女子中学生の婚活
かすかに暖くそして丁度よい風が窓からカーテンを揺らして教室に入ってくる。昼は熱く冬は肌寒く6月としては丁度いい時間だ。
その風に反応して外を見ていると夕焼けの景色だった。
グランドでは各部活の活気あふれる声が聞こえてくる。それぞれ熱心に走ったり投げたり蹴ったりと青春溢れる姿見える。
そんな、青春中私は机に座り、ある一枚のプリントに向き合っていた。
「進路希望…か。分かっているとは言いたいけど正直わかんないなー」
私、中下 幸美は中学三年生。そう今年受験生なのだ。受験生の夏はもう大切な時期であって早く進路に向けて動きださなければならない。
でもいきなり将来を考えて動けって言われても動けるわけなく、このままだったら自分の学力に合う普通高校に入学するわけなのだけど…。
顔を天井に向けぼーとしながら向かい席に座っている。私の友達、竹上 優実に目を向けた。
「優実、決まりそう?」
優実は私とは反対で一度考えては書きそして消しそしてもう一度考えては書くと繰り返していた。
「うん!もうばっちり決めたよぉ!へへへ!なんだと思う?当ててみてよぉ!」
優実は机に置いてるプリントを両手で隠すように顔を傾けながら言い寄ってくる。
竹下 優実は学校では可愛く成績も優秀おまけにおっぱいも大きいと女子中学生としては完璧な存在だ。
「うーんとやっぱり優実なら優秀なお嬢様学校も推薦でいけるし、いや…それとも公立…もしかして専門学校?」
「ぶぶぶー違うよぉ~」
「えーじゃあ何だろう…わかんないよ教えて?」
「ふふふ!見て驚いて!じゃあじゃ~ん!」
隠していた両手を広げ私に見せてくる。
そこに書いていたのは
進路希望
① 結婚 ② お見合い ③ 新婚旅行(ハワイ希望ぅ)
このは完璧に近い子なのだけど…ちょっとずれてるアホ子なのである…。
「じゃあ!私先生に見せてくるね!」
「あ!優実待って!それは…行っちゃった…」
私は行ってしまった優美を諦め、また放課後のグランドを見ていた。しばらくすると優実が帰って来た。
「先生に怒られた…めちゃくちゃ怒られたよぉ…」
「それはそうだよ…うちの担任女教師で見込んで33才には駄目だよ…」
私はプリントカバンに入れ。
「さあ、帰ろうそろそろ商店街行かないと時間でしょ?」
「ああ!いけない!急いで帰らないとぉ!」
優実は急いでカバンに詰め、一緒に教室を後にした。
激しく人と人がぶつかりあってる中で皆あるものに向かって激しく取り合っていた。それはそれぞれの者達が家庭を思い
家族を思いそして家計に徹底的な黒字を書き込む為、特売ブタバラ100グラム76円をわが物にせんと主婦の方々が取り合っている。
そんな烏合の衆を一人の女子中学生に流れ込んでいた。
「うおおおおおおおおおブタバラぁ!!」
私の友達、竹下 優実が奥様方と競いながら特売お肉争奪戦に挑んでいた。
「ブタバラァ!!ブタバラぁ!てめえの血の色は何色だぁぁぁぁぁ!!」
うん。普通に赤いと思うよ。そういつつも叫びながら抜群の身体能力で空中に舞い最前列になだれ込み特売ブタバラを制していく。
「お待たせーいやぁ!まさか300グラムのパックが三つ手に入るとは思わなかったよ」
「よかったね。はいカバン」
優実は私からカバンを受け取ると笑顔で苦労して勝ち取ったブタバラを輝いた目で見ている。
「お肉♪お肉♪お肉♪」
「でも今日はずいぶん買ったね」
「私成長期なんだよ!お肉は絶対必要だよぉ!もう私にとってお宝だよぉ!」
「はいはい。ごめんね。じゃあ帰ろうっか?」
しかしここで優実はある言葉を聞いてしまう。
たまごーたまごー今から10個入りなんと90円~
優実は先ほど宝だと言ったブタバラから離れタマゴ売り場に体を向けた。
「幸美…私…成長期なんだよ!」
そういいながら私に再びカバンとブタバラを預け。
「うおおおお!卵かけご飯!てめぇ血の色は何色だぁ!!」
そういいながら再び烏合の衆に向かって走り出しまた空中に舞っていた。
卵かけご飯は黄色いと思うよ。
あたりは少し暗くなり、私達は商店街を歩いていた。
「TKG!TKG!朝から卵かけご飯!卵かけご飯!」
隣でニコニコしながら優実は上機嫌に歩いていた。
