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雷華の騎士 ~やがて支配帝(ハーレム帝)と呼ばれる男~  作者:
第1章 雷華の騎士とルミヤルヴィの姫
16/21

6話 ルミヤルヴィの戦争④ ~シルッカ・ラーナスト~

~ローゼンブルク帝国ルミヤルヴィ辺境伯領カイヴォス~


 カンカンカンカンと甲高い警報を鳴らすカイヴォス市内。領民は逃げる場所もなく、家の中に入って怯えるしかできなかった。

 カイヴォス領主ラーナスト伯に宣戦布告の連絡が届き、何をすべきか悩んでしまう。

「ベルトハイム軍だけではなく紫鷲騎士団まで来てる!?どういう事だ?」

「分かりません。ですが、彼の軍勢が5000近く来ているのは事実です」

 部下の報告に顔色を青ざめるラーナスト伯だった。

「ランジランタ伯に救援要請は?」

「断られました」

「馬鹿な!カイヴォスは人の軍隊から守れるように出来ていないのだぞ!マルヤーナ様やアレクサンドラ様は何を考えている!?」

 南から細い道がありそこを塞ぐような城塞で作られているのがカイヴォスの珍しい作りで逆側は申し訳程度の城壁しかないのだ。攻められれば簡単に落とされる。ルミヤルヴィの弱点は魔物から守る事だけを考えており、背後から刺されることを考えていないのだ。


「アレクサンドラ様より伝言です。領軍はスタンピードラッシュで動けない。ハッキライネン連合軍から籠城中であるとも」

「!?スタンピードラッシュだと!?」

 西部迷宮が十年前後に一度は起こす大惨事、スタンピードラッシュ。一月以上魔物軍勢が迷宮から発生し人類を蹂躙する壊滅的な攻勢だ。250年の間に復興と壊滅を何度も繰り返した歴史がある。この30年程はヴィルヘルムによって大きい被害を出してこなかった。その為、復興期間が少なくルミヤルヴィは非常に栄えた事実がある。

「恐らくその情報を聞いて、ハッキライネン軍は攻め込んだのかと。以前から不穏な動きはありました」

「馬鹿なのか?ベルトハイムはともかく、ハッキライネン伯は何を考えている!まさか忘れたとでも…」

「忘れているのかもしれません」

 部下の言葉にラーナスト伯は頭を抱えて溜息を吐く。

 確かにここ最近、地方貴族はスタンピードによる被害がほとんどなかった。少なくとも領都勤めの貴族ならばスタンピードラッシュがどれほど厄介なのか知っている筈だ。

 だが、思えばハッキライネン伯は30代とかなり若い。地方でスタンピードラッシュに会ったことが無い可能性がある。

 ヴィルヘルム様の治世があまりにも良すぎて危機感が薄れてしまったという事実が思い当たる。


「妻と子供を南の門から逃がせ。守りが突破されるのも時間の問題だ」

「ですが既にベルトハイム軍は東からも手を回しています。ランジランタへの道は空いてますが領都が籠城していては……それにスタンピードラッシュがあります。外は危険です」

「くっ」

 苦しそうに呻くラーナスト伯だが、そこにやってくるのは愛娘であるシルッカだった。

「お父様、逃げる事は出来ません。私とてルミヤルヴィなのです。アレサ……いえ、アレクサンドラ様が死ぬ気で窮地をこらえようとしているのに、私が逃げるなんてあり得ません」

「馬鹿を言うな。ベルトハイムはお前の身柄を求めているのは間違いないんだ。奴らが欲しいのはカイヴォスだけじゃない。ルミヤルヴィを手に入れたいんだ。アレクサンドラ様がリューネブルクによって所有権を取られたら戦争を利用して殺そうとするのは目に見ている」

「そんな……」

「奴らは15年前にあった帝都の暗黒期をこのルミヤルヴィでやろうとしている。ベルトハイムやリューネブルクだけじゃないだろう。ハッキライネンの背後に大貴族がいないとでも、思っているのか?」

