ヒロヤ兄ちゃん現る
7話に名前だけ登場したヒロヤが出てきます
グロリアスとアーニャが庭から戻ってからしばらくしてからだった。
「ユウジいるかー?」
大きな声と共に、サングラスをかけた白いTシャツとジーンズの短髪の男が入ってきた。
Tシャツの上からでも鍛え抜かれた筋肉の形がわかる。室内に入るとサングラスを取った。
目に笑い皺があり、結衣を見るとニヤッと笑った。
この日焼けした男は、騎士団御一行を、見回して
「ユウジが言っていた外国人って君たちのことか。はじめまして。俺は奥野弘弥。結衣とユウジの従兄弟だ。これからしばらくここにいるんだよな?なら、今後もよく会うと思うから、ヒロヤと呼んでくれ。しかしみんないい体してるねー」
と言った。鍛え抜かれたボディを持つヒロヤ兄ちゃんは、趣味でボディビルダーの中でもフィジークという大会に出ている。
「今度一緒にボディビルダーの大会に出てみない?」
と騎士団御一行を見回してニコニコしながら言った。
騎士団御一行はボディビルダーがわからない。いくら翻訳のチートがあるとはいえ、謎の大会に出場するように勧誘されてもどうしていいのか戸惑っていた。
「ヒロヤ兄ちゃん。兄貴はまだかえってないよ。無理言ってごめんねー。お願いしたもの持ってきてくれた?」
と結衣が周りの様子を気にも留めずに言った。
「持ってきたよ。ほれ、玄関にあるからみんな取りに来てくれ」
ヒロヤが玄関に向かうので騎士団御一行も玄関に向かった。
そこには大きな袋がいくつかあった。
「この袋全部広間に運んで開けてくれる?」
ヒロヤに言われ、大きな袋を運ぶことになった騎士団。いつもなら魔法を使うが、父マサルから魔法は禁止と言われているため自分たちで運ぶ。もっとも、いつも魔法を使っているわけではない。魔力を温存したい時や、訓練の時などは自力で持つ。
持久力はそのまま魔力の量につながるのでトレーニングは欠かせない。
部屋に袋を運ぶと、順番に開封をした。
袋の中身は沢山の洋服だった。
「君たちの服を持ってきてくれってユウジから言われたからさ、この中からいくつか使ってよ」
ヒロヤの仕事は洋服のセレクトショップ。
デザイナーから買い付けた服やビンテージの古着も取り扱っているが、20人以上の服を数日分用意するのは大変である。
そこで、知り合いの洋服屋の倉庫から昨シーズンの服を大量に譲ってもらった。もちろん、ヒロヤがチェックして、おかしなデザインのものはもらってこなかった。昨シーズンの服のため料金は格安、知り合いだからタダ同然だった。
「しかしみんな背が高いなー。外国人って俺ら日本人と違ってほんとかっこいいよなー。なんで初めて着た浴衣があんなに似合うわけ?いっそ浴衣で過ごせばいいと思うけどなー」
と、服を選んでいる異世界人を見て言った。
「レディース はこの袋ね」
アーニャは結衣とあまり身長が変わらないが、いつも結衣の服を着るわけにもいかないでしょ、とヒロヤが用意してくれた。
「結衣も気に入ったのがあれば持っていっていいよ」
ニヤッとヒロヤが笑った。
「それじゃ、男性の前で試着するわけにはいかないからちょっとあっちの客間で着替えてくるわ」
と結衣とアーニャはレディース の服が入った袋を持って出ていった。
ヒロヤは服を選ぶのを手伝った。
30分後、大広間に結衣とアーニャが戻ってきた。
アーニャは柔らかい滑らかな素材の黒いTシャツにスキニージーンズを合わせていた。
柔らかい素材のTシャツは体のラインがうっすらわかり、スキニージーンズはカットしなくてもちょうどの長さだった。スタイルの良いアーニャはファッション誌のモデルのようだった。
アーニャの姿を見て、アーニャの護衛のサイファは持っていた湯飲みを落とし、熱いお茶がグロリアスを直撃した。
そんな様子を見ていたソルが、乾燥の魔法と、火傷をしないように回復魔法を、ヒロヤに見えないようにこっそりかけていた。
「アーニャ、もうちょっとブカブカのズボンを選んだ方がいいんじゃない?」
体のラインが強調されているようなジーンズを見てグロリアスが言った。妹の服装にケチをつける。
オランド王国では体のラインは出さないので、もっと体のラインのわからない服を着て欲しいのである。
投稿済みのところで、登場人物の名前を一部間違えてしまっていたため、訂正しました。
ご迷惑をおかけしました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。




