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プロローグ

だんだんヒートアップしてきます。平にご容赦を

突然だが俺には悩みがある。もちろん悩みのない人間などこの世にはいまい。悩みのない人間がいたとしたら、それはよっぽど日々を誠実に、満ち足りた生活を送っている人か、ただの阿保である


…さて俺は人間の悩みについて長々と自分の見解を述べるつもりはない。俺の悩み…それは名前である。


名前:ある人や事物を他の人や事物と区別して表すために付けた呼び名


そう、名前だ。ここで断っておきたい、その際に全国の下記の名前の方には深く謝罪をしよう。

俺は太郎や一郎などのいたってシンプルで平々凡々な名前とか、はたまた千十郎や豪三朗とか極めて重苦しくかつ欝陶しい名前でもない。自明の理だが、一般人からして上へ上げた名前を不満に思う人もいるだろう、ただ俺の場合、もし今名前が変えられるとして、前者の名前を与えられた場合、俺は二つ返事でこれを了承し、胸を張ってその名を名乗ることだろう、某有名メジャーリーガーの恩恵にもぜひあやかりたいものである。

もちろん後者の場合でもそれは同じだ


まあ、というわけでさんざんもったいぶったが、ここで俺の名前を紹介する前に、俺の家族の名前を紹介しよう。なに、嫌なことを先延ばしにするのは人間の性であるからして


俺の父 浅岡 幹春は現役バリバリのサラリーマンであり、今日も今日とて会社と会社の間を駆け回っていることだろう

趣味はゴルフ、好きな食べ物は肉じゃが。典型的な料理によって母の手中に落ちた父親を持つ俺としては、その遺伝子を受け継いでいることが非常に恐ろしく、今では肉じゃがを見ると外に放り出したくなる衝動にかられるまでに成長した。無論、肉じゃがに罪は無い



母 浅岡 小春は専業主婦で、一言で言うなら腹黒い。二言で言うと、止まらなくなる可能性があるので、ここは割愛させていただこう。武器は料理道具全般、好きなものは戦争物映画と、父の紹介と趣を異にしているが、安心して欲しい。俺は父も超一流の変人と認識している。



兄 浅岡 幹人は家族で唯一俺の悩みをわかってくれている存在である。だが日本語は難しい、それはわかっているだけであり、実行に移したことは皆無である。兄がまともに俺の相談に乗ってくれたことは一度としてない。俺と妹をからかうのを生き甲斐とし、あの手この手ではた迷惑な行動に出る。我が家の知的変人、加えて超を超越するほどのゲーマーである



妹 浅岡 雨は両親のネーミングセンスが混迷した俺の後に生まれて来たため、本当に不憫に思う。雨と書いてなんて読むのか?いちるの希望をかけてそう聞く人間は少なくない。だが非常に残念なことに、雨は雨だ。雨はあめ以外に『う、あま』という読み方しかない。妹が幼いころには、空模様が悪くなるたびにいじめられる妹をよくかばったものだ



さて、これだけもったいつけておけば、俺の名前は多くの人間の期待を背負っていることだろう。

無論、それでいい。期待してくれて構わない。だがここで俺からお願いがある。どうか主観的に俺の名前を聞いてほしい。もしあなたがこの名だとして、大学病院や大型雑貨店で呼び出しをくらったときどう思うのか、冠婚葬祭でこの名が告げられたらどうなってしまうのか。それを踏まえた上で聞いてほしい、俺の名は…




浅岡 三丁目


……はい


………もちろん妹と同じだ、ほかに読み方などあるはずがない



さぁ声を大にして叫んでくれアサオカサンチョウメと!!!あはははははははははは……はぁ…

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