第031話 武器屋防具屋、にカリンとデート?
昨日はあれから寮を引き払って傭兵ギルド本館4階、職員用の仮眠室の一屋に移った。荷物は着替えと武器防具くらいだから簡単だったけど、部屋が広くなったなあ。
翌朝カリンに連れられて買い物に行く事に、服はカリンに借りた黄色いワンピースに白のベストを着て上からコートを羽織っている。カリンは160cmある。頭1個半は大きいしミリアーナ並みの巨乳だし当然サイズが合わなくてブカブカだ。
これはこれで目立つだろうけど仕方がない。念の為顔を隠すのに広めのツバがある帽子を被ってる。
ワンピースは何かひらひらしたのが付いているし中にパンツを履いてるけど落ち着かない。膝を紐で結んで足が余り開かない様にさせられてるし歩き辛い。外に出る前から疲れちゃったよ。
「……歩き辛い、です」
「我慢ですよ我慢、女の子のオシャレは我慢との勝負なのです」
そんなの求めて無いんだけど? 女言葉まで強要されるし。
「んふふっ、良いですよリリスちゃん。可愛いです、もうむしゃぶり尽くしたくなりますよ」
「ひっ!」
ぞわぞわって来たよ!?
「ああ、同じ金髪だし可愛い妹が出来た気分です。コレでお姉ちゃんと呼んでくれたら最高なのに」
呼びたくねー、絶対暴走するだろ。て言うか妹か、せめて兄にならないかね? ……ならないか。機嫌が良さそうに俺の周りをクルクル周ってる。目立つ行動はやめた方が良いんじゃないかな?
「最初は剣の鞘を作って貰うんでしたね。まあ仕方がないです。楽しみは後に取っておきましょう」
どうやら服を買ったり食事をしたりしたいらしい。俺にとっては全く楽しみじゃないんだけど。
商店通りを抜けて職人通りに入って行って武器屋に入る。武器屋と言っても種類ごとに一振り二振りあるくらいで置かれてる武器はそう多くない。この町に鍛冶屋は一つしか無いから良し悪しなんて比べようもないからな。
「いらっしゃい、あらあら可愛いらしいお嬢さん達だね。何がお望みかしら?」
お嬢さん扱いを華麗にスルーして俺は布に巻いた精霊剣を出して渡した。ちなみにリリィの意匠は細剣でファンシーなままだった。
『邪剣ぽくならずに良かったではないか』
リリィは機嫌良さそうだな。まあ俺としても本当に邪剣みたいになったら持ってられないから良いけど。
『(受け入れたの、女装させられて色々諦めが付いたのかの?)』
「この、剣の鞘を……」
「コレがアイ……リリスちゃんの剣ですかー。可愛いくて似合ってるけど、こんなの使ってる何て意外です」
俺もこんなの使う事になるなんて意外だったよ? て言うか今アイリスって言おうとしたな。
まあ良い、カリンは前の剣の状態を知らないから見せても大丈夫だろ。エリック達にはカリンがいない所で新しく買ったって事にすれば良いし何とかなるかな。
『この少女向けファンシーな精霊剣を選んで買ったと思われるがの』ボソッ
「あんたぁ、客だよー」
「おうよ、ちょっと待ってな」
「この剣の鞘が欲しいんだってさ」
「おおう、――コイツはまた……偉い、可愛らしいな。で、どんなのが良いんだ?」
「んと、白、……木で……」
金属だと重いからな。色は黒って事にしようかと思ったけど、この剣にはどうあっても合いそうに無いから仕方がない。
「なら4万イェンだな。剣を預けるか型を取っておけば明日の昼には渡せるぞ」
「……型、取る方で」
「毎度あり。んじゃちゃちゃっと型取っちまうからよ」
『今入って来た男、お主が腕を繋げた奴じゃな』
「ふえっ?「んっ?」
ああ、良く覚えてるな。って声出ちゃったじゃねえか。コッチ見てるよどうすんだよ。
『あの時は繋げるだけで傷痕が残っておるハズじゃ。治しておくのじゃ』
何でだよ! 今は俺の命の危機でも何でも無いしやらないぞ!?
『検証の続きなのじゃ。実地でもやっておいた方が良いじゃろ。何、赤く跡が残りそうなのを消すだけなのじゃ。簡単じゃからお主の体内魔力だけで賄えるのじゃ』
て言うか聖女ってバレないように変装してんの忘れたのかよ!?
