第026話 3人娘に保護される、聖女?
「いや、まあ回復魔法の事も……うーん。まあいざと言う時は頼りになるがな。だが今回期待してるのはそっちじゃない」
「違うんですか?」
「ああ、ウチのギルド長がエルビアの町まで行って戦力の補充に行っててな。折り返して此処まで戻るのに早くとも後1日は掛かる。――で、その補充が来たら残党狩りに参加して欲しいんだ」
「アイリスちゃんてそんなに強いんですか? こんなに可愛いのに!?」
可愛い関係ないよな? って言うかこんな少女達にまでこの扱いって……。確かに肌のハリとか良くなってるとは思うけど、オッサン相手に何言ってんだか。コイツ等目が腐ってるんじゃないだろうか。
「まあアイリスが弱いとは思わんが、今回は索敵能力を買ってるんだ。コッチははっきり言ってかなりの腕だぞ。専門家の俺も全く敵わん」
「ふえ〜、すごーい、アイリスちゃん何でも出来るんだねえ」
よしよしすなラビィ、お前は俺の母親か!?
「で、――どうだ?」
「ん〜……」
面倒だなぁ、でも2日寝てられるなら受けても良いかなあ? 危なくなければだけど。
「お前にはレイク達とガストン達を付けるつもりだから安全は保障するぞ」
「ガストン?」コテリ
「ああ、知らなかったか? 青の城壁ってチーム名で領内じゃ有名なんだが、3人共ランク5の上級者で守りの硬さには定評があるチームだぞ」
「んん〜……、分かったぁ」
ランク5ならレイクに次ぐ上級者だしレイク達も付くなら確かに安全か。
「はあ、……助かる」
「それなら私も残ってアイリスちゃんのお世話をします!」
「「私達も」」
「いや、残ってる冒険者はコッチで厳選したメンバーだけだ。両隣りの村も腕の立つ奴等で固めてる。お前等そこに割って入れる力があるのか?」
「「「うっ」無いです」防具もボロボロ」
「あっ! いや待て、聖女騒ぎもあったな。この村にはまだ兵士と冒険者だけで30人近くいるし。それにこれからエルビアの町からも人が来るか。うーん、……お前等の中に紛れれば少しは目立たないかも知れんか?」
「私頑張ってアイリスちゃんを守って見せます!」
「私もっ!」「頑張る、です」
「あー、なるべく目立たないようにな。一応金についてはウチのギルド長に冒険者ギルドのギルド長を脅し、――説得して出して貰うよう頼んでみるから」
「「「はいっ!」」」
「トラブルになりそうなら助けを呼べ。アイリスも寝ちまったし後は頼んだ。起きたら忘れてるかも知れんから俺の依頼の話しをもう一度説明しといてくれ。じゃあな」
「あっ、本当だ」「何時の間に」「ふふっ。可愛い、子供みたい」
『――子供に子供言われとるのじゃ』呆れ顔
「ふわぁ〜ああ、……んゅっ?」
目を覚ますと部屋では今度はラビィが一緒の布団で寝てた。コイツら貞操観念何処に捨てて来た?
『そう言いながらその年頃の少女に抱き付いて寝とるお主の方は一体どうなっておるのじゃ?』ジト目
精霊剣には悪意を感知する事が出来る能力があるらしくて、この少女達には悪意が無いらしい。そのおかげで俺も警戒せずにいられるんだけど人肌って何か安心するなぁ。
これがねぇねだったら最高なのに、ってもう夕方か、……あれ? 一度起きたような??
『起きておったぞ。後で娘達に話しを聞いておくが良い。それよりも体調はどうなのじゃ?』
んー……うん!?お前また俺に何かしたんじゃないだろうな!
『何もしとらんのじゃ。昨日の事があったから様子見しとったのじゃ。その分じゃと問題無さそうじゃの』
むむっ、まあ……まだダルい、疲れがあるくらいか。でも本当に何もしてないんだろうな?
『我が調整してたら疲れなど残さんのじゃ。それよりも確認したい事があるのじゃが?』
ん? 何だ?
