第003話 巫女と精霊と商工ギルド
「アイリスさん? 少し私とお話しをしませんか?」
「うっ?」コテ
ビアンカお嬢様が了承したから皆んな席を外し巫女様と2人きりになってしまった。何だろう、なんか怖いんだけど?
そんな事を思っていると巫女様は不意に手を空中に浮かんでいるリリィの足元に掲げて座らせた、って言うかリリィの事見えてる!?
「ふふっ、貴方に似て可愛いらしい精霊さんですね」
見えてるぅうう!?
おい、どう言う事だよリリィ! 普通の人間には見えないんじゃ無かったのかよ!!
『ええーーい、落ち着くのじゃ! 巫女が普通な訳ないのじゃ!! 精霊神社の巫女は精霊神様に認められた本物の神の御遣いなのじゃぞ!!』
いや聞いてないぞ何だよそれぇええーーっ!!?
「精霊剣の使い手が貴方のような可愛らしい方だとは思わなかったわ」
半ばパニックになっていると微笑みながら頭を撫でて来た。これ大丈夫だよな!? 何か怖い事にならないよな??
『ふぅ、巫女よ。主が怯えておるのじゃ。用があるならさっさと言うのじゃ』
「あら、私が怖いのかしら? ……いえそうね。特に用がある訳じゃないのよ? ただ精霊神様が貴方の事を楽しげに知らせて来たから、どのような方なのか興味を持っただけなの」
『ほれアイリスよ、ただの興味本位じゃ。怯える必要はないのじゃ』
「そうそう、ちょっとお話ししたかっただけですからね?」
いや神が楽しげってもうその時点で不穏なんだけど!? 関わりたくない、……けど今更どうにもならないのか?
「大丈夫大丈夫、貴方はありのままに生きなさい。それが精霊神様の望みですから」
顔面蒼白になっていると巫女様が抱き締めて慰めてきた。うーん、ありのままって事は何かさせる気じゃないって事、だよね? ……ちょっと安心、して良いのかな?
「もう大丈夫みたいね、良い子良い子」
と思ったら子供扱いされた。何で何時もこうなのか、この巫女様の見た目てきに大体同じ歳くらいだろ。
「んっ、子供じゃない」
「あら私からすれば充分子供よ?」
「違う、……もう35歳」
胸を張って答える、もう大人なのだ。多分同じ年くらいなのだよ? ふふん。
「あら、でもふふっ。やっぱり私にとってはまだまだ子供よ? 私なんてもう80過ぎだもの」
「…………衝撃……」
内緒よ? と言う感じで人差し指を口の前に立てながら話してきた。えっ? どう言う事? 80!? 大お婆ちゃんじゃん!!
「巫女は精霊の友人だから歳をとりにくのよ」
そう言うと数十の精霊が姿を見せてオリビアの周りに集まっていった。その多くが人型だけど猫や狼のような姿の精霊もいる。
『おお……』
リリィが驚いているけど俺も驚いたよ。
『オリビアもう良いのかぁー』
『貴女がリリィね、私はシュシュよ』
『うむ、リリィはリリィなのじゃ』
『話し方変ーー、あはははは』
『何じゃとぉーー!』
『でも能力は凄いねぇ、色んな所に行けるんでしょう?』
『私達は基本的には神社内だけだからねー』
リリィはなんだか嬉しそうだな。仲間に会えて嬉しいんだろうか。でも動物型も良いな、地べたに座り込んで狼型の精霊の頭を撫で……撫でられない。
そういや精霊って触れないんじゃなかったっけ。巫女様はリリィを手に乗せてたけどやっぱり巫女は特別なんだな。
「精霊に触れるなら魔力を纏わせるのよ?」
「あっ……」
話しの途中だった。……顔を見上げて巫女様を見ると怒ってないみたい。良かった。
アドバイス貰ったしやってみるかな? 魔力を手に纏わせて狼の精霊を撫でてみる、狼と言ってもリリィと同じ10cm程度だから指で撫でるようになるけど。けどもふもふ感は感じないな、あくまで魔力に触れてる感じか、……でも。
「……可愛い」
猫ちゃんの方も手に乗って来てくれたよ! えへへ、可愛いなぁ。
「リリィちゃんも他の子達と仲良くなったようだし、何時でも遊びに来なさいアイリスちゃん? ――でも皆んなを待たせているし今日はそろそろ良いかしら?」
……忘れてた。
「――地べたに這いつくばって何やってるのよ」
上から見下ろすビアンカお嬢様に呆れたように言われてしまった。
ミリアーナとナージャさんに引き起こされて、巫女のオリビア様に挨拶して精霊神社を後にした。
「何時でも遊びに来てね、精霊の愛し子ちゃん」
最後に巫女様がそう言ってたけどそれって俺の事? だよね? どう言う事?
『巫女は精霊に友として好かれておるのじゃ。じゃから巫女は精霊の友人と言われておるのじゃ。お主は精霊神様に直接リリィを遣わされたから精霊の愛し子と言う訳じゃな』
神ってのが相手がデカ過ぎて不穏なイメージがあるんだよな。
『単なる言葉遊びのようなものじゃ、気にする事じゃないのじゃ』
…………なら良いけど……。
再び馬車に乗って10分程、今度は中央通りにほど近い商工ギルドに来た。王都のギルドだけあってかなりの大きさだ。5階建てでザイガスの街のデパートの倍くらいありそうだ、お城かな?
中に入ると窓口が30くらいある、皆んな忙しそうだ。ヴェルンさんが受け付けに精霊神社で貰った手紙を見せるとすぐに3階のギルド長室に案内された。
「どうも、私はこの国の商工ギルドのギルド長をしているダールトンです」
うん、普通のおっさんだな。此方もビアンカお嬢様がお決まりの挨拶をして話しを進めていく。
「ええ、アイリス様でしたね。此方が商工ギルドのギルドカードでございます。私共の権限で出せるのはここまでです、ご確認を……」
「ええ、…………」ゴン
「お嬢様! どうしました!?」
受け取ったカードを見たお嬢様がいきなり机に突っ伏した。ナージャさんは驚きながらも何時の間にか剣に手を置いて会長のおっさんを睨み付けていた。
「まっ、待ちなさいナージャ、抑えて! 申し訳ありませんダールトン様、少し行き違いがあったようです」
「えっ、ええ。――大丈夫です。しかし何か不味い事でもありましたか?」
「いえ、此方の説明が足りなかったようです。貴方の責任ではありませんわ」
ナージャさんはビアンカお嬢様の言葉を受けて「失礼致しました」と引いた。何があったか分からないけど大事にならなくて良かった良かった。
「――成る程、なるべく目立たないギルドカードをと言う事ですか」
「ええ、ですからこのカードでは過剰なのです」
「いやランク8って何よ。傭兵なら英雄候補じゃない。いくら何でも無いでしょう?」
「はっはっはっ、まあランク8となるとこの国でも私だけですからね。もし受け取られたら今後どう対応すれば良いのか頭を痛めていた所でしたよ」
ミリアーナが呆れたように言うとおっさんは安堵したからか朗らかに笑って答えた。
商工ギルドでランク8となると国に1人、大国でも数人しか居ないそうだ。そんなもん貰ってたら偉い事になっていたぞ!
あの巫女様何を書いたんだよ、もぉーっ!!
「傭兵ギルドでもカードを作るんですよね? 同じ様な事になりそうですので私の方でも手紙を書いておきましょう」
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