プロローグ Nightmare To Dead
一先ず、オマケは忘れてください。
◆
中編『インサニティ・アンデッド』
第死章『異世戒貴』
プロローグ『Nightmare To Dead』死者への悪夢
すべてが、狂い始める――――。
どうして俺は、こんなところにいるんだろう。
俺はいったい、なんなんだろう。
ぼうっと、水の中を揺蕩う感覚。
視界がさまざまな色に変わる。
青、赤、白、黒、灰、金、銀、紫、空、緑、橙、紺、黄、茶、桜。
目の前にあるはずの世界を認識できない。
もう何も見ることができないのに脳内は、虹色に明滅するブラウン管テレビの砂嵐を捉えていた。
それを、虚ろな心で見つめる。
ぼうっと。
ただ、ぼうっと。
テレビの砂嵐の中に、映像が映る。
ありもしない、幻想の悪夢が映る。
ただただ、それを見つめる。
虚ろな心で、壊れた心で、歪んだ心で。
悪夢が、映る。
それは死の記憶。
生のない、もしもの世界。
誰もが悲しんで、救われない、死に溢れた、そんな世界。
ああ、でも、大丈夫。
そんな過去は存在しない。
そんな現在は覆してやる。
そんな未来は阻止してみせる。
だから、大丈夫。
俺がみんなを守るから。
悲しむ必要なんてないんだ。
みんなみんな、みんなの苦しみと死の運命を、俺が肩代わりすればいい。
もう何も求めはしない。生きていてくれれば、それだけでいい。
なんちゃらの猫ってタイトルの絵本があるだろ?
百万回も生き死にを繰り返した猫の話なんだけどさ。最後は生き返らなくて、死んじゃうんだ。
今じゃもう、どんな話だったのか、頭が痛くて忘れちゃったけどさ。
でもさ、アタマガイタイカラ、こう思うんだ。
――百万回死んだら、また百万回再生すればいいだけの話だろう?
みんなのため? そんなこと言って、責任を押し付けたりはしないさ。
俺は俺のために、みんなを生かすんだ。
だから――――嗤え。嗤え。嗤え。
――嗤え。嗤え。嗤え――
嗤う。嗤う。嗤う。