が立っているのも気になったが、よく見るとそれは氷漬けにされた人間だった。
美雪「これももしかして怪物が……」
そう考え警戒しつつ走る。
また、悲鳴が聞こえた。
その場所へ急ぎ走る。
そこにたどり着くと雪の様に白く、氷の様な青年がいた。
美雪「貴方は、この間の人!」
青年「……来たんだ。雪使いの人間。」
美雪「えっ!なぜ分かったんですか?」
青年「気配……。君の持つ力の気配。」
と淡々と答える青年。
美雪「人間を氷漬けにして!こんな事許しません!チェンジ予報100%!」
美雪は変身すると青年へ向かって行った。
腰に携帯しているバトンをレイピア(細剣)に変化させ、攻撃をするが避けられた。
美雪「これなら……氷柱!」
巨大な氷柱を召喚し攻撃をするが粉々に破壊された。
青年「なぜ、君は戦う…?」
と青年が言う。
美雪「それは……」
突然の質問に戸惑う。
美雪「あ、貴方はなぜ…?」
逆にきく。
青年「私は、貴女の敵だから……」
そう答えが返ってくる。
青年「君はどうして戦う?」
再びきかれるがホワイトはどうしても答えられなかった。
沈黙した空気が続く…………
青年「貴女は…」
美雪「貴方は…」
と2人が同時に何かを言いかけた時だった。
涼太「疾風扇!(しっぷうせん)」
陽太「陽光弾!(ようこうだん)」
聞き覚えのある声が遮る。
雨音「ホワイト!」
光「オラァァァ!この野郎!」
天輝戦隊の面々がやって来た。イエローが青年に斬りかかる。
青年「……無意味」
と避けられる。
光「この野郎!避けるな!逃げるな!」
文句を言うイエロー。
青年「それは無理な話だ。なぜ、そんな事を言う?」
光「ンなもん知るか!」
青年「そうか……。……私は氷天聖。今日は退こう……。」
と言うと吹雪の中に消えた。
氷天聖が消えると街に降っていた雪も消えた。
※
涼太「そんな事きかれたんか?」
美雪「はい。『何故戦うのか?』と。」
雨音「戦う理由……か。」
ウェザーサービスでは素の5人が美雪と氷天聖とのやり取りを話していた。
陽太「でもさ、俺達の戦う理由って改めて考えた事なかったよね。」
涼太「僕は、適格者に選ばれたからからにはやるべき事をやるだけや。」
と答える涼太。
光「元ヤンの俺に働く機会をくれた恩返しだな。」
光はアヤコを見ながら答える。
陽太「涼太と被るけど、俺は適格者だから。」
陽太の答え。
雨音「私は、自分にしか出来ない事だから。」
雨音の答え。
美雪「私は……」
言葉に詰まる美雪。
美雪「………………」
無口になる。
光「どうした?」
美雪「それは……分かりません」
悩んだ末の美雪の答えだった。
涼太「分からないって……。ふざけとるのか!」
涼太が睨む。
美雪「……………………」
光「涼太、言い過ぎだろ!」
雨音「そうだよ!美雪はふざけてないよ!」
涼太「理由が言えない所でふざけとるやろ!」
雨音&光「「ふざけてない!!」」
遂には言い合いを始める涼太、光、雨音。
耐えきれず美雪はウェザーサービスを飛び出した。
ウェザーサービスを飛び出した美雪。
ドンッ!
誰かとぶつかってしまう。
美雪「あ…すみません……」
?「あれ?美雪ちゃん。」
美雪「き、霧谷さん……」
チャバの店内に美雪はいた。
幸い店内には、美雪以外の客は居なかったので「我慢しなくていいんだよ」と霧谷は優しく語りかける。
その言葉に美雪は激しく泣き出した。
泣き止むまで霧谷はただ静かに側にいた。
霧谷「落ち着いたかい?」
美雪「……はい。」
霧谷「お茶を淹れたよ。気持ちが落ち着くお茶だよ。」
温かいお茶の香りが美雪に落ち着きを与える。
美雪「………霧谷さん」
霧谷「どうしたんだい?」
美雪「霧谷さんはなぜ、天輝戦隊のサポートをしてるんですか?」
霧谷「僕がそういう事をしている理由は、尊敬する人の影響だよ。その人はもう亡くなったけど技術者として、人として最高の人だったからね。」
美雪「そうですか……」
霧谷「突然、そんな質問をして何かあったのかい?無理して話さなくてもいいんだよ。」
霧谷に正直に事の経緯を話す美雪。
霧谷「そうかそんな事があったのか。でも、美雪ちゃん。焦って答えを見つける事は無いんじゃないかな?と僕は思うよ。」
美雪「……………………」
霧谷「皆んなは皆。美雪ちゃんは美雪ちゃんで理由がきちんとあるよ。」
霧谷の話しをききながら、お茶を飲む内に気持ちが落ち着いてきた美雪。
美雪(私が戦う理由……)
暫く無口となる。
美雪「霧谷さん。」
霧谷「はい。」
美雪「話しをきいてくれてありがとうございます。」
霧谷「いや、いいよ。お礼なんて。」
ウェザーサービスに帰る美雪を見送る霧谷だった。
※
険悪ムードのウェザーサービス内。
陽太が仲裁に入るがほとんど効果は無かった。
睨み合う3人。
特に仲が悪い涼太と光の間に流れる空気はピリピリとし、最悪だった。
この状況に耐えきれず泣きたい気持ちの陽太。
陽太(もう嫌……)
誰かに助けて欲しかった。
美雪「皆さん!」
雨音「美雪!」
陽太「美雪ちゃん!」
涼太「もう戻ってきたのか……」
美雪の登場に空気が和らぐ。
美雪「皆さんすみませんでした。」
頭を下げる。
涼太「べ、別に謝る事でもないわ。」
陽太「でも良かった。直ぐ帰って来て。」
ツンとした態度の涼太と対象的に心配していた陽太。
雨音「美雪、何か言いたそうだね。」
美雪「はい。私が何故、戦うか理由がわかりました。」
何々かと4人は集まる。
美雪「私、白石美雪が戦う理由は『答えを見つける為』です。」
涼太「何やそれ?」
光「理由が無ぇよりマシだろうよ。」
雨音「美雪らしい理由だね。」
陽太「良かったね。理由が分かって。」
拍手する陽太。
他の3人は「この人らしいや」と納得していた。
※
5人のやり取りを見ていたアヤコ。
「戦う理由か……」と考えていた。
自分が戦う理由。
(私が戦う理由何て……意味の持たない言葉よ。)
と心の中で呟いていた。
しかし先日の電話のやり取りを思い出す。
アヤコ(私に今更、何が出来るの……?期待に応えられる訳が無いわ。)
と心の中でぼやいていた。
第6話
終わり