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キャラクタークリエイト

初めて書いてみました。気になる点があれば感想欄にお願いします。

MISTLTEN(ミストルテイン)。通称ミストと呼ばれるこのゲームは、今ではすっかり一般化されたVRゲームの中でも特に注目されているタイトルである。運営のHPによると世界観は剣と魔法という所謂王道物。職業(ジョブ)技能(スキル)両方にレベル制を導入し、今では私達と全く違和感のない生活を送れる程のAIを搭載したNPCが登場するファンタジーな世界となっている。


「んー!」


勢いよく伸びをすると、先程まで椅子に座っていて固まった関節が小気味よい音を鳴らす。


あー、疲れた。ミストについて色々と情報を仕入れていたけんだけど、このゲーム、設定が細かすぎるんだもん。一応βテストをプレイした人が書き込んだと思われるサイトなんかも覗いたりしてみたけど、肝心な所が書かれてないし‥‥。


まあいっか!ある程度の情報は集まった。後は今日の午後からの正式サービス開始までに風呂に入って、残りの設定を終わらせとこう。





▲▽▲▽▲▽▲▽






おお!綺麗だなぁー!!


私がミストを起動すると旧式のエレベーターの様な浮遊感を感じた。少ししてから目を開けると目の前には地球よりも数倍は大きいだろう巨大な惑星が浮かんでいる。惑星を中心にして上下左右には色とりどりな星で出来たと思わしき海が漂っていた。


「ふぅー」

「ふにゃぁ!」


なっなに⁉私は突然耳に掛かった生暖かい空気にビクッとなりながらも、息を吹きかけてきたであろう原因に目を向ける。そしてそこにいた存在に思わず目を見開いた。


そこにいたのは、どこか神々しいオーラを纏った絶世の美女だった。透き通るような灰色の髪を腰まで流し、白磁色よりも透明感があり皺も毛穴も何処かに捨ててきたのではないかと言う程綺麗な卵肌をしている。何より印象的なのはその目である。黒曜石の様に深くしかしどこか澄んだ瞳をしており、時折光に反射すると円環模様が目に浮かんだりしている。


私は彼女の目に思わず見惚れてしまっていた。それこそ魅了されたのでないかと自分自身錯覚する程にその目から事前を外せないでいたのである。しかしそれも唐突に終わりを告げる。突然彼女が口を手で押さえて何かを我慢するような体勢になったのである。時節彼女の口から空気が抜ける音が聞こえてくる。そしてとうとう我慢できなくなったのか彼女はお腹を抱えながら宇宙の果てまで届けと言わんばかりの大声で笑いだした。


「ぷっ‥ふふ‥ふふふ‥‥あっははははは!!‥ふにゃぁ!だってぇ!!ぶっふ!」


先程から出していた神オーラ(命名:私)が忽然となくなると、私の先程の悲鳴を笑いの種にケラケラと笑う。そんな中私は思う。


‥‥こいつ絶対ろくなもんじゃないわ。なぜかって?だって私自身がそうだからである。





「いやー、笑った!あっごめんね急に笑ったりして」

「別にいい」


だっていつかやり返すし。私は受けた事は何倍返しにしてもやり返す女!いつかこいつが涙目になって謝ってくる光景を思い浮かべながら私は心の中でほくそ笑む。


「ッ!‥‥な、何か寒気したんだけど」

「気のせい」

「そう?じゃいっか。それじゃあまずは自己紹介からしようか。私の名前はナーシャ。この世界では女神‥‥君達に分かりやすく言うと総合統括AIといった方がいいかな」


総合統括AI。どこかで読んだことがある。確か最近のAI技術の発達で生まれた自立型統括システム。主な作業はシステムのエラー等が発生した際の逐次対処とAIの統括。勿論一つのAIにシステムを全部の事を任せると、ろくな事にならないのは目に見えているので複数のAIで統括しているやらなんやら書かれていたと思う。


つまるところ、ナーシャはこの世界を管理している一人なんだろう。確かにそれなら女神という立場なのも納得である。


「さて、それじゃあ早速キャラクタークリエイトに入ろっか。っとそういえばまだ君の名前を聞いてなかったね?」


へぇーここってやっぱりキャラクリする場所だったんだ。んっ?名前?あーはいはい名前ね。


東都日蘭(とうとびらん)

「蘭‥。じゃあ蘭には今から種族(レイス)職業(ジョブ)、それから技能(スキル)を十個選んでもらうね」

「ん」


私が言葉少なく答えると、目の前に半透明なウィンドウが浮かび上がってくる。目の前にはいつも鏡で見慣れた私がいる。


こう言ってはなんだが、私ってここまで無表情なんだね。口は無一文字に閉ざされて、目はジト目と言うのが一番似合っている状態だ。


「初期設定では種族は人間種(ヒューマン)、職業は見習い戦士になってるから。他にも色々スキンとか変えれたりするからね。時間制限は無いからゆっくり選んだらいいよ」

「ん」


私は先程から気になっている種族等を片っ端からタッチしていく。そうすると、私のスキンにも反映するのか耳が長くなったり、羽根が生えたり、八重歯が鋭くなったりしていく。


ほえー、いっぱいあるなー。そんな事を思いながら手をスライドしていく。ん?


