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2話 プロローグ② ~雷華の兆し~

 ピヨッ!

 あとがき担当のヒヨコだぞ!ピヨちゃんと呼んでくれ!

 初めましての人は初めまして。二度目以上の人はごきげんよう。ヒヨコ界のロサ・キネンシス・アンブゥトンとはヒヨコの事だ!


 エメラルドブロンド、この言葉は本作の造語だぞ。エルフの末裔とされるルミヤルヴィの中で稀に現れる緑髪の人が良く言われる言葉だな。

 そしてついに出てきやがったな、ヒヨコ本編のキャラ、エルフのお兄さんの名が。だが、これは本編既読者なら予想がついていた筈。何故なら支配帝とかハーレム帝とか呼ばれた皇帝の名を本編で出したのはエルフのお兄さんとの会話からだ。そして本編でこの時代に生きていたのもエルフのお兄さんだしな。

 ヒヨコ的には想定内だ。

 べ、別に羨ましくなんて無いんだからね!

 ちょっとツンデレ風味に評してみたぞ。


 さ~て次回のピヨちゃんは「ヒヨコ枠の【嘴スキル】で最凶になったヒヨコがラスボスを蹂躙するまで」でお送りするぞ。お楽しみに~。

 ………はて、ヒヨコがラスボスを蹂躙した事があっただろうか?ヒヨコシリーズにおけるラスボスはヒヨコから逃げ出すのだが………。


※次回予告はヒヨコの出鱈目です。本作品とは一切関係ありません。

 ヴィルヘルム・ルミヤルヴィだった。

 エルフの血を継いだルミヤルヴィ辺境伯家の集大成ともいうべき偉大な存在で、大陸三大英雄の一人で賢者の称号を持つ男であった。

 彼が歴史に名を刻んだのは10歳の頃である。

 後継者に担ごうとする貴族達から逃れるように9歳で帝国から出奔。鬼人領にて英知と魔法によって魔神の眷属・悪魔王の迷宮を突き止めた幼き賢者として名を知らしめ、最年少紅玉級冒険者になった天才である。


 4人は入り口から入って来た領主様を見て、立ち上がって礼をする。

 ヴィルヘルムはソファーに座り、子供たちに座るよう促して4人は再び座る。


「ヘレントルなら帝国最前線の情報が手に入る。特にダンジョンの情報を統括しているのはヘレントルの冒険者ギルドだからな」

「そうなんですか?」

 ヴィルヘルムの言葉にフレデリクは首を傾げる。

「ルミヤルヴィ建国から約200年、脅威から守るだけでダンジョンに攻め込んだ事はなかった。私が幼い頃は常にリンノイトゥスの城壁で戦い続けていた。私は外のダンジョンでの戦いの経験を持って領地に戻って初めて魔物の群れをダンジョンに押し込んだ。そして、学園でダンジョン攻略のノウハウを学んだヴォルフをリーダーにして、ついにダンジョン攻略のめどが立った。これは多くを知る事、経験をする事から来ている。ここにいるだけだった英雄たるルミヤルヴィの父祖たちの悲願を、外の人間が達成しようとしている。つまりは世界を見て、経験を積み、より多くを知れという事だ」