「そんな……」

「良いか。とにかく逃げろ。お前がやるべきことは…」

「分かっています。それでも逃げません。民より先に逃げるよう育てられた記憶なんて無いですし、もしも捕まったらその時です。」

 シルッカはきっぱりと父親に言い切る。

「……お前は本当に母上にそっくりだな」

「お祖母様に?」

「あの人は家庭的で優しく戦いを知らぬ人だった。だが、やはりルミヤルヴィの女だった。スタンピードラッシュに巻き込まれた際、民より先に逃げることを良しとせず、最後は俺をかばって亡くなった。……お前にはルミヤルヴィの女としては生きて欲しくなかったんだがな」

「お父さんみたいな人の子供が忘れて行って、こういう形で正しい貴族を殺すんだと思うよ」

「それに否定はできないな」

 ラーナスト伯は娘の言葉に苦笑するのだった。

「領地の皆を落ち着かせて前線で堪えている兵士の皆さんを助けましょう」

「危険にならない範囲でだからな」

 家庭的でローゼンブルクの貴族女子として育てられても、悲しくもルミヤルヴィの心構えを受け継いだ娘を心配する父親だった。領都で長らく育てられたからこそ、間違いなくルミヤルヴィ姉妹の影響を受けるのは当然だった。




***




 戦争がはじまり、カイヴォスは早々に城壁を閉じて防衛に入る。

 領軍は城壁にのぼり敵の攻撃に備える。領民は中央の城の中に避難させ、避難を呼びかけるのは伯爵夫人で、幼い弟もそれに協力する。

 北の門で伯爵が、東の門で伯爵令嬢が、領軍に対して陣頭指揮を執る。

「お嬢様、その恰好では危険です」

 軽装のシルッカに対し、守りにつく兵士たちは心配して忠告をするが、

「大丈夫ですよ。逃げるには皆さんの様な重装備ではむしろ足が動かないので」

 と苦笑して返される。

「であれば、こちらに。弓矢や魔法に当たりにくいですから」

「それでは全体を見えないでしょう。大丈夫、将軍の指示には従いますから」

 成人したばかりの15歳の少女を見て来た軍の大人たちは、つい最近まで割とおてんばで料理の差し入れをしに来るかわいらしいお嬢様が、鎧を着て陣頭指揮に出ている辺りで頭が付いてこない。ただ彼女を守らねばならないという思いは大きかった。幼い頃からよく知っている領地のお姫様でルミヤルヴィの継承権第4位の地位を持つ少女だ。


 戦端は敵軍が辿り着き陣形を整える即座に切って落とされる。

 北側の城壁に弓矢での攻撃をしかけ始めると同時、東側も火の矢で攻撃を仕掛けて来る。

「後方、雪で火矢の効果は薄い筈だけど気を付けて。無理なら私が魔法で消しに行きます」

「はっ」

「お嬢様、後方指揮式はお任せいたします」

 将軍は歩いてシルッカの前に立ち敬礼を取る。老いた将軍は、孫娘のような歳の少女が戦場に立っているのを見て、困ったような顔をしながらも、ラーナストの嫡女として立つ彼女に手の回らない部分を任せる。


 シルッカは一日中走り回って指示を出して必要があれば自分が行って魔法を使って火のついた家を水魔法で消火に当たる。




***




 夜になり冷え込んでくる。敵もこちらも野営をしながら薪の周りで暖を取りながら、食事をとっていた。


「ダメですな」

 シルッカは将軍にダメ出しを受けていた。

「ダメですか?」

「確かに大規模な水魔法で消火できるのはお嬢様のみなので走り回る羽目になるのは致し方ないのですが、指揮官としてもう少し動かないようにしないと、最終決定者が不在では困ります。後方を任せたのですから、もう少しどっしり構えて貰いたい」