竹上 優実は家庭環境はあんまりいいというわけではない上の二人の姉達はニートをしていたり生活を支えておるのは三女の優実である。
家事を一人でやっていたり。休みの日は私の母親が営んでいる食堂でお手伝いって事でアルバイトをしてる。
そんな感じで私と優実はプライベートでも深く付き合っている。
「ところでさ優実、結局進路希望どこにするの?」
「え?だから結婚だよ」
「はぁ…い?」
私は少し深呼吸しながら落ち着いて、ひとまず冷静に理由を聞く事に切り替える。
「えーと、なんで結婚なの?普通は高校に入ってそれからまた受験して大学入って卒業そして仕事から出会いとかあってそれから結婚が普通なんじゃないかな?」
「チチチ、違うよ。だって私達女性は16歳になったら結婚できるんだよ!だったら近道して早く結婚した方がいいじゃん!」
そう、熱弁してくる優実だけど、頭はいいのだけど相変わらず普通とは真逆に走っちゃうそんな子だからほっとおけないと思っちゃうのだ。
「うーん。最終的にはそうだけどさぁ…えーと結婚するって事は子供も作らないと駄目じゃない?そんな事する時だってあるし…」
少しでも考えを直してもらおうと説得してみる。さすがに性の話をすれば考えを改めてくれるはず。
「え?何言ってるの?18歳超えてからじゃないと倫理的にまずいよ」
「不思議そうな顔していってるけど今倫理的にまずいのは優実なのだけど」
「そにさぁ…」
優実は少し嫌な事を話すように大きなため息を吐いた。
「ほらぁ…だってうちのお姉ちゃん達20代半ばなのに全然働かないし…彼氏もいないしさぁ…部屋に引きこもっていつもネットばかりだし」
優実は下見ながら話す。
「私ね、お姉ちゃん達みたいになりたくないだよね。だから早くうちを出てさぁ。人生のゴールインしたいんだよ!」
私の目の前で熱く語る優実、やっぱり今回も180度間違った方向へ走っている。
「そうだぁ!まずは幸美が紹介してよぉ!私の人生のパートナーを!」
そしてこのように私に完全に飛び火してしまうのだ。
「いやいや無理だってそんないきなり、そんな…優実の人生の大切な人選べって…」
「そうだなーじゃあ、幸実のお兄さんをまず紹介してもらえるかな?」
「え?なんで兄さんのなの?」
ここでさらに飛び火ってより隕石が私に振ってきた。
「だってかっこいいし。優しいそうだし。それに医者の卵なんでしょう?ベストだよ!ベスト!」
「でも…私…まだお兄さん苦手だし…」
私の兄さん、中上 晶は私の再婚した父親の連れ子。私より6は上で、いつも同じ家に住んでいるんだけどちょっと苦手なのだ。
「もう二年も一緒に住んでるのにまだそんな感じなの?だったらさぁ!今日の話をしてさぁ一気に距離感を縮めようよ」
「縮めようにも優実が一気に縮まるだよ」
「でもでももしお兄さんと結婚したら!幸実と私は家族になるって事だよ!なんかうれしいじゃん!」
「あ、…うん。悪くないかも…」
少しだけ照れて顔が赤くなっているのが夕日のおかげで隠れていた。
お見合い当日。私、竹上 優実はいつもの喫茶店で大人ぽくと思ってコーヒーを飲みながら、幸美のお兄さんでありお見合い相手の晶さんを待っていた。
服装は大人ぽくセクシー路線を攻めてみようかなとかとか悩んだけど結局幸実に相談したらゴスロリぽくなった。髪には大きいリボンが乗っている。
そして真横にあるカウンター席には幸実が心配だからって事で、変装して待機してくれてる。
もしもの時はSOSとして携帯のSNSで連絡をし一緒にトイレで相談って流れなのだ。
(別についてこなくても良かったんだよ?)とアイコンタクを幸実に向ける。
(駄目、一応私のお兄さんなんだから…何かあったから嫌だし)目で答えてくれる
いつも心配症な幸美だけど最後まで私のやりたい事を手伝ってくれる…本当に大好きだし、いつも困ってる時も助けてくれる。
でも本当にお兄さんとうまくいって幸美と本当に家族になったらそれはそれで凄く幸せそうだ。
(何ニヤニヤしてるの?)
(うんうん。なんでもないよ)
(…まあ、いいけど。とにかく何かあったらいつでも携帯でSOSって感じで連絡してね。そろそろ来るみたいだし)
(うん。大丈夫だよ任せてよぉ!)