「そうなんだぁ」

「ここにいるだけではわからなかった事がたくさんある。偉大な英雄の弟子になれたのも世界を歩いたからだ。世界は広く、多くを見て学ぶのは良いことだ。」

「お父さんもそうやって学んだのかな?」

 僕の質問に領主様はにこりと笑う。

「そうだな。あの子は俺の旅路の集大成だ。ヴォルフは血の繋がりこそないが、息子のようにさえ感じる」

「お父さん。それだと私はリッちゃんの叔母さんになっちゃう」

 アーちゃんはプウとほおを膨らませて抗議をするのだった。

「はははは。すまんすまん。さてと、そろそろ勉強会を始めよう」


 ヴィルヘルムは智謀に優れ、多くの知識を持ち、様々な裏の話を知っていて、色々な事を教える。

 フレデリクはアレクサンドラの遊び相手兼付き添いで、運よく賢者ルミヤルヴィから様々な知識を幼い頃より叩きこまれていた。

 フレデリクの父ヴォルフもまた、貴族としての立ち振る舞いを叩きこまれたと聞いていた。

 ヴィルヘルムはフレデリクに語った内容はこうだ。

 ヴォルフの心根は素晴らしいが野生の獣のように感覚で判断する。常に正解を選ぶが誰も理解できないし、それを言語化も出来ていない。立ち振る舞いも野生児そのものだから信用も得られない。頭ごなしに説明しても反発するだけ。理を持って正しく説けば理解できる知性がある。誰もそれをしてなかった。野生の獣のような理知の子供を相手に理を説かなかった。それをしてきたのがザシャで、だからこそ正しく強い男を認めたザシャだけに心を開いた。

 私はこの世界、貴族達の理を説いた。それだけだ。

 英雄と呼ばれる冒険者であり、賢者と呼ばれた大魔法使いであり、そして帝国8大貴族の辺境伯という立場から一つ一つ教え導いたという。


 結果、フレデリクが物心をついた頃には立派な貴族様の振る舞いが出来るようになっていたそうだ。


 そんな関係だから、実際にフレデリクはヴィルヘルムを祖父のようにも感じているのは仕方ない事だった。実際に年齢差もその位の差がある。


「そう言えば近々あのミロン様がこの地にやってくるという噂を聞いたのですが、本当でしょうか?」

 トビアスがヴィルヘルムに訊ねる。

「本当だ。私は昔、ミロン様に教えを乞うた事があってな。私の『雷華の賢者』の異名は彼に習った雷魔法によるものだ」

「邪神戦争における鬼神王の参謀で風魔法を極めた偉大な賢者様だと聞いてますが雷魔法も極めていたのですか?」

「いや、ミロン様は雷系の魔法操作が苦手で、彼が極めたのは風と氷だったな。だが、全ての魔法の知識を持っていた。あの方はあらゆる害悪を殺す魔法を知っている事こそが賢者と呼ばれる所以と言えるだろうな。」

「そのミロン様に魔法を習ったら、僕でもアーちゃんみたいな魔法使いになれるかなぁ」

「フレデリクは資質自体は私によく似てるからな。鍛えれば私の雷華を継げるかもしれないな」

 フレデリクは曖昧に笑う。

 確かにフレデリクはヴィルヘルムに雷魔法の全ての知識を教わっているし、フレデリクは理解していた。だが魔法が上手く操れなかった。

 魔力操作が下手だったからだ。

 その領域に行くにはいろんなものを捨てる必要があると感じていた。父に剣を習っている暇もない位、魔法に集中する必要があると思っている。


「私は?」

「アレクサンドラは火系魔法の適性が強いからなぁ。エルフは火魔法だけは苦手なんだ。帝国最高の火魔法使いはルトガーだからな。彼に習うと良いんじゃないか?」

「ルトガー副団長が一番上手い?お酒飲み過ぎだと思う」

「あいつも色々とあったからなぁ。だが腕は確かだぞ。そうそう、そう言えば、ミロン殿は明日にも着くだろうとの事だ」

 ヴィルヘルムの言葉にフレデリクとアレクサンドラは目を輝かす。

 二人は文字を覚えるや幼い頃から本を読んでいて英雄譚なども大好きだった。

 エルフの英雄ミロンは150年前にあった邪神戦争に参加し邪神討伐を成した英雄であり鬼神王の参謀として助言を与えている賢者で、二人はそんな歴史的偉人と会えることに興奮していた。ちなみに最も売れた邪神戦争の物語の著者でもある。