「ねえ、これ何?」

「ん?どれどれ‥‥あーこれは"人ならざるモノ"所謂ゾンビとか、スケルトンなんかの魔物のことだね。ただこれはマニアックな人向けだよ」

「なんで?」

「んー、それは私からは言えないなー」

「そう」

「聞かないの?」

「無理なんでしょ?」

「私にキッスしてくれたら考えてあげる!」


誰がするか!ていうかたとえやったとしても考えるだけで、言ってくれないじゃん絶対。そんな少なくない軽蔑をこめた眼差しをナーシャに向ける。


「うっ‥‥はぁ、わかったわかった教えるから。だからそんな目こっちに向けてこないで」


何を勘違いしたのか、ナーシャは私の自慢のジト目に降参したというように手を上に上げると私の知りたかった情報を話してくれた。


「簡単な話。人間よりも魔物の方がアドバンテージが圧倒的なんだよ」

「なるほど」


つまるところ、最終的に物凄く強くなるけど序盤は何らかのデメリットがあるわけだ。


「そういう事。まあ、それもやり方次第では克服出来るんだけどね」


ふーん、マニアックていうのそういう事か。私は今まで人間種とかでしかしたことがなかったけど、案外人外種というのもいいかもしれない‥‥‥


ふむふむ。歩く骸骨(スケルトン)腐乱鬼(ゾンビ)。お!大蜘蛛(タラテクト)なんかもあるんだ。


ん?‥‥お?おお!これ!これにしよ!


「決まったかい?」

「ん‥‥」

「ん?私のオススメのスキルを教えて欲しいのかい?‥まあいいか。そうだね君の選んだ種族と職業ならこれとこれあとこれもあるといいね。後は種族と職業専用のスキルがつくからね」

「ありがと」

「ふふっどういたしまして」


私はナーシャからオススメされた技能を選んだあと、余った一枠に気になっていた技能を追加する。


よし!これでバッチシ!


「どうやら技能(スキル)も選び終わったようだしステータスに反映するよ」

「ん」

「‥‥‥はい出来たよ。じゃあ早速だけど『ステータス』を開いてみて」


ステータスッ!‥おおっ出た!


―――――――――――――――――――


名前(ネーム):ナルメリア

性別(セックス):女

種族(レイス):ちっぽけな魂(スピリット)Lv0

職業(ジョブ):見習い結界師Lv0

技能(スキル):

〘魂食〙Lv0

〘吸収〙Lv0

〘劣幽星種〙Lv-

〘浄化属性脆弱〙Lv0

〘結界師〙Lv-

〘鑑定〙Lv0

〘装飾〙Lv0

〘言語学〙Lv0

〘錬金術〙Lv0

〘星術〙Lv0

特殊(ユニーク):

〘劣幽星種〙

【+浮遊】Lv-

【+魔力攻撃脆弱】Lv0

【+武装一部不可】Lv-

【+状態異常無効】Lv-

【+物理耐性】Lv0

〘結界師〙

【+結界術】Lv-

【+魔量微増加】Lv0

【+魔力微強化】Lv0

【+器用微強化】Lv0

【+光魔術】Lv0


――――――――――――――――――――



うーん、何か色々わからないのがあるけど‥‥私が選んだのは鑑定、装飾、言語学、錬金術、星術の五つ。と言う事は名前から見てみると魂食、吸収、劣幽星種、浄化属性脆弱が種族スキルと言う事になるよね。


それはいいんだけど‥‥スキル欄の下にある特殊(ユニーク)てのは何だろうか?


「ん?ああ特殊は特殊技能の事が詳細に書かれている欄だよ。例えばメリアの場合〘幽星種〙と〘結界師〙というのがこれにあたるんだけど、このスキルにはレベルがないよね?でもこれ実際にはないんじゃなくて、複数のスキルが統合されているからレベルが表示できないんだよね。だからユニークという欄を作って中にあるスキルとそのレベルを見れるようにしている訳。まあ、見にくいんだったらユニーク欄の表示を消すこともできるけどどうする?」


ふむ、まあ別にいつもは見る必要はないし見たい時だけ見れればいいしね。


「消して」

「ほいほーい。あ、後レベルの上昇とかないスキルは大抵ユニークスキルだけど、例外もあるからね」

「ん」


で、最後に残った〘結界師〙‥これが職業スキルということになるよね。結界かー。なんとなくで選んでしまったけどこれでよかったのか‥‥。まあ、大丈夫だろう‥‥多分。メイビー。