「難しいですね」

 シルッカは困ったという顔で思案する。

「将軍、お嬢様は我らを想って動いてくれているんですから、そんな…」

「良いのです。気持ちがあっても邪魔になるならいりません。ヴィルヘルム様なら切って捨てるでしょう」

 庇ってくれる周りの若い兵士たちであるが、シルッカは首を横に振る。

「ヴィルヘルム様は将としても領主としても個人の武勇としても優秀過ぎますから。ルミヤルヴィの最高傑作とさえ呼ばれた方と比べるのは自分に厳しすぎますが…」

 将軍は苦笑する。

 その言葉にシルッカは恥ずかしそうに俯いてしまう。そこまで思い上がってはいないが、高すぎる目標だと一笑されてしまえばその通りだ。

「出来るだけ動かず、まず状況を明確に確認して本当に自分が動かないといけない案件か考えなければなりません。そして自分が動かざるを得ない場合は後方に自分の居場所が分かるよう指示を出すのです。それだけで周りも安心するでしょう。私の下にきてお嬢様への報告が出来ぬと困っていた部下が何人もいたので」

「すいません、迷惑をかけて」

 シルッカは少し落ち込む。

「迷惑ではありません。本来であれば全て私がやる事をお嬢様が加わる事で手が空いて、その分を北側の守りを抜いた敵の対処を、こちらで回せたのは事実。領主様も感謝している事でしょう」

「そ、それなら良いですが……。トビアス様やリッ君なら多分、上手くやったんだろうなぁ」

 シルッカは頭も回り腕も立つルミヤルヴィ姉妹の婚約者を思い出す。


「どちらも傑物でしたからね。ランジランタに滞在した時、トビアス様がスタンピードの余波で100近い魔物討伐をしたのを見た事がありましたが、見事なものでした。13歳の頃だった筈です。確かその時ピクニックに出ていてお嬢様は余波に巻き込まれたとか?」

「リッ君やアレクサンドラ様も参加していたけど、リッ君が全員を逃がして罠やら足止めするように殿を務めていたんですよね。一人で100の魔物の足止めをするリッ君と、後詰めで見事に刈り取ったトビアス様。あの二人が並んで立てばルミヤルヴィはヴィルヘルム様の後の治世も安心できると……そう思ってたんですけどね」

「火竜王の襲撃で多くの民が生き残りましたが、重要な人たちが多くなくなってしまった。白狼騎士団の撤退と解散命令が出た際、マルヤーナ様が彼らを引き抜かねばどうなっていた事か。間違いなくルミヤルヴィは滅び、このカイヴォスも魔物に蹂躙されていた事でしょう」

「そうですね」

 だが、ルミヤルヴィにおいて英雄とは死んで名を刻むもの。多くの英雄達が西部迷宮のスタンピードと戦い民を守って死んでいった。カイヴォスを発見し守り抜いた初代ラーナスト王も、樹海のダークエルフの王と手を組んで西部迷宮の防衛網と構築した初代ルミヤルヴィ王も戦いの中で死んだ。


「とはいえ、無いものねだりですし、今の状況でどちらか一人生きていたからと言って、どうにかなるものでもありません。お嬢様はまず敵の手に渡らぬようにしてください。どのような扱いを受けるか分かった者でもありません」

「それは……分かっているわ。生きていれば何をしてもいい位の命令が来ていてもおかしくないのだから」

 慰み者にされ、心も体もズタズタにされても、生きてベルトハイムの手に渡れば、疵物だから引き取ってやるとでも言ってルミヤルヴィ継承権第4位の人間を手に入れられる。シルッカは凡そ人間の尊厳など与えられまい。


「アレサもランジランタで籠城をして戦いをしている。元白狼騎士団もリンノイトゥス跡地でスタンピードラッシュから守る為に戦ってる。中央が必至なのにここだけ泣き言を言えないわ」

 シルッカは薪の温もりを感じながら冷える体を温める。兵士達は臨戦態勢のまま屋根もない場所で共に休む令嬢の姿に彼女を守ると心を決める。故にこそカイヴォスの民はラーナストに従うのだ。苦楽を共にし民の安寧だけを第一に戦う領主に絶大な信頼があった。


