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怒りに身を任せて

夜も深まり、イロハ村が静寂に包まれる中、テルマはどうしても寝付けずに、村長の家の屋根の上で、夜風に当たっていた。

「あれは、何だ?」

 先程まで灯り一つなかった北側の森で火の玉のようなものが漂っているのが見える。次第に火の玉は近づいているようだった。

 村の三十メートルほど先のところまで来て、その正体がわかった。

「山賊、か」

 火の玉だと思われたものは、山賊の持つ松明だった。

 テルマは気づかれないように、屋根から屋根へ飛び移り、村の入口に一番近いところで身を潜めた。

 山賊たちは、入り口付近で立ち止まると、話し始めた。

「今日でこの村に来るのも最後だ。金目の物全部奪ったら、この村焼いちまおうぜ」

「そりゃあいい。いっそ村人たち皆殺しにしようぜ」

 周りの山賊たちは、声をだして笑い、村中に声が響き渡った。


 テルマは、自分の心の奥底から怒りが湧いてくるのがわかった。

「あんなこと、二度と繰り返させない」

 テルマの目は紅く染まり、体中を炎が覆っていく。

「死ぬのは、お前らだ」

 テルマは、腰にさしていた剣を抜くと、先頭に立っていた山賊めがけて投げつける。剣は、炎によってどんどん加速していった。

 山賊は剣が地面に突き刺さるのとほぼ同時に崩れ落ちた。

 テルマは、屋根から飛び降り、剣を引き抜くと、体を大きく回転させながら剣を振った。

 剣の先から紅い斬撃が飛び出し、地面の草木を燃やしながら進んでゆく。

 動揺して逃げ遅れた三人の山賊は、斬撃を避けきれず、全身が燃え、地面に倒れた。

 テルマは、足元に力を集中させ、高速で移動しながら、追い抜きざまに山賊たちを切りつけていった。

「お前で最後か」

「頼む、命だけは助けてくれ」

 山賊は怯え、体を震わせながら頭を下げた。

「お前らの住処を教えろ、そうすれば命だけは助けてやる」

「そ、それは…」

 テルマは、喉元へ剣を突きつけた。

「ひいぃ、わかった言うよ」

「だったらさっさと言え」

「ここから五キロほど北に行ったところに滝がある。その裏の洞窟だ」

「そうか、お前はもう用済みだ」

 テルマは、容赦なく山賊を切りつけた。

  

 

 テルマの体を覆っていた炎は、次第に消えていった。

 全ての炎が消えるとテルマは気を失った。

 

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