第017話 妹救出!!
翌日、本当は昨日の内に妹のねぇねを助けたかったけど、シャルロッテさんが円滑に事を進めるようにするからって待たされたんだよ。……早く助けたいのにもどかしい!
昨日ユミルとも一緒に寝たんだけど俺の方が15cmも背が高いのに頭を撫でて来やがったんだ。ユミルはマリエルの1コ下のまだ9歳、こんな子供にまで子供扱いされてたまるか。これでもかと撫で返してやったぞ、ふふん。
『それ、やり返した事になっとるのかの?』困惑
ランディ兄さんとも一緒に寝ようとしたら何故か逃げるように帰られてしまった。
『ミリアーナにシャルロッテにユミル、それに御者をしとるナージャまで、見事に女だらけじゃからな』
ラン兄は雑貨屋を営んでいてユミルはそのラン兄の所に泊まりながらお手伝いをして稼いでいたらしい。
けど衣食住をラン兄の家で世話になっていて、それでもねぇねの借金の利息を払うのも苦しく、ラン兄もお金を渡していたらしい。
こんな(小さなとは言わない)子供なのにジリ貧で殆ど詰んでる状態なのに頑張ってたんだな。
シャルロッテさんは商工ギルドで情報収集、商業ギルドに騎士団長を連れて妹の契約書の確認をして値段を釣り上げられないように脅し? 牽制して来たらしい。
それから早朝、金髪リリスでシャルロッテさんと騎士団長のドルファン様と言う人と奴隷商に向かった。アイリスだと血縁だとバレて値段を釣り上げられるかも知れないからな。同じ理由でユミルも連れて来てない。
奴隷商はレンガ造り3階建の建物で特に目立つ造りでは無かったけど入り口に警備員の厳ついおっさんが2人立っていた。
騎士の鎧を着込んだ騎士団長と見るからに貴族の格好をしてる超絶美女のシャルロッテさんがいたからあっさり通された。俺じゃ止められたかもしれない。
『子供の入る所じゃなさそうじゃしの』ボソッ
「いらっしゃいませ、本日はどのような御用でしょうか」
太ったちょび髭がシャルロッテさんにゴマすりながら俺を舐めるように見て来た。ぞわぞわって来たよ! 俺が売られる訳じゃないぞ!?
「そうね、家事の出来る女性を見せてくれるかしら。ある程度年がいってる方が、30歳くらいが良いわね」
シャルロッテ様が商業ギルドからの紹介状を渡すとおっさんは中を見て目を見開いている。多分普通じゃない事が書かれていたんだろう。無理矢理書かせたんだろう事が容易に想像出来る。
「ふむ、若い子では無く……ですか?」
「ええ、居ないのかしら?」
「いえ大丈夫です。予算やそれ以外のご希望はごさいますか?」
「そうね、長く使いたいからすぐに解放されるのは外してくれる? 予算は気にしないで良いわ」
安い借金奴隷は借金が返せたら解放されてしまうからな。コレで30歳くらいの女性で大金の借金奴隷か軽犯罪奴隷に絞られる。
「かしこまりました。今集めますのでこちらの客室でお待ち下さい」
秘書っぽい人に案内されて客室に入るとお茶とお菓子を出され、待つ事10分程でさっきのおっさんが5人の女性を連れて入って来た。
っ、3番目に入って来た女性だ。見入ってしまわないようにすぐに逸らしたけど同じ桃色の髪と瞳、顔立ちで直ぐ分かった。俺と同じくらいの背丈で痩せて生気が無くなっているけど生きている、涙が出そうになるのを拳を握りしめて堪えた。
『うーむ、あれがリリィのオリジナル、お主の妹か、やはりお主より背が高いの、痩せておるようじゃが健康には問題無さそうなのじゃ』
同じくらいだよ! 10cmくらい誤差だ誤差!!
『マリエルより10cmも高いって誇ってた気がするのじゃが?』
「お待たせ致しました。条件に合う奴隷は5人、紹介致します」
全員揃いのバスローブみたいな服を着てるな。デブおっさんの合図で1人ずつ順に自己紹介をして来る。
「アンナ、32歳、借金奴隷、780万イェンです。家事全般得意です」
そう言って服を脱いで裸になって健康状態を見せて来た。こう言うものなのか? て言うか妹の裸も見るんだよな? 俺は平気だけどおっさん等には見せたくないぞ?
