ご一行、父と出会う
戦いの最中にホースで勢いよく水をかけられて、急に全員の動きが止まり、一斉に兄を見た。
「ななな、なんなんだ!」
兄はその場にへなへなと座り込んだ。
いったん戦っていた男たちの動きが止まると、、奥にいた胸まで銀髪を伸ばし、白いローブを着た老人が男たちをかき分けるように前に出てきた。
「異世界への道は開かれた!皆の者、仲間割れていている場合ではない」
老人がそう宣言すると、戦っていた者が剣を置き、巫女までもが兄に向き直り、みな片膝をつき頭を垂れた。
…ずぶ濡れで…
「あなた様はこの国の王様ですか?」
老人は腰を抜かしている兄にうやうやしく聞いた。
「………」
兄は言葉をなくし、口が震えている。突然武器をもった男性が大量に表れて、何の幻かとおもえば、日本語を話したのだ!
しばらく兄と集団は向かい合ったまま動かなかったが、渡り廊下の上にいた母が窓を開け、
「ユウジ!腰抜かしてないで、とりあえず皆をお風呂場へ案内して!みなさんびしょぬれでしょ。由衣、特別室のお風呂を沸かして。女の子は別ですからね」
と大声で言った。
母は強い。何事にも動じない。
母は旅館側の玄関を開け、人数分のスリッパを出す。幸い、工事予定のため旅館の門は締まっており、外からは中で何が起きているかはわからない。
奥野屋は、温泉宿のため、24時間、源泉かけ流しである。ちょうど今の時間は、父がお風呂から出る時間だ。巫女以外の全員を連れて兄はお風呂場に向かった。巫女風の美少女は客間のお風呂に案内した。
兄は男性陣を引き連れて大浴場に向かう。そこに風呂上りのステテコ姿の父が現れた。
すると銀髪の男性は父に向かい
「あなたこそ王様ですか?」
と問うと、父は何を思ったか
「そうだワシがここの一国一城の主だ」
と答え、騎士風のご一行は騒然となり、みなその場で敬礼をし動かなくなった。
兄はまたどうしていいかわからずオロオロしていると、後ろから見ていた母が
「そこ、立ち止まらず風呂場にいく!」
と大声を出し、父が
「皆風呂か?わしももう一度入ろうかな」
いうので、皆が父についていき、なぜか兄も風呂場に
入っていった。




