繋がる道
雷光は館の外に飛び出した
雷光「かなり暗い…リリーナが危ない…」
夜になると、妖怪や魔物がうろつく森の近くの館、いつ館に妖怪やらが来るかわからないので、館には門番がずっといる
門番「雷光さん、お出かけですか?」
雷光「あぁ、ちょっとな」
門番「気をつけて下さいね」
雷光は門番に手を振り、リリーナを探した
〜森の中〜
暗く、気味が悪い…いつ、何が現れるかわからない森の中
雷光「…どこだ…リリーナ…」
リリーナを探す雷光だったが…
「キャアァッ!!」
遠くから悲鳴!!女性のようだ
雷光「っ!!」
一目散に悲鳴の方へと走る雷光
雷光「見えた…!!」
かなり大きな妖怪だ、頭の先には人間の子供のような擬似餌がついており、まるで魚のアンコウのような物だった
雷光「それで人間を誘きだして喰うってかぁ!?」
勢いよくジャンプし、刀を妖怪の背中に突き刺す
妖怪「ウギャアァ!!」
突然の痛みに暴れる妖怪、雷光は刀を妖怪から抜き、一度離れた
雷光「くっ…」
周りを見渡す雷光…悲鳴の主はいない…
雷光「…遅かったか…!!」
瞬間、雷光の目の前には妖怪の尻尾が迫っている
とっさに刀で尻尾を斬ろうとするが…
「バキィッ!!」
雷光「…!!」
刀が…折れた
刃こぼれしていた箇所がもろくなっていたのだろう…
雷光「…丸腰じゃキツいなぁ…」
雷光はとりあえず妖怪の攻撃をかわす事に専念した
かわすばかりで戦いが進まない雷光だが、
雷光「何か方法は…」
周りを見て使えそうな物を探す雷光
その時、妖怪の擬似餌が雷光の目の前に現れた
雷光「っ!!」
慌てて後ろに飛び退く雷光だったが、妖怪は後ろに居たのだった…
雷光「しまっ…!!」
パクっ!!と口の中に入った雷光…
しかし妖怪は口を動かさない、いや動かす事ができないようだ
少しすると妖怪は雷光を吐き出した
雷光「雷を纏うようなやつを食いたかぁねぇだろ!!」
どうやら口の中で雷を纏い、口を動かさないようにつっかえ棒になっていたようだ
雷光「…根本的に解決にはならんがな…」
どうしたものかと考えていると
「雷光さぁん!!雷光さぁん!!」
聞き覚えのある声がする
リリーナ「見つけた!!はぁ、はぁ…」
雷光「リリーナ!!」
リリーナ「これ…使って…」
息切れしながら刀を差し出すリリーナ
雷光「…ありがとよ!!」
刀を手にした瞬間だった…雷光は姿を消し、夜の森の中にキラリと光る何本もの軌跡…
妖怪は動かなかった…
リリーナ「止まった…?」
雷光「いや、もうそいつは死んでる」
ドサドサッ…と音を立てて妖怪はバラバラになり、崩れ落ちた
リリーナ「今の…雷光さんが…?」
雷光「…あぁ、それが何か?」
リリーナは雷光のスピードを再認識した…誰もが追い付けないスピードだという事を
雷光「それより…妖刀はどうした?」
雷光は持ち出されたであろう二本の妖刀の事をリリーナに聞いた
リリーナ「…今、雷光さんが持ってます」
雷光の手にはリリーナから渡された一本の刀…持ち出されたのは二本だったのに…
雷光「…一本はどこに?」
リリーナ「二本をその1つの刀にしました」
二本を…?雷光はリリーナに聞いた
リリーナ「黒い刀は…人の命を欲する妖刀でした…でも、白い刀は、邪気を払う力を持っていました」
それもそのハズ、力を欲した雷光は黒い刀に取り付かれた過去がある。
それを救う為に、白い刀を携えた人に邪気を払われ、今に至る
雷光「そいつはわかってる…」
リリーナ「だから、相互作用で気を中和した、特殊な妖刀にしました」
光と闇…双方の気を纏め、無へと変換させたリリーナ…彼女は一体…?
リリーナ「名前は、可変式妖刀・月光です」
雷光「かへんしき…妖刀?」
名前の意図がわからなかった雷光だが…
リリーナ「これを、よいしょ…」
見ると刀が90°開き、ブーメランのようになった
雷光「二枚刃…!!」
一見、一本の刀だが、刃は二枚、重なっている為、一本の刀に見えたのだ
雷光「遠近両立武器か…」
リリーナ「180°まで開けばダブルセイバーにもなります」
一本の刀で3つの武器として使える物…
雷光「リリーナ…お前は一体?」
リリーナ「…ちょっと…頭がいいだけです…それに…」
リリーナはしばらくうつむいた…
雷光「…それに?」
リリーナ「…それに…私のせいで、雷光さんの刀を…」
ずっとその事を…雷光はリリーナが純粋で、少し無茶をする人だと認識した
雷光「…リリーナ…ありがとうな」
雷光はリリーナの手を握った
リリーナ「…!!」
リリーナは顔を真っ赤にして、固まった
雷光にとっては、あの時、歩み始めた道をリリーナが繋いでくれたのだ…
雷光「力を欲するな…思いを持て…か」
リリーナ「えっ…?」
雷光「あの時言われた言葉さ…さぁ、危ないから帰ろう」
二人は館に戻った