人間観察してみますか
結衣とソルのパートです
今日はみんな仕事だし、友達はバイトだし、暇だなぁ〜。
奥野家は現在工事中のため、日中暇でも家にいられない結衣は今、カフェに来ている。このカフェは駅前にあり、2階席から外がよく見える。
うーん。こんなに暇なのも久々だ。
何しよっかな〜。
こんな日は美容院でも行こうかな、、、
なんて思ってネットで美容院を予約しようとしたら
『俺も行きたい』
頭の中で声がした。
あーもう!!
テレパシーはやめてほしい。
なんで勝手に心の声を読むんだろう。
プライバシーの侵害だわ
第一、用件は電話かけてきてよね!
と心で呟くと、携帯が鳴った。
やっぱりソルだった。
「もしもし?」
電話に出ると
「俺も行きたい!」
と言われた。
「どこに?」
「ビヨウイン」
とソルは答えたので、心を無にして
「病院?美容院?」
と聞くと
「ビョウイン」
と言ったので、注射打たれたり歯医者さんで治療を受けることを想像したら
「そこじゃない!」
と言ってきたので
「今どこにいるのよ。なんで読むわけ?」
と言ったら、カフェの一番奥の席の人が振り返り手を振ってきた。
とりあえずお会計をしてソルと外に出た。
「人の心は勝手に読むものではありません!」
「えー?だって聞こえるんだもん」
とニコニコしているソル。
「それって魔法を持った皆がそうなの?」
「魔法の強さによってかな?オランド王国では、皆、心を読まれない方法を知っているけど、この国ではみんなダダ漏れだからね。面白いよ。例えばね、あそこを歩いているチェックのシャツの人」
駅前を歩く人を見ると、信号待ちをしているちょっと太ったチェックのシャツの人が見えた。
「あの人、自分のことカッコいいと思っていて、今から振り返ってあの人の後ろに信号待ちをしている髪の長い人に声をかけるよ?どうも知り合いみたい。女の人はあのチェックのシャツの人に気付いてないね。今、女の人は友達と待ち合わせの場所に行こうとしてるよ」
とソルが言うと、本当に男の人は振り返って、女の人に声をかけた。女の人は怪訝そうに何か答えると、信号を渡るのをやめて小走りでこっちに来た。
電話をかけながら歩き出した。
「ねぇ、そっちに行きたいんだけどさ、変な人が声かけてきて気持ち悪いのよ…うん…うん…まだ信号の所にいるチェックの人…うん…こっち見てて気持ち悪い」
電話で話している声が聞こえる。
「ソル。何があったの?」
「うーん、早い話が、一緒に遊びに行こうと誘ったら、女の子はあの男の人を知らなかったの。で、気持ち悪く思って逃げてきた。あ!ほら、駅の反対側から走ってきた男子2人、女子1人があの女の子の友達だよ」
とソル。
「あ!あの男の人、見てるよ?」
と結衣。
結衣の視線の先には、先程のチェックのシャツの人が女の子をじっと見ている。
「チェックの人はね、走ってきた男子を見て、俺の方が絶対いいと思ってるよ。でも次は、授業中に誘おうと思っているみたい」
「えー。気持ち悪い。私的には、あの2人の男子、カッコイイと思うけどなー。髪型は、髪をアッシュに染めててかっこいいよね。背も高いし」
結衣が人間観察しながら感想を言う。
「そうなの?あんな筋肉のない人がかっこいいの?」
驚くソル
「ポイントはそこじゃない!違う違う!雰囲気ね、雰囲気」
「ふーん。いつもサイファと一緒にバイトしているのに、サイファよりあんな顔がいいんだ〜」
ニヤリと笑うソル。
「ちょっ!ソル!何を読んだのよ?」
焦る結衣。
「あのね『サイファの顔って、どんなに見てても飽きないわぁ〜。ニホンジンとは違う彫りの深い整った顔よね。はぁ』なんて思ってるでしょ?それ、サイファに筒抜けだからね。サイファも魔力量多いから、近くの人の声、筒抜けだから」
とニヤつくソル。
結衣は真っ赤になって
「うそ?本当に?サイファにバレてるの?」
「サイファだけじゃないよ。大半の仲間が魔力持ってるからね。ほとんどの人が結衣の思ってること、奥野家の人が思ってる事が聞こえてるよ」
顔から火が出そうな結衣を見て、ソルが笑った。
「奥野家の人はみんな優しいね。突然やってきた俺たちを受け入れてくれて…SFだ!とか、パラレルワールド!とか、4次元のポッケはあるのかな?とか、思いながら過ごしてくれてる。
みんな嫌なこと一つ考えずに過ごしてくれているんだ。ありがとう。
って事で、本日は暇だし人間観察でもしようか」
とソル。
「えー?だって私、心の声聞こえないもん」
と結衣が言うと、ソルが手を繋いできた。
「これで聞こえるよ?」
とソルが言うと、大量の声が聞こえてきた。
うるさくて耳を塞ぎたくなる。
「すごくうるさい!こんな中で過ごしてるの?大変じゃない?」
と聞くと、
「シャットアウトできるから、そうでもないよ?常に聞こえてたら疲れるしね」
とソル。
「じゃあ、面白そうな声のみ拾うね」
と言うと、本当に縛られて、初デートをしているカップルの声とか、昨日飲み過ぎて鞄をなくして交番へ向かう人の『昨日何してたんだ?どこへ行ったんだ?キャバクラ行ったっけ?それともニューハーフ?』なんて声とか、いろいろ面白い声が聞こえた。
結局、暇な1日、結衣とソルは人間観察をして過ごした。
手を繋いだまま。
そうしないと結衣には声が聞こえないから。
ソルがシャットアウトした中に、「なにあの外国人と日本人のカップル!外国人イケメン〜」とか「あの外国人お持ち帰りしたい」とか、自分と結衣に関するものは全て結衣には聞かせませんでした。
知らぬがホトケ