あ、名前についてだが特にこの名前に意味はないんだよね。しいていえば名前のRANNを逆から読んだNNAR(ナル)に、メリアという語呂がいい言葉を組み合わせてナルメリアにしたぐらいである。


それにしても真ん丸だよね。私の目の前には先程まで眠そうな顔で突っ立っていた私ではなく、薄白いオーラの様な物を出しながら浮かぶ蒼白い球体が浮いていた。これが私。


「これで、キャラクタークリエイトは終わりだよ。お疲れ様」

「ん」

「じゃあ早速だけど君を始まりの街エストール付近に転送するよ」


え?


「チュートリアルとかは?」

「ないよ」


え、えぇえええええええ!?は、何それ⁉なんで受けれないの⁉


「それがね、チュートリアルはエストールにある冒険者組合で受けれるんだけど‥‥ほら、君魔物じゃん?行ってもすぐ殺されるだけだよ?」


あ、ああなるほど‥‥確かにいきなり街にモンスターが出現したら普通討伐するわ。私でもそうするもん。いやけど、街に入れずチュートリアルも受けられないなんて案外人外種って不遇?


「まあだけど安心して?その代わりといっちゃなんだけどいい所に送ってあげるから」

「いいの?」

「今更だしね〜」

「ありがと」

「どういたしまして」


ニシシと子供の様に笑うナーシャは此方に手をやる。それだけで私の周りには幾何学模様が幾重にも積み重なって出来た円陣が出来上がる。


「じゃあ行ってらっしゃい。これからの旅路は厳しいこともあるけれど頑張ってね」

「ん」


そして私の視点は暗転した。




▲▽▲▽▲▽▲▽




「行っちゃったか‥‥」


私は先程までいた蘭ちゃん改めてナルメリアちゃんが無事に指定した場所に降り立った事を確認して一安心する。


「始まりの種が動き出しちゃったか」

「いたんだ‥‥」


この世界は十二の管理者と三十二柱の神族が存在している。彼女も私と同じ管理者の一人。『静寂と静謐を司る女神』ルナールがいつの間にか側にいた。


「いつから居たのかな?」

「最初から。ああっ勘違いしないでよ?私が担当した子が早く終わったから、何となくこっちにきてみたら聞こえてきたって感じだからね」

「盗み聞きとは趣味が悪いね」

「貴女が気づかないから悪いんじゃない」

「無茶言わないでくれるかい?君の静寂は君以外に破れる訳ないでしょ?」

「それもそうね」

「それで、追放する?」


私がナルメリアにしている行為は明らかな違反である。常に中立を保つ管理者が個人に関与したのだから。


「んー、別にいいんじゃないかな?」


ほう?


「どうしてだい?」

「だって私もやったもん!ていうか絶対一人は全員依枯贔屓してるよ!」


へー静寂と静謐を司るこの子に気に入られた子か。凄く興味深いね。まあ大体どんな子かは想像がつくけど。


「その子ね。凄く無口な癖に目だけは凄くキラキラ輝かせながら忍者プレイをしたいって言うから、もうそれがすっごく可愛くて!」

「相変わらず無口っ子大好きだよね。それで?何を勧めたの?」

「んー最初は二足蛙(フロッガー)を勧めたんだけどどうにも不満そうな顔をするから透魔(スライム)を勧めたらそれにしたよ」

「‥‥なるほどね」


スライムは基礎ステータスが魔物の中でも一番劣る。しかし、その代わりと言ってはなんだが、最終進化まで行きその更に先にあるものに到達することができれば、いくつかの例外を省いた中では彼女が望むであろう最高のステータスを保持することができる。


それにしても、まさか他の管理者もやっているとは驚きである。私がそんな風に考えているとルナールがニヤニヤした顔をしながらこっちに近付いてくる。


「それでナーシャは彼女に何を望むのかな〜?」

「別に、私はナルメリアにこの世界を楽しく生きてくれればいいだけだから。まあ、彼女が選んだ種族には()()があるからできればそこには至ってほしいけれどね」


このままでは人間と魔物の均衡が崩れて、いずれ人間が支配する様な世界が来てしまうからね。そんな退屈な世界‥‥私達が見てて楽しいと思うかい?


「わ、わーお、やっと本性が出たね。さっすが『輪廻と渾沌を司る女神』だね」


きっと今の私の顔は歪に嗤っているのだろう。その証拠にルナールの声が少しばかり震えている。


さあナルメリア?精々私達が創り出したこの世界をその辺のありふれたつまらない世界と一緒にはしないでくれよ?期待して(楽しみにして)いるからね?

お読み頂きありがとうございます。次回も楽しみにして頂ければ幸いです。

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