第020話 初登校とお友達
俺は2人が出た後で馬車を出して貰い第二学院に向かった。
学院の敷地内に入り馬車を降りてナージャさんと教室に向かって行く。御者をしていたヴェルンさんとはここで別れる事になる。この学院内にはいるらしいけど何処かは知らない。
俺の組みは4組だそうだ。10組ある中で実質上位3組は貴族の子息子女で締められているから平民の最上位になるらしい。
「どうしましたアイリスちゃん?」
教室は2階、階段を上がって廊下を歩いているとナージャさんが話しかけてきた。
「んと、……静か……」
廊下には生徒と従者が次々と教室に入って行くのが見えるけど誰も話してる様子が見られない。静か過ぎて不気味だな。
「ああ、貴族の子息子女も平民も上下関係がまだ出来上がっていませんから。下手なトラブルを避ける為にさっさと教室に入っているようですね」
……そうかぁー、何か面倒そう。この国ギスギスしてんのかなぁ。
『いやビアンカがフレンドリーなのは多分お主じゃからじゃぞ?』
どう言う意味だよ。
『ビアンカの国でも大して変わらんと言うとるのじゃ』
「ふふっ、大丈夫ですよアイリスちゃん、ちゃんとお友達出来ますよ」
そんな心配してないよ?
教室は3つの扉があって前が教師、真ん中が生徒と従者、後ろが従者が用事を聞いた時に使う扉だそうだ。教室に着いて真ん中の扉を開く、1組生徒50人、後ろに従者用の席もあってかなり広いんだよな。
っと、生徒席のやや後ろの方に試験の時隣りだったホリーがいた。
「あちらにホリーさんがいますね」
「……ん」コクリ
「行かないのですかアイリスちゃん?」
思わずジト目でナージャさんを見つめる。試験の時侯爵の息子のオーク君と揉めたから俺とは遠慮したいかもしれないだろが。そう思うと距離をとった方が良いだろ。
そう思って後ろの方の適当な席に着こうとしたらホリーが気付いて小さく手を振ってきた。うん、笑顔だね。俺も手を振って返しておく。
5人席を左右に2つ、それが縦に5列並んでる。窓側2列目にいて後ろから回り込んで行くとホリーも席を立って寄って来た。
「アイリスちゃん同じクラスですね」
「んっ」コク
「? ……どうしたのアイリスちゃん? ニコニコしちゃって」
!? 顔に出てた!?? くっ、顔が赤くなるのを感じて思わず頬を押さえる。
「アイリスちゃんは試験の時のトラブルでホリーさんと友達になれないと思っていたのです。それがホリーさんから話し掛けて貰えて嬉しかったのでしょう」
「ちょっ!?」
何て事言うんだよ!? それじゃまるで人見知りする子供みたいじゃないか!
『見たまんまそのものじゃろ』
いや誰がだよ!?
「まあ、アイリスちゃんは可愛いですね〜」
ホリーに笑顔で頭撫でられてるぅーー! 子供に子供扱いされるなんてぇええーーーーっ!!
クソ〜、俺よりちょっと背が高いからって調子に乗りやがって、……ヨシ見てろよ。俺はホリーを抱き締めて頭を撫でてやりながら背中をポンポンしてやった。子供扱い何て許さない、俺の方がもっと子供扱いしてやるぜ。
「おお〜、アイリスちゃん。えへへ」
『…………(甘えとるようにしか見えんのじゃが?)』
「あの、……アイリス様?」
「んっ?」
ホリーの後ろから声を掛けられて振り返ると、此方に向かって来る2人の少女達がいた。どっかで見たような気がするな。
『侯爵家の3男のハーレムじゃろ』
あっ、やべっ。思わずホリーの影に隠れてしまう。
「どっ、どうしたのアイリスちゃん?」
確かあのオーク君この学院落とされたんだよな。ハーレム潰しちゃったし怒ってるよな? ビアンカお嬢様が商人の女の子は貴族との繋がり目当てだって言ってたし。
「? なんでしょう?」
2人の内の1人が良く分からないと言う感じで聞いて来た。あれ? 怒ってないの?