『これまでお主が寝とる間に調整して来たが、精神に何か作用した事は無かったよな?』
んんー……まあ、そうだけど。
『とすると昨日の変化は我の回復魔法と合わなかったのかも知れんと思うての』
……確かに、コイツの清浄過ぎる魔力で気持ち悪くなった事はあったけど、あそこまで性格そのものが変わるのは無かったかな?
『うむ、その確認の為少しだけ試したいのじゃが良いかの?』
ええ〜……イヤだよ、何でそんな事すんだよ。
『お主が怪我した時には我が回復させるしかなかろう?今の内に検証しておきたいのじゃ』
むむ、うーん……、そう言う事なら、……危険は無いんだろうな?
『その為の検証なのじゃ。無論配慮はするから安心するのじゃ。先ずはかすり傷を癒やす程度の魔力を外魔力循環して取り込むのじゃ』
「んっ」
相変わらず不快な魔力だ。それが身体中を駆け巡る、少量だけど自分の心が無理矢理洗われるような気がする。抵抗すると少し胸がムカつくように感じる程度か。
『次は同じ魔力量を回復属性にして送り込むのじゃ。違いがあるか教えるのじゃ』
うっ、気持ち悪い。さっきの2・3割増しくらいか。量が量だけに耐えられるけど。
『ふむ、やはり回復魔法との相性が悪かったようじゃの。慣れれば耐えられるかの?』
無理。
『潔いの、ではもうひとつ検証じゃ。直接回復魔法にして流すのではなく患部で回復魔法に属性変化させてみるのじゃ。取り敢えず指先にの』
おっ、コレならさっきよりはマシだな。初めの時に近いくらいか。
『では最後にお主の魔力のみで患部に回復魔法へ属性変化させてみるのじゃ』
おお、コレなら俺の魔力を勝手に使われる気持ち悪さはあるけど問題無いな。
『成る程、――さてどうするかの』
何だよ、この方法で良いじゃねえか。
『お主の魔力で足りなければ無理じゃろ。それに患部で回復魔法に変えるのは遠隔操作になるから難易度が上がるのじゃ』
それじゃ何の解決にもならないじゃないか。
『お主自身になら大抵の怪我でも遠隔操作でイケるがの。他人の大怪我には無理なのじゃ。精霊剣の能力の範疇を超えておるのじゃ』
他人の大怪我だと遠隔操作では治せない……と。
『本来回復魔法は精霊剣の分野じゃないからの。それにそもそもお主の魔力が全く足らんじゃろ』
うぐ、どうせ俺の魔力は少ないよ。
『うむ、取り敢えずこれからはお主の魔力量を増やすように調整をしていこうかの、多少の怪我ならお主の魔力だけで治せるようになるしの』
そうすればお前が外魔力循環しなくて済むって事か。
『お主自身魔力を使って鍛えるのも重要じゃぞ(結局なんの解決にもならんかったが、わざわざ言わんでええよな?)』
「あれ? アイリスちゃん起きてたの?」
「んっ」コクリ
ラビィも起きたか。っと、立ち上がろうとしたらさっきの魔力の検証の所為かフラっときてラビィの方に倒れ掛かってしまった。
「きゃっ、大丈夫アイリスちゃん!?」
「んっ、……ごめん」
右手に柔らかい感触が、慌てて手を離してラビィの方を恐る恐る見る、けど怒っては無いようでホッとした。
「何かあった? アレ? アイリスちゃんやっと起きたんだ」
「どうしたの?」
「うん、起きたけどアイリスちゃんはまだ本調子じゃないみたい」
ちょっとフラっとしただけなんだけど、何故か皆んなが心配する。そんなにか弱く見えるのか? 35歳のオッサンなのに、何か悲しくなってくるな。
その後お茶を貰いながら色々話しを聞いたら昼間サージェスが来て、俺に2・3日残るように言ったらしい。
それから聖女騒ぎが町で広まるのは時間の問題だそう。冒険者に口止めは出来なかったそうだ。もうあの町にはいられないかな。でもこれからどうすれば良いのかさっぱり検討もつかない。
――ソレもコレも全部この邪剣の所為か。
『(うぬぅ、原因を考えると否定出来んのじゃ!)』
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