第006話 傭兵合流、魔物調査について
「んっ、んんっ! それで俺達はこれから魔物調査に行く。お前の参加は自由だがヤルなら合同依頼って事で俺の傘下に入って貰うぞ?」
うん?? 何でコイツ顔赤くなってんだ? まあ精霊剣の索敵能力があれば不意打ちを受けたり撃ち漏らす可能性は低いだろうな。
『うむ、任せておくのじゃ』ふんす!
「えぇ、アンタ入るのぉ? 取り分減るんですけどぉ」
「そうそう、俺らだけで充分なんだから帰ったらどうだ?」
「……ふんっ」
話した順から金髪碧眼で小生意気な雰囲気のリズ、その弟のやんちゃなラスト、そして紫の髪と目をした大人しそうなクリスだ。エリックだけはまともなんだけどな。
「止めとけお前等、そもそもこの依頼を持ってきたのはアイリスだぞ?」
「けどぉ、1人で受けられる仕事でも無いよねー?」
「そうそう。ウチ等のおこぼれに預かろうなんてセコいんだよ」
『なんじゃコヤツ等、お主嫌われておるのか?』
気にすんな、エリックといるとコイツ等が絡んで来るのは何時もの事だからな。そのまま流して話しを進めるぞ。
「ちょっとぉ、無視しないでよねぇ!」
「お前らいい加減にしろ! アイリスと組みたくないなら今から帰るか?」
「「…………」……ふん」
この姉弟は戦闘力だけは高いけど性格に難があるんだよな。誰に対しても大体こんな態度だ。もう1人のクリスはエリックに惚れていて近づく女には取り敢えず睨み付けるんだけど、何でか俺まで睨むんだよな。俺にそのケは無いと言うのに。
さっさと告って付き合っちまえよ面倒くさい、根性無しが。
『(己れはこれだけ人見知りの癖に)辛辣なのじゃ』
「そう言やアイリス、何時の間に剣を変えたんだ?」
「ん、ちょっと……」
「鞘はどうしたんだ?」
「……崖崩れ……」
「無くしたのか? それは災難だったな」
女が好んで扱うような細剣に対して他のメンバーもからかってこない。流石にエリックに睨み付けられて大人しくなった。
コイツ等が俺に突っかかるのはエリックが俺を傭兵ギルドに誘ったのが切っ掛けだ。誘った責任とか言って世話焼きのコイツが色々教えてくれて、それが気に食わなかったんだろな。
「大丈夫かいお嬢さん、災難だったね」
エリック達と一緒に来ていた他のチームのリーダーっぽいのが話し掛けてきた……のは良いけどお嬢さんてのは俺の事か?
『他に居ないのじゃ』
背が低い所為で女に見えたとしても30半ばだぞ? お嬢さんは無いだろ。銀髪緑目で長身イケメンだな……って言うか顔が近い、キモいんだよ。帽子でも借りておくんだった。村の女達がきゃーきゃー言ってるけどアンタ等俺が男って知ってるよね?
「そいつ男だぞ?」
「うえっ!?」
ビュッ、ドカカッ!!「うわっ!」「痛っ!」
エリックの一言で大袈裟に飛び退いて後ろの奴等を押し倒した。……こんな馬鹿な事で怪我してないよな? 大丈夫か?
「痛ってぇ、何すんだよレイク!」「あたた……」
「うわっ、悪い」
「きゃははははっ、バッカじゃないのぉー?」
「あはははは、ウケるぅ」
「くっくっ……、すまん大丈夫か? そんなに驚くとは思わなかった」
エリックが笑うリズとラストを睨み付けてから謝罪した。ほっといたらまた煽りそうだったしな。――でもお前も笑ってたよな?