幸美に親指を立てて、自信にみちた格好しておく。
この喫茶店どくどくのドアベルがなる。響く音ってよりカランとかではなくチリンとした涼しい音だった。
振り向くとすらっとした体で特に目立つ格好じゃなくごく普通服装なのだけど、イケメンってなんでも着ても似合うわけで私にはキラキラしてる感じみえる。幸美のお兄さんで
私の婚活の一番最初の相手、晶さんが来た。
「えーと、すみません。幸美のお友達ですか?」
「はい!私が幸美の友達の竹上 優美です。よろしくお願いします」
さわやかな声そして優しい笑顔で話しかけてくる。
「ハハ、優美さんがいきなり会って欲しい人がいるっていうからドキドキしちゃったよ」
「私からお願いしたんですよ。ぜひ、お兄さんにお話ししたいと思って…」
「うん。実は僕も優美の友達と会ってみたかったんだよ。あ、紹介が遅れたね。竹上 晶です。ここ座っていいかな?」
「はい、どうぞ座ってください」
姿勢よく座り、私と向かい合う。
「優美ちゃんは結構、幸美とは付き合いが長いのかな?」
「はい。小学校からの付き合いです。とっても仲良しです」
初めての婚活にしては上々な出だしじゃないかな。
「そうか良かった。家族になって二年もたつのに全然しゃべってくれないから…」
「そ、そうなんですか…大変ですね」
幸美、家じゃそんなに無口なはずないんだけど。何かあるんだろうか?晶さんが少し真剣そうに悩んでそうだから話を聞いてみる。
「良かった優美の事教えてくれないかな?…恥ずかしい話なんだけど…」
「わ、分かりました!な、なんでも言ってください!」
一瞬、カウンター席に座っている幸美の体が震えているような気がしたけど、たぶん気のせいだと思う。
「じゃあ、幸美の3サイズ教えてもらっていいかな?」
「えーとですね確か上から79で…」
ビィィィイイイイイイイイイ!!!!!
携帯のSOSアラームがなった。もちろん幸美の携帯からだ。その後すぐに優美はカウンター席を立つとそのまま女子トイレに向かっていた。
「す、すみません。ちょっとトイレに」
私は追いかけてトイレに向かった。入ると帽子を脱いだ幸美が勢いよく訴えてくる。
「おかしくない?なんで私の話になってそして急にウエストの話題になるのかな?」
「えーそんなおかしい事じゃないよー。それにわたしだってお姉ちゃん達の3サイズ月に一回は測定して下着とか用意してるし!普通じゃないかな!」
納得いかないからだろうか頭ごしごし痒き乱れる。
「あーもう!とにかく私の話は出来るだけしないで!それから私の3サイズはNG!」
そういいながら幸美はトイレを後にした。
「ごめんなさい。戻りました…。すみません。ちょっと3サイズは覚えてないですね」
「そうかいいや、いいんだごめんね」
少し残念そうな顔している。少し話題を変えてみよう。
「晶さんは好きな人はいるんですか?」
ここはひとつストレートに聞いてみよう。すると少し躊躇いながら…恥ずかしいそうに言葉を出した。
「うん…いるね…」
「え!どんな人ですか教えてください!」
ここは少し情報取集に切り替える事にしよう。まずはお見合いと言ってもどんな人が好みなのか知らないとならないし。
「その人はねぇ…無口で小さくてそれでもしっかり物事を見ていてそれに優しくて…そして血は繋がっていないけど妹なんだ!」
「え?それって…」
ビィィィイイイイイイイイイ!!!!!!
カウンターにいた幸美は席にたつと私の腕をひっぱりそのままトイレに連れていかれた。
「アウトォオオオオオオ!もうアウトだよぉ!アウト!!」
混乱しながら大声で訴えてくる。
「待って待って!落ち着いて落ち着いて聞こえちゃうよ!」
さっきみたいに髪を掻き乱しながら興奮している。
「なんか嫌な感じしていたのはこれだったのか…とにかく私先に帰るから!後はなんとかして!」
そういいながら急いでトイレを出て行った。うーん。ちょっと複雑そうだなー思いながら出ようとしたらすぐに幸美の悲鳴が聞こえた。
いそいで、トイレを出ると。目の前にはぶつかって倒れてしまい帽子が落ちてしまっている幸美がいてその奥に晶さんが立っていた。
「ゆ、優美…」
涙目にこっちに訴えてくる。幸美からのSOSアラームは鳴り響いていた。
後日…早く家を出たいという理由で中学生での進路希望 婚活 と書く人がもう一人増えた