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夏の風  作者: ソエジー
第一章 嫌悪の記憶
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第二話 これからも……

あれから五人が別れて、約一時間が経とうとしている。俺は幸いにその公園から家が近かったからすぐに着いてしまった。


「ただいまー。」


一応言ってみるものの、家には今誰もいない。俺は四人家族だ。親父は今日仕事だ。母さんは買い物かなにかだろう。姉ちゃんは同じ大学生の友達と一緒に遊びに行っている。

つまり、今は俺一人っていうことだ。

まぁたまにはこんな日もいいだろう。早く帰れたし。

俺は真っ先に喉が渇いたので冷蔵庫に向かいコーラを取り出す。

プシュッとコーラの炭酸が抜ける音が鳴る。そして500ml入っているコーラを一気に飲み干す。

炭酸が俺の喉に刺激を与えてくれる。


喉の渇きも潤ったところで俺は汗がかいたからすぐに風呂場へと向かった。風呂ではあえて熱いシャワーを浴びずに、ぬるいシャワーを浴びた。なんせ昼間っから熱いシャワーなんてきつすぎる。

10分ほど浴びた俺は風呂場から出て、着替えて部屋に向かった。

かれこれあの公園を出て一時間ほど過ぎている。みんなも流石に家に着いてる頃だろう。

俺たち五人の中でも一番遠い家にいるのが東京都大田区に住んでる愛梨だ。

愛梨の家でも電車に乗ったら大体一時間かかるかかからないところだ。もう家には着いて用事に取りかかっているとこだろう。

風呂から上がった俺はここで部屋に戻ろうとしたその時……


ガタガタガタガタガタガタ


ものすごい勢いでガラスが揺れた。俺は地震でもあったのかと思った。

すると外から何か人の声がする。何故か騒がしい。

なんだ?これは、胸騒ぎがする。

とっさにテレビをつけた俺はとんでもない光景を目にした。

飛び散っているガラスの破片、崩れ落ちているビル。

すると次の映像を目にした途端俺は目を疑った。


『只今、東京都大田区に巨大隕石が落ちてきました。ものすごい被害です。レスキュー隊が近隣住民の救助活動を行っています。』


アナウンサーの声が緊張感に包まれている。

いや、それ以前になんなんだ?この巨大な穴は………?。どういうことだよ、巨大隕石って…。

そして突然俺の頭に一つの言葉か蘇った。


「明日またここで会おう」


「あ……い………り」

東京都大田区と言えば愛梨が住む場所だ。

その場所が一気に壊滅状態になっている。

俺にはなんの言葉も出なかった。ただただ愛梨の名前を言うだけであった。

怖くなった。なのに俺は何故かテレビをつけたまま家を飛び出した。

走り続けた。俺は。急いで最寄りの駅のホームに駆け込む。


頼む、愛梨………!!生きててくれ!!


俺はそんな思いだけが心に響いた。

これからもずっと一緒に……これからもずっとみんなで…………そんな約束をした筈なのに。


しかし駅に着いたのだが電車は事故の影響らしく止まっていた。それもそうだ。こんな状況で動くはずかない。

俺は近くにいたタクシーを拾って


「東京都大田区まで……」


そんなことを言った俺に運転手は俺の方を見て


「だけど今大田区は……」


「お願いします。」


俺の気持ちが伝わったのか運転手は「分かりました、危険だから近くまでなら。」と乗せてくれた。

俺は目的地まで愛梨の無事を願う以外何もなかった。




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