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幼き頃の太陽





「太陽ってなんで一つなんだろうね」

「そうだね、二つあれば、こんなに怖い夜を過ごさなくていいのにね」





 




 都心から数百キロ離れた山奥にあるラカゴ村で、悲劇は起こっていた。

 残酷、卑劣、冷徹、どのようなひどい言葉を並べても足りないくらいの悪魔のような少年が街中に燃え盛る業火を放っている。

 木で作られた家々は燃え、人々に移り、ひとり、またひとりと死んでいく。

 この村の子供であるテルマは、ただ眺めていることしかできなかった。

 テルマはちょうど山菜集めのために村を離れていたため、巻き込まれることはなかった。

「でも、どうして」

 テルマは不思議に思っていた。昨日、村の人たちが政府に山賊討伐を依頼して、今日、警官隊の人たちがやってきていた。

 しかし、村に火を放っている少年を警官隊の人たちは止めようともせず、村の入口でじっと待っている。

「なんで助けてくれないんだよ」

 テルマは、大声を出したつもりが、僅かにかすれた声が出ただけだった。

 しばらくすると、雲行きがあやしくなり、雨が降り始める。雨は少しずつ強くなり、村中の火を消しているようだった。

 先程まで業火を放っていた少年のもとへ、警官がひとり近づき、何か声をかけている。

 何を話したのかは聞き取れなかった。

 警官が最後に発した「さあ行きましょう、勇者様」という言葉以外は。

 


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