「アイリスちゃんは御二方の玉の輿を邪魔してしまったと気にされているのです」
ナージャさん……、あえて無かった事にしてくれてたかも知れないのに。
「いえ、私達はアイリス様には感謝しているのですよ? 侯爵家とは言え3男、無下に出来る相手ではないですが恩恵を得られるかと言えば正直……」
「そうよね、3男じゃ私達には余り恩恵は無かったと思うし。まあ例えあったとしても流石にあの見た目と性格は無かったしね」
2人共例え長男だったとしても本音としては嫌だったらしい。まあオークだったしな。
「私はエリカ・クレスタよ。第3デパートで洋服店をやっているわ」
黒髪黒目のツインテール、この子は俺より背が低い、5cmくらいか? ニコニコしてて明るそう。
「私はフラン・リエンスと言います。洋服店をしています。その、レンリート伯爵家のおかげで商工ギルドとの付き合いが出来るようになりました。お礼にお伺いをしても宜しいでしょうか」
「??」コテン
フランは同じくらいの背で俺と同じ桃色のふわふわな長髪と優しげな目で大人しい感じの女の子、2人共オーク君に目を付けられただけあって見目が良い。学院でもトップクラスじゃないかな。
「ビアンカお嬢様にその旨伝えておきましょう」
「ありがとうございます」
「そう言う事なら私もお願いします! 下手をすれば侯爵家に睨まれていた可能性もあったから本当に感謝してるんです。私もお礼をしたいです」
何の事か分からんけどフランにエリカが乗っかってナージャさんも何やら了承したようだ。エリカは従者に相談して改めてお礼がしたいと話して来たのだ。
ついでに何でか知らんけどホリーにもお願いされてしまった。と言っても俺に言われてもしょうがないんだよな。正直何にも知らんし。こう言う時こそナージャさんの出番じゃないの? と思って振り返ってナージャさんを見上げると顔を近づけて来た。
「アイリスちゃん? 何時までホリーさんにしがみ付いているのですか? そろそろ離さないとおかしな噂を立てられますよ?」
「ふわっ!?」
気づかなかった。流石有能だな、ナージャさん。
『………………』ジト目
その後ナージャさんからビアンカお嬢様に伝えると言う事で話しを済ませてナージャさんは後ろの従者の席に着いた。
因みに従者は侍女服か執事服を着る事に決まっていてそれなりに統一感がある。まあ主の立場によって着れる服のランクもあるらしいし家によって微妙に違いはあるらしいんだけど。
「あの、その前に私も挨拶してよろしいでしょうか?」
おっと、ホリーが気まずそうに手を上げてきた。そういや俺もしてないな。でも皆んな名前で呼んできてるし要らないのか?
「私はホリー・ミューズです。雑貨店を営んでいます。よろしくお願いします」
ホリーは赤茶の髪と目をしたショートボブ、丸顔でややぽっちゃりした巨乳の女の子だな。そして俺より少し背が高い……くっ。
一応俺も自己紹介してから5人席にホリー、俺、エリカ、フランと座って授業まで雑談する。これ友達って言っても良いよな? 女だらけなのが違和感バリバリだけど。
『その考えに違和感バリバリなのじゃ』
何でだよ。俺が同じ子供だったらハーレムみたいじゃねえか。そもそも大人が子供に混じって生徒として学院に通うのだっておかしいんだぞ?
『……やれやれ』
全く、やれやれだよな。
『…………』
「ビアンカお嬢様、私は間違っていたのかも知れません」
「ナージャ。――何よ急に」
学院から帰って来たらナージャが沈痛な面持ちで私に話し掛けて来た。ヴェルンからは何も聞いてないからアイリスちゃん絡みで何かあった訳ではないと思うけど、……聞きたくないわね。
「アイリスちゃんが学院に通う事になりましたが、他の子供達と比べても見目も言動も幼いようです。友人になった少女達にも幼子扱いされています」
「――それが、どうしたのよ?」
「実年齢に引っ掛かっておりましたがこれは最早私も幼子として扱っても良いのではないでしょうか?」
「………………はあ?」
「と言うか可愛い過ぎて堪りません! 我慢出来ません! 私も可愛がりたいです!! つきましてはナージャさんではなくナージャお姉ちゃんと呼ばせたいのですが宜しいでしょうか!?」
「駄目に決まっているでしょう!?」バンッ
私が怒る前にアリーニャが叱り付けてしまった。
「貴女はレンリート伯爵家の侍女なのですよ! 何がお姉ちゃんですか! いい加減になさい!!」
と言うかそんな下らない話しを私にしないで欲しいわ。頭が痛くなる。
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