第2話 『その名は「ダークフレア」』
都内、テナントビル「朝比奈ビル」屋上。
「洗濯物、洗濯物。」と独り言を言いながら屋上に出て来た管理人兼警備員の陽太。
だが、突然、風が吹く。
「うわぁっ!」驚く陽太。
陽太「いきなりなんだよ……。それより洗濯物は……。ハァ…マジかよ……。」
突風が止んだ後の目の前の光景に落胆する。
屋上の地面に無惨にも散らかり落ちていた。
陽太「クソっ!やり直しじゃないかよ……。えーと、1、2、3……あーッッッ!パンツが一枚たりない!最悪すぎる……」
色々な不幸が重なる状況に泣きたくなった。
※
株式会社「ウェザーサービス」内。
美雪「今、凄い風が吹きましたね。」
窓を見ながら話す。
涼太「そうですな。風というのは動きが予想外なのが多いですから。」
パソコンの画面を見ながら涼太が返事をする。
涼太「ところで美雪、予報データできてますか?」
美雪「はい。出来てますよ。」
とデータが入ったUSBメモリーを渡す。
涼太「おおきに。」
※
同じ頃、社長室の窓から外を見ていたアヤコ。
アヤコ(今日は何も起きなければいいわね……)
冷めた目で空を見ながら考えていた。
社長室のデスクの上には、先日の「天輝戦隊ゴーウェザー」の戦いを撮影し記事になっていた雑誌があった。
雑誌には大きなタイトルで『謎の5人組現れる!』と。
※
都内、某有名大学のカフェテリア。
友人A「雨音、この後ひま?久々に原宿行かない?新しいスイーツ店ができたんだよ!」
友人B「雨音ってバイトに毎日大学でしょ?たまには息抜きしないと。」
友人C「そうそう。」
大学の講義を終えた雨音は、友人達とこの後の予定について話していた。
雨音「今日はバイト無いし。原宿イイヨネ〜。行く行く!……ってしまった!私、今日は大学にバイクで来てたんだ!」
友人C「それならさ、待ちあわせしよ。あたし達、電車で向かうから。駅で落ち合おう。」
雨音「オッケー!着いたらさお互いにメールしよ。」
こうして原宿へ行く事となった雨音。
※
都内国道。原宿方面。
原宿方面を愛車の大型サイドカーバイクで走る光。
今日はたまたま、契約先に用事があり走っていた。
光(ハアー。原宿かぁ。マジ、若者の街だよな。)
と思いながら信号待ちをしていた。
急に、変な寒気を感じてふと、空を見上げると……。
光(!!!!!)
光(お、オーロラ!?)
不気味な紅い光のカーテンがユラユラと空を覆っていた。
原宿の街を歩いていた人達も、突然現れた不気味な紅い光のカーテンを見ていた。
光(そういえばあの時も……)
つい先日の事〜天輝戦隊ゴーウェザーの初戦の日を思い出す。
オーロラが消えると、突風がふいた。
突風と共に武器を持ったシャドウ兵が現れた。
突然の出来事に原宿の街は混乱に陥った。
光(こりゃ、マジでヤベェじゃねぇかよ!)
と思った。
直ぐには変身と行かず、人気の無い所を探して変身した。
光「チェンジ予報100%!」
体が光りヒーロースーツ姿になる。
逃げる街の人達。
かれらを追い回すシャドウ兵。
その様子を高い場所から見ている黒い何かがいた。
腰のバトンを抜くと刀に変化させる。
光「行け!雷切り!」
刀を天に向けて上げ叫ぶ。
ゴロゴロ、ドッッッカッッッーーーッッッン!!
雷が命中し黒い何かが落ちた。
?「し、し、痺れるカァ……」
光「カァってカラスかぁてめぇはよぉ?」
落ちたモノーーカラスダークを見て、ウェザーイエローは呆れ気味にツッコミを入れた。
※
テレビでは臨時ニュースとして原宿の混乱が生放送されていた。
それを会社のテレビで見ていたアヤコ、涼太、美雪。そして管理人室で見ていた陽太。
アヤコが社長室に入るのを見て、涼太と美雪の二人は朝比奈ビルにあるウェザーサービスの『物品庫』に向かう。
行き先は古いロッカー。
陽太は管理人室を出ると同じく『物品庫』のロッカーに向かった。
合流した三人。
ロッカーに変身アイテムのブレスを当てると、自動的に扉が開き中に通路が現れる。
三人はそこを通るとアヤコが待っている部屋へ到着した。
陽太「あれ?雨音ちゃんと光は?」
二人足りない事に気付く。
涼太「確か、今の時間なら確か大学の筈や。バイトも休みだし何処かに居るやろな。光のアホは原宿に営業やな。生命力がゴキブリ並やからまず死んどらんやろ。」
半分酷い事を言いながら二人が居ない事を説明する涼太。
アヤコ「その雨音さんだけど丁度、原宿にむかってるわ。」
アヤコの情報に驚く三人。
美雪「今、状況はどうなってますか?」
アヤコ「鳴上君が一人で戦っているわ。何とか持ち堪えている……って所ね。状況は良くないに変わりはないわ。」
アヤコが淡々と話す状況説明に嫌な汗が三人であった。
※
光「ハァ……ハァ……」肩で息をしているイエロー。
一人で何十人はいるか数がわからないシャドウ兵を倒したが、既に体力の限界は超えていた。
カラスダーク「カカカっ!お前疲れてるカァ?フラフラだあカァ。」
光「うるせぇ!」
カラスダークのからかう物言いにムカつき、怒るが正直図星だった。
カラスダーク「さっきはよくも雷を落としてくれたなカァ!倍返しだカァ!」
空に上がったカラスダークが猛スピードで突進をしてくる!
