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十一丁目 やっぱり最強

少し短めです

『ふむ、茶のいれかたはなかなかじゃな、褒めてやるぞ』


「…どうも」


俺は病人だよな…何故俺がロボットに茶をいれてやらねばならんのだ


「あー、アニマねー、よくわかんないけど御飯も食べるのよー、食費がかさんで大変、あ、茶柱だ」


んなことどうでも…よくはないけど…とりあえず早く扉を直してくれ…


「扉ならちゃんと直すから安心しなさいな、う〜ん、何試してみようかなあ」


「……試す…」


きちんと元の形に戻るのだろうか…


『む、なかなか美味じゃの』


「そうか…良かったな」


気付くとアニマがオムライスを食べていた、しかもしっかりと温めて。もうツッコむ気にもならない。


……どうでもいいことだが、アニマの食事に対するマナーはいやにしっかりしていた。偉そうな口を聞くだけはある


『ホホホホ、何じゃ三丁目、わらわがいくら美しいとはいえそちにくれてやるわらわでは無いぞ?』


確かに、何も知らない男どもが見れば喜んで下僕に成り下がるだろう。出るとこ出て引っ込むとこ引っ込んだ、究極のボディを携えている。だがロボットの時点で俺はお断りだ


「てかなんでこんなの作ったんですか?」


勝手に煎餅を取り出して貪っているお姉さんに尋ねる。指を指されてアニマがむっとしているのがわかるが、食事の方が大事らしい。むしゃむしゃとオムライスの山を減らしていく姿は、なんとなく無邪気でかわいげがあった


「うーん、最初は依頼だったのよね、メイドさんを作ってくれって」


たぶん、電気街の戦士からだろう


「それで作ってたんだけどこれが面白くってねー、ハマってる内にもういいですって依頼取下げられちゃった」


頭に手を当てて軽く軽く笑う蘭さん、そりゃ98号まで作りゃな…


「で、なんでこんなんになっちゃったんですか?」


喋って、食べて、人間にしか見えない


「それがわかったら苦労しないわよー……と、そろそろ扉直しますかね」


指をペロペロ舐めながら、お姉さんは席を立った。脇に抱えたチェーンソーの用途がとても気になる


「1時か…、おいアニマ、俺はちょっと寝るぞ」


『ふむ、せいぜいゆっくり休むがよい』


「変なことすんなよ、あともうすぐ兄貴が帰ってくると思うから、くれぐれもロボットとか言うな」


『何故じゃ?』


「なんでもいいから」


もはやアニマに対してのツッコミはいい、いるものはいるのだ。存在を否定してもしょうがない、しっかりと現実を受け止めるしかないのだ


「あー、頭痛て、あいつらホント何しに来たんだよ…」


二階への階段を上りながらぶつぶつとぼやく、看病の前に患者の病状を悪化させてどうする


「寝よ…」


ため息を漏らしながら部屋に入り、ベッドに潜り込むと目を閉じた。目が覚めたときにどうか何も起こってませんように……




――――――


―――




ドッゴォォォォン!!!


「おわッ!なんだ!?」


ヘリコプターよりも盛大な爆音で三丁目は目を覚ました


―や、やめて二人とも!家が壊れちゃうよっ!


―ええい黙れ小娘ッ!もう辛抱ならぬッ!!!消しズミにしてくれるわァッ!!!


―はっはっは!素晴らしい!!!現代の科学はここまで進歩しているのか!おわッ!


ドッゴォォォォン!!!


―キャァァァ!


―おのれェ!ちょこまかとッ!




―幹春さーんお醤油取ってー


―はいどうぞ、いやー、しかし蘭さんはお綺麗ですなぁ


―うふふ、良く言われますぅ



………


これほどまでにわかりやすい会話があろうか。目には見えなくても、下で何が起こっているか容易に想像できる


「…もうヤダ…」


泣きそうになった。時刻は10時、確実に近所迷惑だ。それでもなお苦情が来ないのは、とばっちりを恐れてか


―はっはっは!次はライトセイバーでも出てくるのかな?


―望みとあらばやってくれるッ!!!



ブォン



―す、素晴らしい…


感動してる場合か、てか絶対見たかっただけだ、コイツ


―おおっと幹人選手隙だらけだァッ!


何故か青山さんまでいる、逃げ切ったのかな?


―姉さま、あなたにはやるべきことがあるでしょう?帰りますよ


あ…捕まったんだ…


―えぇ〜、忘れようぜ〜ジョナサンもジョセフもやっぱり豚角煮まんの方が好きなんだって〜


ジョナサンとジョセフは一体なんなんだろう


―……


キュィィィィィン!


―ひぎゃぁぁぁぁ!あ!……………


さようなら青山さん、これに懲りたら少しは自粛してくれ


―ただいま〜、遅くなってごめんなさいね〜、帰る途中に若い子にナンパされちゃって〜



あ、終わったな


―お、おかえりお母さん…


雨だ。きっと考えていることは同じだろう、声が震えている


―なんじゃ貴様は?今はこやつを黙らせる最中じゃ、下がっておれ


ピキッ


―雨ちゃん、説明してくれるかな?


―は、はい!


雨が思わずかしこまる



―むッ!おのれどこえ消えたァ!姿を現せこの変態がァッ!!!



…逃げたな


―そう、だいたいの事情は飲み込めたわ、ありがと、雨ちゃん


―こ、光栄です…




―おのれおのれおのれェッ!!!わらわを愚弄した罪、許さんぞッ!!!


怒り狂うアニマ、だがもっと怒っているのは…


―アニマちゃん、かしら?ごめんね、近所迷惑なの、少しおとなしくしてもらえるかな?


非常に、いや非情なほどのおだやかさだった



―下がっておれと言ったであろう!この年増がッ!!!


……


………


……短い間だったな…アニマ…、目を閉じれば思い出すよ…、うまかったか?あのオムライス…



―小春流…弐の型…


シュゴォォォォ……


―…な、なんじゃそれは…わ、わらわに寄るな…寄るなァァ!


カッ!









キャァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!






…………



さてと…



熱も下がったみたいだし、明日は学校に行こう。そっちの方がゆっくり療養できそうだ…

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