「何やってんだよ。仕事前に怪我してないだろうな」
また別の奴等が話し掛けてきた。コイツ等は別チームか、エリック達が4人で後は3人3人のチームだな。
「アイリスはコイツ等とは初対面か?」
「ん」コク
「まあどっちも拠点は別で、此方には最近来た奴等だからな」
「ごほん、では話しを初めようか。俺はレイク、このチームのリーダーだ。今回の3チームと……「コイツはアイリスだよ」……アイリス……さんを含めて俺達が1番ランクが高い。だから今回は俺達が全体のリーダーをやらせて貰う。良いな?」
イケメンが改めて話し初めた。コイツ若いのに(20歳くらいか?)エリックよりランク高いのか。エリックは30歳くらい、ランクは5とこの辺じゃ1番高かったんだけどな。
「ええー? 経験から言ったらエリックじゃないのぉ? この辺詳しいしー」
「いや、俺はそれで構わない」
どっちも間違いじゃないけどエリックはこれ以上揉めたく無くて譲ったか。無駄にマウント取りに争うアホ共もいるからな。
「取り敢えずゴブリンのいた洞窟に向かってから周辺の調査って事になるけど、この辺に詳しい奴はいるか?」
「サージェスだ、俺達はあるぞ。4ヶ月程前だが秋の終わり頃に、洞窟の方は行ってないけど植生調査の依頼で東側は割と広範囲で調べた」
「それで? どうだった?」
「…………んん〜、……そうだな」
質問に難しい顔をする。情報は金になる、何なら話しても問題ないか、必要な情報は何か吟味してるのか。
「ちょっと答えなさいよ! 話しが進まないでしょう!?」
「待てアホウ」
あっ、つい本音が……。何でリズは誰にでもケンカを売るような言い方をするんだろうか。相手によってはケンカになるのに。
「アッ、アホウですって!」
「待ったリズ、貴重な情報は金と一緒だ。それを当たり前のようにタダで貰おうとするな。ケンカを売ってるとしか思えないぞ?」
まだ何かを言いそうなのをエリックが抑え込んでいる。苦労するなアイツも。
「それで、聞きたいのはゴブリンの集落になりそうな場所はあるかどうかなんだが」
一呼吸置いてからレイクが聞くと仲間内で合図をしている。このくらいの情報はタダで出してもらわないと困るぞ?
「ある……な。ただ、ちょっと距離が離れ過ぎてる。此処より西側にそのゴブリンがいた洞窟があるなら東の場所は今回は無関係だと思うぞ」
「ああ、洞窟にゴブリンが出る前に村に被害が出てる筈だ」
「おい言い方。その村の人間がいるんだぞ」
「っ……すまん」
「いえ……」
村人達は顔を青くしながらも真剣だ。自分達の命が掛かっているんだから当然だろう。
「ちょっとどう言う事よ? たまたま村より先に洞窟を見つけて住んでたのかもしれないじゃない」
「……人間の村は道で繋がってるから魔物にとっても見つけやすい。東から来たゴブリンが村を素通りして洞窟に行ったとは考えにくいんだよ」
サージェス達は面倒臭そうにしながらも答えていく。このチームは大人だな。エリック達とも何とか折り合いつけてやってくれそうだ。
「そう言や西側の調査はしてなかったのか?」
「あっちは元々狼系の縄張りだからな。狼系はスタンピードが起こる前に家畜が襲われたり、他にも村人に被害が出る前に分かりやすい兆候があるんだよ」
「その兆候が無かったから調査もしなかった」
「そう言う事だ。――が、ゴブリンに縄張りを乗っ取られてるんだとしたら、それは失敗だったかもな」
難しい顔をしてボリボリと頭をかくサージェスだけど、何でもかんでも調査し尽くす体力は傭兵ギルドには無いだろう。
「それじゃあ3チームに分かれて、ある程度離れて探索しながら洞窟に向かって行こう。洞窟に着いたら一旦合流して周囲を調べたら更に進んで探索って事でどうかな?」
「うん」「良いんじゃないか?」
「途中でゴブリンを発見したらどうする?」
「見つからないように鳥笛を鳴らして呼んでくれ。もしバレたら逃げられる前に殲滅だ」
「数が多くて無理そうなら合流を待って良いか?」
「ああ、勿論。他に何かあるか?」
「イヤ、大丈夫だ」「俺達も」
「……アイリスは?」
「ん、……東は?」
「ああ……そっちがあったな。取り敢えず他の探索が終わってから考えよう。どのくらい時間が掛かるか分からないからな」
「確かに確率は低くても確認はした方が良いか……」
「そうだな」
「もう良いか? 良し、荷物を確認してから行くぞ」
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