日本の夜も安全です
宴会がお開きになり、結衣はアーニャを連れて部屋に戻った。
アーニャは巫女のため飲酒は出来ず、結衣はあと数ヶ月で20歳のため、まだ飲酒は出来なかった。
「ちょっとコンビニでも行きますか」
「コンビニって何?」
アーニャが聞いた。
「眠らない便利屋さん」
笑いながら結衣が答えた。
「ちょっとコンビニ行ってくるねー」
玄関で結衣が大声で叫び、アーニャと共に出かけて行った。時間は夜10時半頃だった。
「私も行きますよ」
後ろからサイファがついてきた
大通りに出ると、まだ沢山のひとが歩いており、駅前の通りはネオンと車であふれていた。
昼間は電気が消えていた居酒屋やバーには灯りがともり、楽しそうに笑いながらお店に入っていく人や、お店から出てきて店員に見送られている人が見えた。
ガラス張りの24時間営業の牛丼屋さんや、深夜営業のラーメン屋さんは結構人が入っており、ビルとビルの間からは風が吹いてきてまだ熱気を帯びた風が体をかすめていった。
皆楽しそうにしているゆっくりした時間の流れる街に、アーニャとサイファは立ち止まった。
「本当に平和っていいですね」
アーニャが言った
「オランド王国もいつかこんな国になったらいいですね。戦争孤児は減ったし、駅の周りではバーの営業も始まってはいるが、こんなに平和ではないよ、アーニャは教会にいるから知らないかもしれないけど」
サイファが答えた。
しみじみそう話す2人が一行に動かないので
「じゃ、コンビニにいるわ」
と結衣が告げて、サイファの横の扉を押して中に入っていった。
アーニャとサイファは、コンビニの前でしみじみ語り合う外国人の構図だった
「待って〜」
結衣を追いかけてアーニャとサイファも中に入った。
店内の物を見て、アーニャが目をキラキラさせていた
「結衣、これって…」
アーニャが手に取ったのは、
酢昆布だった
「この国にもあるのね!!!!」
興奮気味にアーニャが言った
「酢昆布でしょ?ちょっと苦手なのよねー」
と結衣が言うと、
「これは聖なる食べ物なのよ!これを食べた後、美肌魔法をかけるとお肌が綺麗になるって言われてて、みんな買い込むから中々見つからないのよ!」
そういうと、アーニャは陳列されている酢昆布を全部、カゴに入れた。
「え!?全部買うの?」
「当たり前ですよ、結衣。2人で美肌になりましょうね」
とアーニャは嬉しそうだった。
「ところで結衣は何を買いに来たの?」
アーニャに、聞かれ
「これが欲しかったの」
結衣はバニラアイスを手に取った。
「アイスの種類がこんなにあって、それがいつでも買えるなんて!すごい」
アーニャは興奮気味だった。
レジを済ませた後、サイファが教えてくれた。
「先ほど見た映像は、10年前の停戦のお祝いのパレードでした。オランド王国は地上では一番大きな国なんです。
その首都である聖都で、一番最初にパレードを行ったのを見て頂いたんですが、停戦したからと言って急に戦争が終わるわけではなく、停戦に反対するものや、そもそも長い戦争に乗じて権力を狙う者などがいて、本当に落ち着いたのはここ2年くらいなんです。
だから、聖都でも城や教会がある周辺では安全ですが、少し離れるとまだまだ危険です。」
「じゃあ、大戦後10年経つけど、まだ深い爪痕があるってこと?まだまだ安全ではないの?」
「そうですね、そもそも停戦は人族の総意とは言い難いんです。
戦時中も魔族に肩入れしていた国もありますしね。
一枚岩ではないんです。
魔族に肩入れしていた国は、自分の国の領土をこの混乱に乗じて広げたかったんでしょうね。」
「それはそうね。わかる気がする。どこも自分かわいさに足の引っ張り合いよね…」
そう話していると、アーニャが一つのカフェの前で足を止めた。二階建てのカフェは女の子でいっぱいだった。
「どうしたのアーニャ?」
「この時間に女の子だけ、こんなに沢山集まっているお店って何?夜女の子だけで歩いても危険じゃないの?」
「じゃあ入ってみよっか」
そう言うと、結衣はカフェに入っていった。
…10時半回ってからのパフェは流石に太るかも…
そう思いながら、パフェで有名なカフェバーで、「本日のパフェ」を3人分注文した。




