第017話 幕間 ビアンカお嬢様の災難
「何よこれぇええーーっ!!? 学院でどう説明すれば良いのよぉおおーーーーっ!!!」
遡る事早朝、アデール王国王都レンリート伯爵邸では肌艶がツルツルピカピカになったビアンカが悲鳴をあげていた。
「ア、アア、アイリスちゃーーん!!!?」
「ビアンカお嬢様、落ち着いて下さい」
「アッ、アッ、アリッ」
「はい、アリーニャでございます」
「どっ、どっ、どうすれば良いのよコレッ!?」
「ビアンカお嬢様、貴族の令嬢はいつ如何なる時でもそのように取り乱してはなりません。ビアンカお嬢様のその外見については商工ギルドと精霊教会に相談しましょう。詳しくは直接ヒストロスからお聞き下さい」
「そっ、……そう、……そうするわ」
ヒストロスと話しを詰めて学院に、1時限目を終えたら合間に獣人の方々が挨拶に来て牽制してくれる事になっているらしいけど、それも不安しか無いんだけど。
ガラガラ「…………」「「「「「…………」」」」」
うっ、教室に入ると皆んなの視線が、今までは興味なくすぐ視線を外されたり蔑んだ視線を浴びていたのに凝視されてる!!
居心地が悪い、さっさと席に座ってしまいましょう。
「ご機嫌ようビアンカ様」
「ご機嫌ようマリアンヌ様」
「ビアンカ様、随分顔色が宜しいようですね。何か良い事でもありまして?」
ひいーーっ、マリアンヌ様目が笑ってませんわ。貴女私の味方じゃなかったんですのぉーー!?
「いえ特に何もありませんわ」
ほほほ、突っ込まないで下さいましマリアンヌ様ぁ!!
「そう言えば昨日、後日話しを聞かせて欲しいと話しましたよね? 如何なさるのでしょう」
「そうですね。では他にも聞きたい方々がいらっしゃるでしょうし、お昼にでも如何でしょうか」
逃がす気無いですわね。取り敢えず先延ばしにするしかありませんわ。
「あら、今聞きたいのですけど。……まあ人目もありますし仕方ありませんか」
「恐れ入りますわ」
まあその前に獣人の方々が来て釘を刺して頂けるそうだから何とかそれまで誤魔化さないとイケませんわね。
と言うのにこの国の貴族共は〜~、此方が丁寧にお断りしているのに誰が劣等国ですか。そう言ってるのは貴女達だけなんですからね!?
もし戦争になっても単独でもそうそう負けませんわよ? まして貴女達の国なんて普段から横暴過ぎてもし戦争になったら周辺の小国はこぞって敵に回りますわよ?
そんな事も分からずに煽って来るなんて、なんて愚かなのこの国の貴族共は!
ああ〜ストレスが、この場にアイリスちゃん呼んでまたマッサージして貰いたいわ。――いえ駄目ね、流石に収拾つかなくなるわ。
教師が来て授業が始まって何とか落ち着いたわ。コレまた次の休み時間もあるのかしら? て言うかその教師も私をチラチラ見てるんだけど貴女もなの? 教師なんだからしっかりしなさいよね。
次の休み時間を考えて憂鬱になっていたら突然教室の扉が開いて4・5人程の生徒が入って来た。
「レンリート・ビアンカと言うのは誰だ!」
また私ぃーー? もうお腹いっぱいよぉおおーーっ!?
「ふん、お前か? 昨日獣人が貴様の屋敷に行ったらしいな? 話しを聞かせて貰おうか」
1人だけギラギラと装飾された趣味の悪い改造制服を着てる、偉そうなのが話し掛けてきた。確か第4王子だったわね、えっと。
「今は授業中ですよ? サルバルト王子」
「構わん」
私が構うのよ! て言うか教師も止めなさいよね使えない。私は深いため息をついてから答える。
「お断り致しますわ。リアースレイ精霊王国との兼ね合いもありますし、私の判断で勝手に話す訳にはいきませんもの」
「何だと! この俺様が言っているんだぞ!?
「…………(にっこり)」
「チッ、劣等国のクセに生意気な。――おい、連れて来い。ついでに大国との付き合い方を教えてやる!!」
「「「「はっ」」」」
「ちょっ、痛いっ、離して下さい!(何が大国よ。自分達で言っているだけじゃない!)」
「このっ、抵抗するな!」
パンッ「痛っ!?」
取り巻きの1人に頬を叩かれた!? 何なのコイツ等? 私国賓として招かれているのよ? そんな相手を劣等国だとか暴力振るうとか馬鹿じゃないの!? この蛮族国家が!
「お待ち下さい、いくら王子様でも此れは流石に横暴ではないですか?」
「――マリアンヌ様」
「何だと! たかが小国の公爵令嬢如きが、我が国では伯爵程度の領地しか無い癖に! それで殿下と対等のつもりか!? 調子に乗るな!!」
うわぁ、本当にこの国の程度が知れるわ。会話にならない、マリアンヌ様も開いた口が塞がらないようだもの、私も精霊王国との繋がりが出来たらさっさと領地に帰りたいわ。
その後無理矢理教室から引きずり出された。前後に王子の取り巻きに囲まれ歩かされるけど何処に連れて行かれるのかしらね。コイツ等の態度からどんな目にあわされるのか恐ろしいわ。
まるで盗賊に攫われた気分ね。
「待て、何をしている」
後ろから声を掛けられて振り向くと昨日屋敷に来た獣人の方々がヒストロスと共に来ていた。
「貴様等には関係ない、失せろ」
「何だと? 貴様等は上位者との口の聞き方も知らんのか?」
「それは此方のセリフだ! 此方はサルバルト王子だぞ! それが何という口の聞き方だ!!」
「それがどうした? まさかとは思うが我が国と貴様等が対等のつもりか?」
「何だと!」
ああ、助かった、のかしら? そっか、ヒストロスが呼んでくれたのか。でも剣呑な雰囲気、大事にならなければ良いけど。
いえ、私を巻き込まなければどうなっても良いのだけど。
「ビアンカお嬢様、ご無事ですか」
「ええ、助かったわヒストロス」
「ねえ貴女、その頬はどうしたの? 赤くなっているわよ? まさかとは思うけど、――叩かれたんじゃないでしょうね?」
ピリララ様が誰にやられたのか聞いてきたので答えたらその男は吹き飛んだ。ピリララ様が殴りつけたのだ。
そして全員ボコボコにされた……王子ごと。これ問題にならないかしら? ヒストロスも頭を抱えているしこのままだと下手すると私が騒動の中心にされるんじゃない!?
「全く、女の子に暴力を振るって攫おうとするなんてまるで盗賊そのものじゃない」
全く同意見です。――けどそう言う問題で収まる話しですかね?
「ところでビアンカ、貴女昨日より肌艶が良くなってるみたいだけど?」
ピリララ様のえも言わさぬ圧力を。まあ喋ったわよ? 一応内緒って事にして貰ったけどアイリスちゃん目当てでまた来そうね。
獣人の方々に連れられて教室に戻ったら私に迷惑を掛けないように注意して下さった、……のだけど。
「王子のようにボコボコにされたく無ければ気ぃつけるんだな」
「「「「「………………」」」」」
(……言い方が酷い……)
もう私の頭は真っ白よ。ところでマリアンヌ様、何で目を合わせてくれないのかしら?
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