突進攻撃をしてくるカラスダークを撃退する体力が無いイエロー。
気力と根性で立っているのがやっとだった。
最後の気力を振り絞り雷攻撃を……と思った時だった。
?「ウォーターショット!」
カラスダーク「カァ!」
聞き覚えのある声がカラスダークを撃ち落とす。
?「イエロー大丈夫?」
光「正直、真面目に限界……」
現れたのはウェザーブルーに変身した雨音だった。
雨音「多分、皆んなが来ると思うから後は任せて!」
光「おう……。」
と、応えやって来たブルーとタッチするとイエローは離れた場所に座っていた。
雨音「デッカイカラス!今度は私が相手だよ!」
カラスダーク「やいコラ!お前がカラスダーク様を落とした犯人カァ!」
雨音「だーかーらー。なにー?」
面倒くさそうに返事をするブルー。
睨み合うブルーとカラスダーク。
腰のバトンをチェーンに変化させると先にブルーが仕掛けた!
カラスダークを狙って投げるが避けられる。
それでもブルーは怯まずチェーンを投げる。
カラスダークは素早い動きでチェーンを避ける。
チェーンが外れた周りには水溜りが出来ていた。
何も知らずに水溜りに着地するカラスダーク。
カラスダーク「カカカカ!皆んなハズレカァ!バーカ!」
ブルーをバカにして笑うカラスダーク。
しかし……
雨音「どっちが?……今だよ!!」
光「いっっけぇぇ!!雷切り!!」
カラスダーク「ギャアアアッッッ!!!」
水溜りにいたカラスダークに雷が直撃し、かなりの大ダメージを与える!
「そんな馬鹿な………」と最後のセリフを呟くとカラスダークは爆発し亡くなった。
ブルーとイエローの連携にて倒された。
光「科学の応用なんて俺には真似出来ねぇよ。」
雨音「そんな事より立てる?」
光「まあ何とかな。」
と話すイエローとブルー。
だが、冷たい視線を感じ後ろを振り向くと、ボロボロになった原宿の街に5人の人物がいた。
パンパンと拍手をする青年。
?「流石だな、人間。ここまでやるとは。」
冷たい視線にブルー、イエローが凍りつく。
本能的に危険を感じていた。
そこへ遅れて天輝戦隊の残りのメンバーも合流する。
?「私達も5人。人間共も5人。殺ってしまってもいいですシリウス様?」
炎の様に紅い衣装の女性が『シリウス』と呼ぶ人物に尋ねる。
『シリウス』の代わりに老人が「待たれよ!……今はまだ時期尚早であるぞ。」
と答える。
?「あーあ。つまんない。」
老人の近くにいた少年は、つまんなそうな顔をしながら棒付きキャンディをガリガリ噛む。
涼太「さっきから、勝手に喋ってるそちらさん。名前位名乗ったらどうや?」
?「生意気だよ!」
グリーンに飛び掛かりそうな女性を雪の様な青年が無言で止める。
シリウス「我々は……ダークフレアだ。私はシリウス。………『ダークフレア』。自ら名乗るのさえ忌々しい。」
涼太「ん?」
シリウスの妙な自己紹介に『?』が浮かぶグリーン。
シリウス「今日はお前ら、『天輝戦隊』という人間共を見に来た
だけだ。」
そう言うと5人は姿を消した。
※
都内大学病院
色々理由をつけて検査入院中の光。
カラスダークとの戦いでの疲労やダメージが酷いので療養させていた。
アヤコ「……いきなり現れた5人ね。これは推測の話しだけど、幹部クラスと考えられるね。」
先日の戦いの話しを聞くアヤコ。
陽太「幹部って事は必ず親玉いるって事だよね……。何だか嫌だな……。」
涼太「嫌なら天輝戦隊辞めたらええ。中途半端な腰抜けは嫌いや。」
雨音「涼太、言い過ぎ。私は陽太が中途半端な腰抜けじゃ無いと信じてるからさ。」
光「俺は彼奴等を倒せる位に強くならないとな。」
美雪(何ででしょうか?雪の気配がした……)
謎の敵『ダークフレア』の登場にそれぞれ色々な思いが膨らむ天輝戦隊だった。
第2話終わり