第039話 屋上で皆んなと鍛練
今日はコレット達とミリアーナと傭兵ギルドの屋上で剣の鍛練をする事にした。5人もいるし下の鍛練場を使って良いかと思ったけど副ギルド長から許可が降りなかった。
「全く、レーナも融通効かないんだから」
「まあまあミリアーナさん。副ギルド長もリリスちゃんを心配しての事なんですから」
ここ数日、周りの過保護っぷりに段々イラついて来てる。人と人との距離が近過ぎてストレスが溜まって来たのかも知れない。ソロに慣れきってた弊害か、体でも動かして発散しないと爆発しそうだよ?
「リリスちゃーん、竹刀持って来たよー」
「んっ」コクッ
柔軟を1時間程やってからなるべく足音を下に響かせないように屋上をゆっくりと走って行く。
「結構走るんですねリリスちゃん」
「そうそう、結構息あがっちゃったよ」
「――ルルも」
「下の鍛練場だとこれにダッシュとか入れたりしてもっとキツくなるわよ? ギルドに効果的な鍛練メニューを教えて貰える授業があるから受けておくと良いわね」
「そうなんですか? ……そっか、じゃあ考えておこっかな」
「ミリアーナさん、それって皆んなで受けた方が良いんですか?」
「そうね、1人1人それぞれに合った鍛練方法を考えてくれるから全員受けた方が良いわね」
「受けようよコレット」
「そうね、今なら余裕があるし近いうちに受けてみよっか」
「ふふっ、そうだね。冒険者の時と違って時間もお金も余裕があるもんね」
水分補給してから精霊剣リリィをゆっくりと振っていく。リリィのアドバイスを聞きながら修正して徐々にスピードを上げる。リリィのアドバイスも初めた頃に比べてかなり細かくなって来たな。
『うむ、当初に比べればかなり良くなっておるからの』
「リリスちゃーん、そろそろ軽く手合わせしない?」
「もう少し、待って」
「真面目ねぇ、まあそうでなきゃソロでなんて生き残れないか。それじゃ私達は先にちょっと手合わせしよっか」
「「「はい」」よろしくお願いします」
周りの声を聞きながらもリリィを振る事に集中していく。一振り一振りにストレスを発散させていくように振っていくと気持ち良くなってきた。
『最後にもう一度突きの練習をしてから身体強化魔法の鍛練に移るのじゃ』
身体強化魔法! 忘れてた、そっちもあったな。今一つイメージが付かないんだよな。
『ならば初めは結果のみをイメージしてみるのじゃ。例えば岩を穿つ突きを放つ、とかの』
そんなんで良いのか? て言うかそんな事出来んのか? そのイメージで突きの練習をすれば良いのか?
『魔力をイメージに乗せての。出来るかどうかはお主次第じゃが出来ん事も無いと思うのじゃ』
ちょっとワクワクしてきたな。言われた通りに魔力とイメージを意識して更に剣を振っていく。そうやってると何時しかストレスも忘れて夢中になっていった。
「リリスちゃーん、そろそろ良いかなぁ?」
「はあっ、はあっ、……んっ……」
どのくらいやってたのか分からないけど大分疲れて来てたし切り上げるか。うーん、でも上手く出来た気が全くしないな。
『初めてすぐ出来るような技術なら皆んな出来ておるのじゃ』
くっ、……まあそりゃそうだな。上級者になる壁みたいなモンだし。
『魔力は長年扱って来とるしリリィが技術面での指導をしとるからの。習得する土台は出来ておるからいずれ覚えるじゃろ』
「随分真剣にやってたわね。何時もこんな感じでやってるの?」
「早く、剣に、慣れたくて、……ふぅ」
「凄い真剣だった」
「それにしても私達は全然ダメダメだったねー。ミリアーナさん強過ぎ」
「そんな事ないわよ。貴女達も真剣に訓練すれば今の私くらいなら2・3年で追い付けるわよ」
ミリアーナは女性傭兵の中では強い方なんだな。けどコレット達も基礎体力はあるし真面目にやればその内追い付けるのかもな。
「私もランク4は見えてたんだけど、ランク5はねえ。世間的にはランク6から人外って扱いだけど、女の私達がランク5に上がるにはそれ並の才能が必要だと思うわ」
「やっぱり体格の差は大きいですよね。高ランクの人達って背が高い男の人達ばかりでしたし」
「ズルい」
本当にな。
「そう言えばリリスちゃんは魔法使えたよね?私達も使えないかな?」
『ふうむ、――――のじゃ』
えっ?……マジかよ。
『嘘を言うてどうするのじゃ』
「えと、……ミリアーナ、身体強化魔法、使ってる。ルル、魔力多そう?」
「「「「ええっ!?」」」」
「なっ、何で分かるのそんな事っ!」
「んにゃ!やめっ」
「魔法……魔法……」
ガクガクとミリアーナに遠慮無く肩を揺らされ目が回りそうになる。て言うか早く誰か助けてっ!?
「ちょっとルル落ち着いて! ミリアーナさんもそんなに揺らしたらリリスちゃん何も答えられませんよ!」
「あっ、ごっ、ごめんねリリスちゃん大丈夫?」
ううん、――頭がグワングワン揺れる。
「反省」
「普通は分からないモノなんですか?」
「そりゃあ魔法の訓練していて気付かれる事はあるだろうし、長年一緒のチームメンバーとかなら身体強化魔法で動きが変わってたら気付くかも知れないけどねえ? 少なくとも私は自分で気付く程の変化は感じてないわよ?」
「「「「………………」」」」
「ん、……何となく?」コテン
皆んなが見て来るけど首を傾げてやり過ごす。て言うかそれ以外に答えようが無い。
「そう言えばサージェスさんがリリスちゃんは索敵能力が凄いって言ってました。観察力が高いのかも」
「ルルとミリアーナさんは分かったけど私とコレットは何かないかな?」
ラビィが期待した目で迫って来た。いや分かるけどね? その気持ちは充分。でも俺に向けられると怖いのよ。リリィ、何か無いのかよ?
『うーむ、今のところ魔法が使える程の魔力は無いのじゃ』
無いんかい!?
「えっと、……ごめんなさい?」
「無いかー、残念」
「あぁ〜、使いたかったぁ!」
肩を落とすラビィとコレット、でも俺が悪い訳じゃないよね? ミリアーナは確かめるように剣を振って、ルルは魔法を使おうとうんうん唸ってる。
「ねえリリスちゃん、使えてる?」
『――――』
「えと、……強く踏み込む時に」
「そう、それにしても何時の間に出来るようになってたのかしら?」
『――――』
「昨日、マッサージしてから……」
「えっ? 何それどう言う事?」
「えっ、えと、――マッサージ、した時、……魔法で、回復。魔力の通り、感じて、みたい」
ミリアーナの圧が凄い。と言うかしどろもどろになってるけど結構喋れてるな俺? ストレスも凄いけど。
「「マッサージ私も受けたい!」」
「ひっ!」
「あっ、私も受けたい」
ラビィとコレットに組み敷かれてルルが呑気な声で追従する。期待に満ちたギラギラした目で迫られて、これ断れないヤツじゃん。
「こっ、怖い……」
「「うわわっ、ごめんなさいリリスちゃん!」」
「ああ、リリスちゃん私もお願いねぇ?」
剣を振りながらミリアーナも追従してきた。……魔力足りるかな?
『リリィが外魔力循環するしかないんじゃないかの?』
――それは避けたいな。
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