幕間 ココロは消えない
「ふう、これが新しい……フィラムの体かぁ。ババアのと違って、なんだか馴染みやすい感じがする。っと、ここは牢獄みたいだね。フィラムはユミルと違って、ずぅっと監禁してたからなぁ、仕方ないか。……おーい看守さーん、ボクはシェルアだよー、出してよー」
「ぁ……シェルア。かえって、きたん、だ?」
「あれ、アクィナ。こんなところに来るなんて、珍しいね。……それにしても、視点が変わると、なんだか新鮮な気がするなぁ。バーバラのババア、老眼すぎるよ」
「よく、わかん、ない。……シェルア、まけた、の?」
「あ、鍵開けてくれたんだ、どーも。……うーん。まあ、心身ともに衰えたバーバラじゃ、こんなもんだよ。メティオもぼろぼろになってたから、簡単にやられちゃったし。結果だけ見ると残念だったかな」
「でも、シェルア、うれし、そう?」
「わかっちゃうかいアクィナ? ふふ、ふふふふふふふ、そうだね。体も手駒も減っちゃったけど、それはどうとでもなるからねぇ。ある程度《虚心》の力が戻った今のボクなら、獣ぐらい秒殺できるよ?」
「ゆだん、だめ。シェルア、わるい、くせ」
「耳が痛いなぁ。まあ、そもそも様子見だったからね。いやぁでも、油断はいけなかったなぁ。やっぱり浮かれていたんだろうなぁ」
「……それで、なにがあった、の?」
「おっとそうだ、本題を忘れていたよ。ボクらがずっと待ち焦がれていた、お待ちかねの待ち人が来たのさ」
「……、――っ!」
「お、気付いた? じゃあ答え合わせと行こうか」
「……まじょ、の?」
「そう! あの人の使徒が現れたんだ!」
「じゃ、じゃあ!」
「うんうんうん、当たり前じゃないか《聖水》の使徒! ――いつか迎えに行こうね、《黒死》の使徒を!」
「なまえ、は?」
「――ミコト・クロミヤ」