ヒロヤ兄ちゃんの疑問
大広間では、騎士団全員が浴衣から洋服に変わっていた。
熱いこの時期は半袖で良いので上は半袖のTシャツ、下は、ジーンズを選ぶ物もいれば、チノパンを選ぶ者、パンツのラインもスキニーやストレートなど、気に入ったものを着た。
ただし、全員が着替えの際、出来なかった事がある。
ファスナーをあげる事だ。
異世界にファスナーはない。
そのため、イケメンの外国人集団のズボンのファスナーが全開なのである。
これには流石にヒロヤもおかしいと思ったため、結衣とアーニャが戻ってきた時に結衣に聞いた。
「なんで全員ファスナーを知らないわけ?」
結衣は笑顔のまま固まってしまった。
服を持ってきてくれとお願いした時点では、留学生が来たが手違いでスーツケースが届かなくで数日分の服が欲しいとお願いしたのだが、ファスナーを知らない人はこの世の中いない
やばい
なんで言えばいいのか…
と結衣が固まっていると
そこに父が帰ってきた。
父はヒロヤを見ると
「ヒロヤに助けて欲しい事があるんだ」
と切り出した。
「ここにいる外国人は、異世界から昨日来たんだ。なんでも聖女様を探すためとかで」
と父が言うと、ヒロヤは胡散臭そうに周りを見回した。
「まぁ、ファスナーを知らない時点でおかしいけどさ」
とヒロヤが答えると、また父は話し出した
「その聖女様とやらがいつまで見つかるかわからんからこの世界で働きながら聖女様とやらを探す事にしたんだけどな、いくつか働き口を紹介してくれんか?ワシもいくつか今日の祭りの時にお願いしてきたんだけどな。流石に20人以上も仕事の世話は出来ないしな。ただし、異世界なのは内緒にしてくれ。騒ぎになる」
ヒロヤにとっては本家の叔父の頼みである。
が。
異世界人なんておかしな事を言い出したのでびっくりしていると
「ヒロヤ殿、どうか私達に力を貸して欲しいのだ」
とサティスファイ伯爵も頭を下げた。
それと同時に騎士団御一行は立ち上がり、整列した。
ヒロヤはちょっと困ったように笑って、
「わかったよ。うちの親父にもお願いするし、周りにも聞いてみるよ。ところでさ、本当に異世界人なわけ?」
ヒロヤに聞かれたため、第一騎士団団長が前に出て
「私は第一騎士団団長のロビンといいます。それでは少しだけ魔法をお見せします」
と言うが早いか手から氷の塊を出し、すごい勢いでソルに向かって投げると、ソルは粉々にしてダイヤモンドダストにしてしまった。
本当に一瞬の出来事だった。
その場にいた父、結衣、ヒロヤは目を丸くした。
そしてしばらく固まっていた。
最初に口を開いたのは父。昨日も魔法を見たからである。
「仕事をするにあたって、魔法は使えないからその他の特技を教えてくれると紹介しやすい」
父は何人かにお願いをしたが、誰がどんな特技があるかわからないためどうしたものかと思っていた。
第一騎士団団長のロビンと第二騎士団の団長であるヒスゥェル、それにサティスファイ伯爵と、グロリアス司祭、アーニャの護衛のサイファは物腰が柔らかくて、態度も紳士的である。
それに対して魔道士のソルをはじめ、魔法に特化した面々は好奇心が強く色々なものに興味を持つためちょっと心配な点がある。自分でも気づかないうちにちょっと魔法を使っている。無意識にいつもしていたのであろう
剣士と呼ばれる面々はちょっと脳筋ではないかと薄々感じている。
剣士の中でも隠密的な役割をしている魔剣士になると、普段より目立ってはいけないため見た目は東洋人系であまり表情を変えずにいる。
どうしたものかと父は考えていた。
「まぁ、いんじゃない?明日は日曜日だし、月曜までに考えるよ」
と、やっと我に返ったヒロヤが答えた。
そこに母が戻ってきた。婦人会でパレードのボランティアをしていて、ボランティアの後はみんなでお茶をしてから帰ってきたらしい。
「あら、ヒロちゃん来てたの?みんなの服を用意してくれたのね、ありがとう。よかったらご飯ウチで食べて帰る?」
「それじゃそうしよっかな。じゃついでに風呂入っていい?ここの風呂温泉だからサイコーなんだよね。みんなも行くか」
と声をかけた。昨日は入らなかったお風呂に入ることにして皆で大浴場に向かった。
梅干しの戦いと、パレードを再現するために皆んなで心を一つにした事で第一騎士団と第二騎士団のわだかまりは消えつつあった。
それに結衣やアーニャのいないところでもう一度パレードを再現したかった
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