「サリー30歳です。借金奴隷で借金は860万イェンです。家事全般、特に料理が得意です」
「アネモネ、30歳です。軽犯罪奴隷で、2570万イェンです。宿屋をやっていたので家事全般に読み書き計算も出来ます」
「………………」
「………………」
4人目5人目の紹介は耳に入らなかった。それにしてもねぇねの借金だけ桁が違う、そりゃ生気も無くなるか。
「如何でしょう。この者達は基本的に性奴隷を希望していますが条件次第では普通奴隷として契約出来ます」
はあっ!? ………あっぶねえ!! 声が出るトコだったぜ。何だよ性奴隷って、何考えてんだよねぇね! お兄ちゃんは許しませんよ!!
「1人ずつ個別に話したいわ。席を外してくれるかしら?」
「はい、勿論大丈夫です。但し奴隷には触れないようにお願いします」
「ええ勿論よ」
1人2人と話して行くけど全く入って来ない。早くねぇねと話したいのに。
『焦るでない、このままじゃとボロがでかねんぞ?』
イライラしてたらリリィから声が掛かった。そうだな、落ち着け落ち着け、スゥーーハァーー、スゥーーハァーー。
そしてねぇねの番になった、目の前にねぇねがいる。ヤバい泣きそう。兄弟の中で一番仲良かったからなぁ。ねぇねはお兄ちゃん子でリリちゃんリリちゃんって甘えて来て。
『分かった分かった、分かったから落ち着かんか』やれやれ
「アネモネです。お願いします」
それからシャルロッテさんが主導して話しを聞いていく。出身地から街での生活、軽犯罪借金奴隷となった経緯等だ。辛かったんだなあ、騎士団長に隠れて涙を拭いていく、堪えられなかったよ。
だってあの元気だったねぇねが人生諦めたような生気の無い目でいるんだよ? そりゃ泣くよね? 今すぐ助けるからね?
「それで、性奴隷を希望しているようですけど、どうしてかしら?」
「はい、早く解放されたいので」
抑揚のない感情のこもってない言い方だ。自分がどうせ買われる訳が無いと諦めているのか。
通常の奴隷契約だと月5万イェン、年60万イェン借金から引かれていく。技能によっては増額されるけどねぇねの場合は2570万イェン、多少増額されたところで解放まで30年以上は掛かってしまうだろう。
それだけじゃない、完済する前に働けなくなれば娘であるユミルに借金が行ってしまう。本来なら商業ギルドもそこまで待たずにユミルも奴隷に堕として借金回収に回すんだろうがラン兄が頑張ってたんだな。
「それだけじゃないんじゃない? 娘さんの為、とかね?」
「っ、どうして!」
ねぇねが目を見開いて驚いている。弱みを見せたくなかったのかな。
「ユミルちゃんとこの子はとても仲が良いのよ」
そこで俺に振る!? ねぇねが俺の方を見て目を見開いている。
「どうかしら? この娘に買われればユミルちゃんと会う機会も増えると思うけど?」
「でも、お金が……」
「月20万イェンでどうかしら。20年でほぼ借金も無くなるし、此方から身体を求める事は無いわ」
この金額は契約時、不審に思われない上限になるらしい。俺としては返さなくて良いし商工ギルドでそう契約し直して貰うつもりだけど。正体を教えれば簡単だと思うんだけどシャルロッテさんが疑心暗鬼になっている可能性があるからと反対されたんだよな。
「でも、どうして……?」
「ユミルちゃんの為よ、それでどうかしら?」
「………………お願い……します」
4人目5人目とも話しをしてから店主にねぇねの購入を伝えると驚いていた。通常高額の借金がある奴隷は月極めの貸し出しが基本だからだ。ねぇねは顔が良いとは言え背が低いし32歳、性奴隷としての価値は長くないと思われているらしい。
気前が良さそうに見えたのか手数料を釣り上げようとしたのをシャルロッテさんとドルファン様が睨みを効かせて手続きを済ませた。
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