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黒川純子
目の前にあなたがいる。あと数センチだけでいい。あなたに近づきたい。直接触れたい。そして伝えたい。どんなに話をしても、どんなに沢山の手紙を書いても伝えられない、私の本当の気持ちを。
二人きりでいられる時間は無くなってしまった。私たちを引き裂いている高い高い壁。壊したいのに。消してしまいたいのに。私にはそれができない。
あなたは私達を救ってくれた。それなのに、今あなたに渡してあげられるものは、ほんのちっぽけなものだけ。
私は何て無力なんだろう。
でも私は知っている。あなたも知っているでしょ。いつか絶対、三人で手を繋いで歩ける日が来ることを。いつまでも待ってる。その日を。あなたを。
「隆史、目を伏せないで。私の目を見て」
本当の気持ちは目を見て伝えないといけないの。
本当のことは口に出しては言えないの。
だからサングラスをかけてあなたに会いにきたの。
私の心は大丈夫だよ。私の中にある、あなたとの絆を抱えて、前に進んでいく。




