いよいよお仕事です
ヒロヤはみんなを奥野屋旅館に送り届けた。
その時、父に、「ちょうどアルバイト募集するつもりだったから」と、第二騎士団のヒスウェルを連れて行ってしまった。
午後には、何人か父の知り合いがきて、それぞれの勤務先が決まった。
奥野家は旅館だけでなくホテルを2つ経営しているためそちらに何人かと、ヒロヤの父の経営する建築会社の仕事に何人か。
父の知り合いの飲食店に何人かと、数人ずつ、この世界での仕事が決まった。
サティスファイ伯爵は、ホテルのラウンジの席に座っているだけの仕事になった。
その理由は、昨日のパレードの際、サティスファイ伯爵を見た地元の経営者会のマダム達から、紹介してとおねだりされ、会合に父、母、サティスファイ伯爵と3人で出席した。
その時、伯爵の紳士的な態度にマダム達はメロメロ。
まるでお姫様になったみたい!、さすがはレディースファーストの国からやってきた紳士!などと言われるくらいサティスファイ伯爵の話術や所作でマダム達を凋落してしまった。
マダム達は、サティスファイ伯爵に会うにはどうしたらいいか?と聞いてきた為、酔っ払っていた父は、いつもホテルのラウンジに来たら会えるよ、と答えてしまったのだ。
そのため、ホテルのラウンジに座ってお酒を飲むだけの仕事になってしまった。
…客待ちホストのようだ…
父からの説明を聞いた奥野家一家は皆そう思ったが、誰も口には出さないでいた。
ヒロヤと大広間で盛り上がった時にサティスファイ伯爵がいつのまにかいなくなっていたのに騎士団御一行は誰も気づいていなかった。「今話に聞くまではわからなかったが、それは内緒にしよう、、」皆テレパシーで会話した。
「気づかなかったのか。私の存在は薄いのか…」とテレパシーで帰ってきた。テレパシーの会話する相手に第一騎士団、第二騎士団とグロリアスとサティスファイ伯爵にしてしまったためである。
最初の会話の主は、剣士のゾイドだった…。ゾイドはいつも、何かしら抜けている。
「本当は、皆、貴族のお坊ちゃんなんだろ?働く事になったがいいのか?」
念のため父が聞いた。
「この国では狩をして食料を調達することもできなければ、野宿もできないです。そうしますと、働いて給料を得るしか生活手段はありません。それに聖女様を探すにはこの国の生活をして、どうにかして手を触れてもらわなければいけませんので。」
と第一騎士団のロビンが答えた。
アーニャは、母の友達が経営しているネイルサロンのアルバイトが決まった。
ネイルサロンだと、女性の手に触れる事ができるから聖女様を探す事ができる。
同じ理由でアーニャの兄であるグロリアス司祭はホテルの受付。宿泊カードへの記入依頼や、部屋のカードキーの受け渡しなどでお客様の手に触れる事があるためだ。
残念なグロリアスが怪我をした時のために、魔道士ソルが同じ職場になったのは言うまでもない。
アーニャの護衛のサイファは、アーニャの働くネイルサロンの一階にあるカフェで働く事になった。ここには結衣がアルバイトをしており、なにかとフォローしやすいのと、アーニャの行き帰りの送迎ができるからである。
あくまで護衛として任務を遂行するつもりらしい。
アーニャにしたら、送り迎えはヒスウェルにして欲しいと思っていて
「なんで行き帰りもサイファが一緒なわけ?」
とちょっと膨れている。
「ヒロヤ様のお店はアーニャが務める事になったお店のすぐそばなのでしょう?毎日サイファが来なくたっていいじゃない。せめてヒスウェル様と一日置きに交代してくれたっていいのよ?」
と言うけれど、
「私は、アーニャをお守りすると大司教様に誓ったのです。」
と結構頑な。
「頭かたいわね!」
とアーニャがさらに膨れていた。
それを見たサイファは困ったように笑っていた。
アーニャの恋心は伝わるんでしょうか?
今のところは難しそうです
お話はまだまだ続きます。
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