「どんな人なのでしょうか?」

 トビアスも本が好きな子供だったので興味津々だった。

「エルフらしからぬ人でな、我らの時間間隔で生きている人だ。当人が里の大人たちに邪神戦争の事を伝えて、戦争に向かったのだが結局彼らは参加してなかった。どころか腰が重すぎて邪神戦争を終わって帰って来ても、まだ参加するかどうかで揉めていたとか」

「終わってんじゃん」

 フレデリクは呆れたようにボヤく。

「だからか、自分の故郷にはあまり腰を据えずあちこちフットワークが軽く動いているらしい。帰って来て女王様に褒められたのだけが嬉しかったが、大人達には絶望したと呆れておられた。あの方はエルフの中では最年少位に若いらしいからな。我らからすれば遥か年上であるが……」

「おとーさんよりも凄いの?」

 アレクサンドラは首を傾げる。

「彼は旅のついでに、魔神の眷属以外が支配する迷宮を単独でいくつも攻略している。恐らく迷宮攻略数だけならば人類最多だろう。私など比べ物にもならんよ」

 現存する大陸三大英雄が、自分と比べられないというほど偉大な英雄だという事だけは理解するフレデリクであった。




 ヴィルヘルムの勉強会が一通り終わるとテストが行われる。


 フレデリクはさっさとテストを終えると暇潰しとしてヴィルヘルムとチェスをしていた。

 フレデリクの得意なものの一つにこのチェスがある。


 医術は幼い頃から母の仕事場で育ち神童と言われる程早い段階で神聖魔法を身に着けた。

 剣術は5つの頃から父よりスパルタで叩きこまれた為に同学年とは比べ物にならない程に優れている。

 だが、最も得意なのが頭を使う事だった。将来、アレクサンドラが困った時に役に立てればいいと思っているので、知恵は必須だ。


 実の所、フレデリクは両親よりもヴィルヘルムに似ていると思っている。教育を施しているのが彼だからだろう。考え方が非常に似ていた。父の性格に似た為、理知的な中に感覚的でクリティカルな一手を放つのでチェスにおいて無類の猛威を奮った。

 トビアスは既にテストを終えてヴィルヘルムとフレデリクのチェスを眺めていた。


「終わった~」

「あ、アーちゃん終わった?じゃあ、チェックメイトで」

「ちょっと待て。フレデリク、お前、詰めれそうで詰めなかったように見えていたんだが、まさか遊んでたのか!?」

「そ、ソンナコトナイデスヨ?」

 僕は領主様から目をそらしてぼやく。

「……お前という奴は」

 領主様は呆れたように僕を睨む。トビアスも呆れたような視線をフレデリクに向ける。


「お前は何でもできる子だけど……」

「何でもというか器用貧乏?」

 フレデリクは自覚している。

 魔法はアレクサンドラには勝てない。剣術や槍術、格闘術などは白狼騎士団の大人達には勝てない。医術は母の弟子たちに勝てない。勉強だってトビアスには勝てない。勝てないものだらけだ。

 フレデリクは特技みたいなものを探してやってみたが一番になれるものはなかった。強いてあげるならこのチェスがそうだった。だが遊戯が特技とは如何ともしがたい。


「お前の年齢でそこまでやれる奴はどれをとっても一芸と言って良いんだがな。敢えて言うなら、頭が良いな」

「トビアス兄ちゃんの方が良いよ」

「そっち頭じゃない。論理的に自分の目標を成し遂げる能力だ。戦略性を持ったゲームなら無類に強いからな。経験があれば俺以上に優秀だろうな」

「光栄です?」

 フレデリクは褒められたので、頭を下げて受け入れる。

「俺の賢者という称号は英雄王を王へ導いた能力を称えられたものだ。このゲームで俺に勝てる人間はそうそういないからな」

 ヴィルヘルムはフレデリクの頭をワシワシとなでながら、本当の意味での自分の後継者をほめたたえるように笑う。

 平民として育てられながらも、英雄に育てられ、後継に望まれた少年、それがフレデリク・ズワールトであった。

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