 だが、心無い者だって存在する。

「あの、お嬢様が降伏すればベルトハイムは引いてくれるのでは?」

 思い付きで言葉にした男に周りの兵士たちに睨まれる。

「カイヴォスだけを見れば正しい選択でしょうね」

 シルッカは頷く。

「なら…」

「ベルトハイムはそのままあなた達も率いてランジランタへ進軍し、アレクサンドラ様を殺し、ルミヤルヴィの実権を握るでしょう。ですが、その後どうなると思いますか?元白狼騎士団は己の名誉と誇りの為に戦って来て、貴族に蔑ろにされた人達です。ルミヤルヴィの気風が合ったからこそマルヤーナ様に従ったのです。彼女達を殺されれば、彼らは失望してこの地を去るでしょう。恐らく西部迷宮のスタンピードを止められる人はいないでしょうね。同時にカイヴォスは終わりますよ。私がベルトハイムの傀儡になるとはそういう未来を創るという事です」

「!?」

 何の気なしに口にした男は顔色を青ざめさせる。

「まあ、ベルトハイムも一緒に滅ぶでしょうから、ザマアみろと笑えるかもしれません。私はどっちにしてもろくな未来ではないのですが」

「馬鹿が。物事を考えてから口にしろ」

 兵士の一人が愚かな発言をした同僚を叱責する。

「ベルトハイムはルミヤルヴィの事情を理解していない。いや、本国もだ。俺達領軍の上層部がそれを考えなかったとでも思っているのか?」

「も、申し訳ありません」

 迂闊な事を口にした兵士は短慮を責められ頭を下げる。


「その決断は最悪国ごとどころか世界を滅ぼす。ルミヤルヴィを守るというのはそういう事なんだ。確かに俺達は最前線から離れているから、どこか他人事だろうが……俺が子供の頃は南の城門の上で必死に魔物と戦い続けていた最前線の一つだったんだがな。ヴィルヘルム様が領主になってからとんと暇になった。今はスタンピードラッシュ中だと聞く。最悪、スタンピードの余波が南から来たら……」

「その時は私が投降し、攻め込んできたベルトハイム軍をそのまま魔物の軍勢に使いましょう」

「その時は私もお供をしましょう。この首はその時まで残すつもりですからな」

 ニヤリと笑う老将にシルッカは満足したように笑う。

 姫と老将のやり取りに、多くの兵士たちが彼らの為にも負けられないと理解する。

 実際、現場で戦う若い年代の兵士はカイヴォスで戦った事はほとんどない。年に1度あるかないか位で、スタンピードの余波によって小規模な魔物の軍勢と戦った位だ。南の城門を突破できた魔物はいない。だから軽く見ている。


「リューネブルクの子倅が火竜王討伐をしたとか?」

「帝都貴族お決まりの、誰かの手柄を奪っただけだとは思いますが」

 複雑そうな顔でシルッカはぼやく。

「どうせ冒険者集団の偉業を奪ったのでしょう。……できればこの私も加えて頂きたかったものです。地獄の様な戦場から解放していただいたヴィルヘルム様の仇を討つ助けになりたかった」

 将軍は自分では役に立つまいとは思っているが、肉壁にならなれるだろうとは思っていた。その為に命を使いたいとも思ってもいた。


 すると北の方でまた戦が始まったのか闇の中で再び魔法による爆発音が響きだす。

 眠たくても眠れぬ戦いが続く。




***




 カイヴォスでの戦争が始まってから3日目になる。多くの兵士が疲弊していた。

 だが、遂に最悪な事態が起こる。北の城門を守る破城槌によって遂に城壁に亀裂を入れて、大規模な敵軍の侵入を許してしまうのだった。市街戦が始まってしまい、北側は城壁の防御が厳しくなっていた。