『あ!』
忘れてたな……どうすんだよコレ。ガッツリ見られてるぞ!?
「もしかしてアンタ、聖「んっ!」ブンブン
「おっ、おう」
「えーっと、リリスちゃんどうしたんですかぁ?」
両手でバツを作って黙らせたけどカリンに気付かれてしまった。武器屋の隅に移動して人目につかないようにした。ああクソ、またリリィの所為で。
『いや、今のは本当にリリィが悪かったのじゃ。すまんなのじゃ』
もう黙ってろ、取り敢えず押し切ってみる。
「えーっと……」
「聖女、違う」
「えっ、でも」
「腕の傷痕……治す、ですね」
「えっ? 今聖女じゃないって……」
「んっ(コクリ)治して良い、ですか?」
「ああイヤ、――この腕の傷痕は聖女様に癒やして貰った俺の誇りだ……です。何時か結婚して子供が出来たら自慢するんで残しておきたい、です」
その聖女偽物だぞ? て言うか男だぞ? 何とも言えない気持ちになるな。
「分かります。ア、リリスちゃんに癒やして貰ったらそうなっちゃいますよね? でもでも、この事は内緒ですからね?」
「おっ、おう」
「リリスちゃんも気持ちは分かるけど正体がバレるような行動は控えて下さいね?」
お前は絶対俺の気持ちを分かってないぞ? その後再度口止めして男と別れて武器屋を出て商店通りに……ってカリンに手を掴まれた。
「リリスちゃん、防具も買わないと」
「ん?」コテン
「今までと同じじゃ何か引っかかる人がいるかも知れないじゃないですか?」
いや、何処にでもありそうな目立たない格好だぞ?
「男が着ける防具としてはありふれてるかも知れないけど、可愛い可愛い女の子のリリスちゃんがそんな格好してたら逆に目立っちゃいますよ?」
ぐっ、無駄な出費が出そう。
「ほらほら納得したら入りましょ。すいませーん防具一式お願いしまーす」
「はぁいどうぞ。2人共かい?」
「いえいえ、コッチの娘です」
「あーらコレまた偉い可愛い子ちゃんだね!」
「そうでしょうとも! うんうん、そうですよね!?」
何故カリンが胸を張る? 強引に隣の防具屋に入れられたら店のおばさんと話し始めてしまった。このお店何時もは旦那の方が応対してくるのに女って事にしてるからか?
「それでですね。この娘が着けて目立たなくて、ちょおーっと可愛い感じになる防具ありますか?」
「うーん、お嬢ちゃんはあんまり重いのは無理だろ? 小さいし子供用で、要所要所を守る。頭はコレ、に胸当て……と胴周りをコレで下は……ってこんな感じかね」
「全然可愛くないですぅ。何ですかコレ!」
「可愛い防具なんて置いといてポンポン売れると思うのかい? それも子供用、そりゃお嬢ちゃんには似合うだろうさ。けど大抵の女の子達も尻込みして避けてくよ」
おばさんがため息を吐きながら正論を吐いていく。でもコレなら今持ってるのとたいして変わらないんだよな。――て言うか今まで着けてた防具も子供用だったのか? 何気にそれが1番ショックなんだけど!?
『――自分が可愛い防具が似合うのは否定せんのじゃな』
「うぬぬ、あれ? コレ金属?」
「ああ、防具は基本金属性だよ。音を消す為に魔狼の皮で覆ってるのさ」
「でも皆んな同じようなデザインじゃ面白く無いと思いません?」
「作り手の手間を考えなよ。同じ形だから作り手もそれを作るのに特化した技術が身に付くってもんなのさ」
今の形になったのも理由があるって事だよな。
「まあ、とは言っても男女で多少の違いがあるんだけどね」
「そうなんですか?」
「まず胸当てが違うね。女性の方が深く丸みがあるし裏に衝撃吸収の為に布を多く入れてある。他にも全体的に丸みを帯びた形が多いかね。男物と見比べれば良く分かるよ」
「おお、本当だ。こうして見るとちょっと可愛くない事も、ないかも?」
「オシャレしたいなら高くつくけど特注にするか自分で改造するんだね。人によっては色々やってるのもいるみたいだし、冒険者はそういう事をしてるのも多いしね?」
確かに奇抜な格好したヤツとかいるよ。でもそんなモン参考にすんなよ?
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