ビーチバレー
まず、結衣とアーニャの女性チームの試合になった。
コートまでの花道は入場する選手へのハイタッチ待ちの人でいっぱいだ。なぜかほとんどが女性なのは、この後に始まる男子の試合を見るために場所取りをしているからだ。
花道を歩くと、次々とハイタッチをしていくが、やはりアーニャの指輪は光らない。
コートに入ると、相手チームとタッチをして試合がはじまる。
相手チームは、バレーボール経験者だった。
全く歯が立たない結衣とアーニャ。
相手チームは点を取るたびに観客とハイタッチをしていく。
なかなか点が取れないでいたが、一回だけ、結衣のサーブで点が取れた。
点を取ったら、観客達とハイタッチをしてまた試合再開である。
その一点のみしか取れず試合が終わった。
試合を最後まで見てくれた観客達とハイタッチしながら、コートを後にした。
「全く試合にならなかったけど楽しかった!」
アーニャは笑顔で騎士団御一行のもとに戻った。
「ハイタッチのたびに見てたんだけど、指輪は光らなかったよ」
とグロリアス。
「こちらの世界のに来てから、約3週間だけど、昨日までに触れた人数と、今日一日で触れた人数は、今日の方が多い!
こんなに沢山の人に触れて聖女様かどうか確認できたから今日は来てよかった。残念ながらまだ聖女様は探せてないけど」
とアーニャは言っていた。
女子部門は出場チームが4チームと少なかったのと、経験者が1チームしかなかったのですぐに優勝チームが決まった。
次は男子チームの試合が始まった。
すぐにユウジとサイファがでてきた。サイファを見た観客の女性達の黄色い声で全ての音がかき消された!
サイファとハイタッチしようと女性が押し掛けてきた。沢山の手がハイタッチのために伸びてくる。
ユウジが先に歩き、後ろからサイファが歩く。
サイファにハイタッチしてもらおうと我先にと手が伸びてくる。
のっぺりボディのユウジもついでにもみくちゃだ。
サイファはおずおずとハイタッチしていく。
その様子をアーニャと結衣は見ていた。
「もみくちゃになりそうだね。」
「あの道抜けてコートにたどり着くまでに体残ってるかな?」
「無事にはたどり着けそうにないね」
ハイタッチを希望する女性の手をかき分けて、ちょっとボロボロになったサイファがでてきた。
ちょうどサイファが見えた時、見た目アラフォーのお姉様にお尻にタッチされているところだった。
「あれは、もう食べられちゃうかもしれないね。」
と結衣
「うん。狙われているね」
「肉食怖い…」
ソルが震えながら会話に混ざってきた
試合が始まった。
初心者同士の試合のため一進一退である。
試合が始まる直前、サイファは前に立っているユウジにテレパシーを送っていた
『あの女性の間を通るのは辛いです。頑張って負けましょう』
そのテレパシーを受けたユウジは、びっくりした顔をして、それから振り返るとサイファの顔を見て頷いた。
サイファの運動神経なら一人で簡単に勝ててしまうが相手の動きに合わせて試合をしていた。
相手チームは、大学デビューっぽい雰囲気の男子2名。女子にモテたくて試合にエントリーしたのがわかる。
そんな若い男の子の様子も肉食系女子の母性をくすぐったのか、試合の歓声はすごいものだった。
一点入るたびにハイタッチ希望の女子達が立ち上がって手を出す。
そうして試合は、大学生チームが勝って終わった。
次はヒロヤとライアンの試合である。
花道を歩く2人への女性の歓声はすごかった。
「私たち、あの歓声にびびりましたよね?」
「そうだよ!肉食女子って一ヶ所に集中すると怖いね」とユウジ
ヒロヤとライアンは、ボディビルダー系肉体のコンビのため、花道を通る時、肩や胸板にタッチする女子も多い。
この2人は筋肉自慢のため、満更でもなさそう…いや、むしろ嬉しそうだった。
相手チームはビーチバレーの選手、しかもライフセイバーもしている。
ヒロヤとライアンに負けないくらい歓声を浴びたブーメランパンツの2人がコートに入ってきた。
優勝候補だ。
試合結果はヒロヤとライアンが勝った。
そしてもう一試合はあっけなく勝ち、決勝。
気がつけば、コートを囲んでいる女性客の数が凄いことになっていた。
皆、本命のビーチバレー選手兼ライフセイバーのブーメランパンツコンビを見ようと集まって来たようだが、決勝に出て来たのは190センチの筋肉ムキムキなイケメン外国人と、筋肉ムキムキの日本人コンビだったのである。
対戦相手は野球部風の大学生のペア。
沢山の女性の心の声が聞こえて来た。
「これはこれでアリよね!」
「私胸板触ったわ」
「後で声掛けに行きましょう」
「あの筋肉に埋れたいわ」
「なんとかしてお持ち帰りしたいわ。あの外国人を!!!」
「×××を××して×××」
など、放送コードにひっかかる心の声もダダ漏れである
オランド王国では強い心の声は近くにいる人達皆に聞こえてしまうため、基本的に心の声の操り方を学んでいるが、ここは日本。
そんなの学んだ人はいないので、声が騎士団御一行にはダダ漏れに聞こえてくる。
そして放送コードにひっかかるほどやばい心の声に混ざって、同じく放送コードに引っかかる男性の声も聞こえて来た。
「魔物より怖い!」
「あの2人を生贄にして逃げよう!」
「魔物が可愛く見えてくるかも…」
騎士団御一行はそそくさと海へ逃げた。海に入らないものは飲食ブースに向かった。
飲食ブースでは、別料金でボックス席を貸切にできるのである。
ソルや他数名は海に入らずにその飲食ブースに行った。
ここなら勝手には入って来れない。
結界が張れればいいのに!
騎士団御一行は本気で考えたが、ここはオランド王国ではない。
騎士団御一行はそれぞれ自分に注意が向かない魔法、気配を消す魔法をかけた。
グロリアスは子供の頃の忌まわしい事件の反対魔法で、呪いが解けるまで弱い魔法しか使えないためソルが魔法をかけた。
グロリアスは普通より美青年なので、あの肉食女子達に見つからないように隠してあげなければならない。
オランド王国では、普段は教会の事務にいて、れいはいにおとずれる参拝者とは接触がない。
グロリアスの美しさは、呪いの反対魔法のせいで美しさを削がれた状態でも、普通の人よりは美しいという恐ろしい美貌なのである。
呪いが解ける事があるとしたら、呪いが解けた後のグロリアスの顔を誰も見る事ができないくらい美しいのではないかと思うソルであった。
ともかくこれで多分安心である。




