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エピローグ Bad End






















 ここは、どこだ。


 どこか見覚えのある光景。

 どこだっけ? 記憶が霞んで、なかなか思い出せない。


 霊泉大陸ではない。

 空気中のマナが薄い。なんだか、懐かしい感覚だ。


「ぁ、ぅ……?」


 地面は、均された土だ。

 見上げると巨大な、四階建ての建物がある。


 シェオルでは、なかなか見かけなかった材質――コンクリート。

 見回すと、この敷地がフェンスで囲われているのが見えた。


 とても懐かしく、見覚えのある。

 でも、思い出せない……。


「俺たちの卒業と同時に廃校になった、小学校だよ」


 振り返ると、そこには悠真の姿があった。


「しょう、がっこう……?」


 どこか遠い記憶に、その情景が浮かんでくる。

 それは日本での、思い出の数々で、


「ぇ、ぅ……?」


 地球?

 日本?


 どうしてこんなところにいるのだろう。

 自分には何か、しなければならないことが――、


「ぐ、う……!」


 ひどい頭痛に、耐えきれず膝を折る。

 思い出したくない。けど、一度回回回回り始めた思考は、まったく止まってくれなくて、


「そう、だ――守らなくちゃ、いけないんだ。俺が救うんだ。俺が、俺が、」


 そうだ。

 なのに、どうしてここにいる?

 何があった?


「俺は、何をして……サーシャは、どこだ? レイラは? ラカは? グランは? テッドは? オーデは?」


「もう、いい」


「そうだよ……こんなところで、じっとしてるわけにはいかないんだよ。行かなくちゃ駄目なんだよ!」


「もう、いいんだ、尊」


「そう、そうだ! 戻せぇっ!! 戻してくれ、悠真ぁ! 早くみんなところに逝かなきゃいけないんだよっ!」


 俺が死を背負うのだ。

 みんなの分まで。誰一人として死なないように。


 最後に、みんなで笑い合えるように。

 今まで大変だったけど、ハッピーエンドでした、って。幸せになるはずなのに。


「終わったんだ」


「おわった……? いいや、まだ終わってなんかいない、まだまだ終わらない、だって俺はまだ――!」


「――もう! 終わったんだよ!! ……だから、もういいんだ」


 グラウンドに響く悠真の声は、まるで悲鳴のようで。

『終わった』――その言葉が、無意識の防衛反応をすり抜けて、頭に届いた。



「ぁ、ぁぁぁぁ」



 憶えている。

 忘れられるわけがない。


 オーデが身代わりになって死んだことも、テッドをこの手で殺したことも、グランを見殺しにしたことも、ラカを切り捨てたことも、レイラを置き去りにしたことも。


 そして。


 サーシャを裏切ったことも。




「ぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁ」




 何もかも間違えていた。


 幾万の死を乗り越えた意味など、何もなかった。


 サーシャを救いたいという想いは偽物だった。


 仲間を守りたいという想いは偽物だった。


 頑張ろうと思えた原動力は偽物だった。




 すべて、他人の意志によって操られた、紛い物だった。




「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁあああああああああああああああああああああああああああああ」




 憶えているとも。


 聞き逃すはずがない。


 彼女から、最期に告げられた言葉を。




     ◆




『わたしは、あなたのことが、好き――――』




     ◆





「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ





































イセカイキ - 再生回帰ヒーロー -

七章『異世壊岐』- 了 -

中編『インサニティ・アンデッド』- 了 -






 というわけで、はい。


 ここまでイセカイキを読んでくださった皆様。これまでありがとうございました。

 これにて本作は完結――というのは冗談ですが、物語にとって大きな一区切りになりました。


 今回、反省するところがあるとしたら、カットを多用しまくったことですかね。

 ただ、鬱々としているだけの日常描写が続くと、どうしてもだれてしまうので。読み手的にも書き手的にも。

 すべてにおいて面白く書けるようにはしたいのですが、なかなか難しいものです。


 ぐちぐちぼやくのはこれくらいにしましょう。

 さて。




 本章のラスト、書くのがすっごく楽しかったです。

 四章の死亡ラッシュ~即死チートの流れと、同じくらい書くのが楽しかった。「それらの展開は無意味やってん!」って言うのが本章だったわけですが。

 全編通しても、最も書くのを待ち望んでいた回……というと過言になりますがね。


 執念だけで動いてたミコトは、その根本から間違っていたという事実を突きつけない限り、決して止まることはありませんでした。

 もしもサーシャが死んでも、復讐のために動き続けることになっていたでしょう。


 おそらく全編通して、ミコトが一番厄介なスキル構成になっていたのは、真相を知る直前です。

《虚心》の紋章による魔術のバックアップと、三回限りの『浄火』。マジ強いです(戦わせなかったけど)。


 はい。

 そろそろ、次章のあらすじに移りましょう。




後編『????』

第八章『異世解己』


 元の世界での話です。ミコト……もとい、尊が故郷に残してきたものや、傷付けてきたもの、様々なものと直面することになります。

 おそらく、本章と同じくらいの長さになるかな、と思います(思います)。長くなっても短くなっても、だいたい一五話で纏めます。それだけは絶対に。


 断章や幕間ですが、本章はありません。

 八章も、できるだけ早く書き上げたいのですが、やっぱりリアル優先なので。


 そろそろ後書きも長くなってきた感がありますので、ここらで筆を置くとしましょう。




 改めまして。

 ここまで読んでくださった読者の皆様方、本当にありがとうございます。

 長い間隔を開けようと、決してエタはしないので、どうか最後まで読んでくださると幸いです。

 それでは、八章を投稿するまで。しーゆー。




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