騎士団御一行。携帯電話に出会う
全員に浴衣を着せた。
幸い、うちの旅館は外国人観光客が多いため、外歩き用の浴衣の貸し出しもしており、いろいろな浴衣がある。それぞれに好きな柄を選んでもらい、家族総出で着方を伝授した。
皆、足元がスースーすることに違和感を唱えたが、とりあえず今は我慢してもらい、裸足を嫌がるため足袋を履いてもらった。
アニメオタク集団だった騎士団御一行は、日本文化に憧れる外国人御一行の雰囲気に様変わりした。
やはり洋服を調達して普通の外国人に見えるようにしないと。洋服を調達するなら親戚のヒロヤ兄ちゃんがちょうどいい。ヒロヤ兄ちゃんのところは3兄弟。
みんなマッチョな体でそういう大会にも出ている。ヒロヤ兄ちゃんのところにある服を譲ってもらおう、ヒソヒソ話で兄と妹は話し合い、兄はポケットから携帯を取り出し、ヒロヤ兄ちゃんに電話をした。
兄の行動を見ていた騎士様御一行はざわついた。
「あの小さな箱に向かって話している」
「声はユウジ殿の声しか聞こえないがあれは魔道具か?」
「何をしているんだ?」
口々に結衣に聞いてきたため、
「あれは電話と言って、遠くにいる人と会話をする道具だよ。メールって言って文字での会話もできるから便利だよ」
と教えると
「結衣殿も持っているのか?」
と聞かれたため、父も母も私もポケットから携帯を出して見せた。
「これが携帯…。」
テーブルの上に置いたら、携帯を囲むように皆集まってきた。
試しに、母に私の携帯に電話してもらうと、私の携帯の画面が光り、「母」と着信者の名前が表示されると共にバイブで携帯が震え出した。
「どうやるのだ?」
皆興味深々。電話に出て、目の前にいた第一騎士団の団長の耳に携帯を当ててあげる。
「目の前にいる母殿の声がこの箱からも聞こえてくる!すごいぞこれは!魔力が無くても使えるのか?これは便利だ。私たちは魔力のあるもの同士でないと遠方の者と会話できないんだ!」
と騎士団長はいい、「実演してみよう」
と騎士団長は言うと、自分のこめかみに、右手の人差し指と中指を揃えてくっつけて目を閉じた。
と、突然頭の中に団長の声が聞こえて来た。
『これが魔法を使った会話の方法だが、今はここにいる全員に対して話しかけている』
『隊長、いつもみたいに途中から怒らないでくださいよ。魔法会話で怒鳴られると頭痛くなるんすからね』
『そうそう隊長はいつもくどくどうるさいんすよね』
『ほほう、第一騎士団団長はいつもうるさいのかー』
と次々会話が頭にこだまする。これは気持ち悪い。
ちょっと誰もいないのに頭の中から声がしたらホラーだよね。ちょっと狂ってると思われるよね。
そう思っていても会話にはならなかった。団長が口を開いた
「結衣殿、これは魔力を持たないみなさんに話しかけても、こちらの声は届くが魔力のない者の声はこちらに届かず一方通行なのだ」
と笑っていた。魔力会話は、突然頭の中に響いて来て、着信拒否はできないんでしょー。
不便だわー、と私が感じた事を父や母が感じたかは不明だが、
この後1時間、携帯の受発信に付き合わされた