 東側のシルッカ達も対応に迫られる。

「お嬢様。中央の城の中へ!最早市街の外で戦うのは困難です。我々は北側の守りへ向かいます!お前達はお嬢様を守れ!良いな!」

「「「はっ!」」」

 走り出すシルッカ達だが、北の城壁の亀裂から入り込んだ軍勢は少なくない。外からの攻撃だけを守っていれば良い状況ではなくなった。




 シルッカが走っていると紫色の装飾の有る騎士甲冑をした男たちが北側の曲がり角から駆けて来る。

 紫鷲騎士団である。

「お嬢様を守れ!」

 護衛の数以上に流れ込む騎士団の姿に領軍の兵士たちは決死の覚悟で向かい討つ。


「ラーナスト令嬢を逃がすな!」

「城に入られると厄介だ!足を切り取ろうが死ななければ問題ないのだ」

「<火玉(ファイアボール)>!」

 敵軍が攻め込んできて、しかも魔法まで撃って来る。

「<水壁(ウォーターウォール)>」

 シルッカは水壁を使って魔法を止める。

 だが、シルッカの技術では走りながら魔法を使う余裕が無かった。足が止まれば他の騎士達が追いついてしまう。

「貰った!」

「!」

 シルッカは腰の剣を抜いて最初の一撃はどうにか守り切る。


 だが、そこで東の方から凄まじい轟音が響き渡り雪煙が舞い散り、何かしら乃攻撃があった事が分かる。

 更に迫る騎士達はお構いなしにシルッカをとらえようと駆けつけて来る。

 シルッカもこれまでかと覚悟を決める。


「うあああああああああああっ、テメ、覚えていろよ!」


 上の方から男の悲鳴が響き、何事かと思って空を見上げるが、シルッカと剣でへし合いをしていた男の上に人間が落ちて来た。

 ぐしゃりと潰れる一人の騎士。

「はあ、はあ、死ぬかと思った。ラーナスト嬢、大丈夫か?」

「え、ええと、エル………君?」

「そうですよっと」

 エルッキは剣を構えて集中する。迫りくる騎士に対し、エルッキは魔力を溜めて剣を一閃する。二人の騎士を纏めて切り倒す。

 学年三強と呼ばれる剣術技能を持つエルッキは騎士団を相手にも一切引かなかった。仮にも帝国十剣を相手に互角に戦える少年だ。当然と言えば当然だった。

 だが、シルッカはこんな状況に同郷のクラスメイトが空から来るとは思ってもいなかった。

「ど、どうして?」

「ベルトハイムが宣戦布告したって先生から聞いて慌てて駆け付けたんだよ」

「そっちじゃないよ」

「ランジランタの事?そっちは聞いていなかったし、籠城してるっぽいから、スタンピードラッシュが終われば元白狼の人達がハッキライネン軍を追い払うだろうってあのバカが……」

「いや、空から落ちてきた事なんだけど…」

 シルッカの問いにエルッキは複雑な顔をする。

「それは……まさか死んだと思っていた馬鹿と東の山で再開して、あの野郎に空か落とされたからなんだけど」

「あの野郎……?」

「多分、直にこの戦争は終わる。あっさり東の城門側の外敵をついさっき滅ぼしやがったからな」

「え?え?」

 エルッキは溜息を吐きながら迫りくる騎士達を順々に倒していく。

「だからこそ、負けられねえ!ガキの頃からのライバルに大きく差を付けられるなんてな」

 エルッキは剣を握り、迫りくる騎士達からシルッカを守るように戦う。


 次の瞬間西の鉱山につもる雪山が巨大な雪崩となってこの町へと迫って来る。だが、その雪崩の軌道が全て北の城壁の方へ向かい凄まじい轟音を立てて悲鳴さえも押し流す。

「生きてたんだよ、フレデリクが」

「リッ君が?」

 シルッカは女装させれば自分や同郷のお姫様よりも可愛い絶世の美少女の印象しかない少年を思い出す。

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