第032話 ステータスと旅立ち
「私は飛空挺で麓まで降りたら軍と合流してアデール王国の王都へ向かうわ。レイク達はアイリスちゃんとビアンカお嬢様を連れてレンリート伯爵領の領都まで護衛して頂戴」
「それは、私達もシャルロッテ様と同行した方が宜しいのではないですか?」
「念の為アーダルベルト達を続けて雇ったわ。既に勝敗は決しているし後は何処まで綺麗に終われるか、ね。大丈夫よ」
「――分かりました。無事の帰還をお待ちしております」
「シャルロッテ様よ。お嬢様達を送った後、俺等は戻ってシャルロッテ様に合流した方が良くないか?」
「戦力は足りているわ。此れからは頭脳労働が必要なの。それとも貴方達ルシオスの下に就いてそっちでやっていく?」
レイクはリックの発言に確かにその方がシャルロッテの役に立つかと考えたが、続くシャルロッテの言葉に慌てて首を横に振った。
レイクは自分でも脳筋気味だと理解しているし、リックとトマソンも馬鹿ではないが、戦闘に才があり名を上げて来たのだ。今更畑違いの仕事に就く気は無かった。
アデール王国は東部北部は此方が制圧済み。南部はサルマトール侯爵派閥と内通して引き籠らせている。西部はカントラス王国に睨みを効かせなければならず動けない。後は孤立した王都を含む中央を切り崩すだけになっていた。
「ふふっ、まあ良いわ。でも場合によってはアデール王国を落としたら、向こうに貴方達を呼ぶ事になるかも知れないから心構えはしておいて頂戴」
「了解しました」
「頭脳労働ではないですよね?」
「――勿論よ」
『相変わらず魔力関係の伸びだけ良いのじゃ』
リリィが何故か不満そうに言いながらステータスを教えて来た。伸びてるなら良いじゃないか。
アイリス 9月頭→10月頭
体力量 10→10
魔力量 50→56
筋力量 14→14
瞬発力 20→20
スキル
魔力操作レベル 051→067
火魔法レベル 021→021
風魔法レベル 018→020
水魔法レベル 019→022
回復魔法レベル 058→064
無属性魔法
強化魔法レベル 021→023
念動魔法レベル 023→026
感知魔法レベル 000→007
リリィ ネネェ
[精霊剣魔法レベル1000]
[精霊剣保有魔力 0300]
成人男性平均ー成人女性平均
体力量 20-15
魔力量 5-10
筋力量 20-17
瞬発力 20-18
スキル 魔法使い平均
魔力量 030
魔力操作レベル 025
各属性魔法レベル023
此れを知ると確かに魔法の才能があるみたいだし、そっちを鍛え直しても良いかもな。並みの魔法使いの倍の魔力量に操作レベル、やらない方がアホだろう。
『いや、でも魔力操作も伸びとるし強化魔法を鍛えれば剣術も……』ボソッ
今のところ回復特化だからな。魔力操作レベルが相当上がっているから他の魔法の威力も上がっていそうだし要検証だな。
『聞こえて無いなのー』
『無属性魔法一択なのじゃ! 強化魔法を鍛えて身体強化を、感知魔法で索敵しながら戦えば死角無しなのじゃ!!』
何だいきなり大声出して。
まあ地元に戻ったらねぇねの近くに住んでミリアーナと傭兵としてやっていくとして、実戦とは遠ざかっているからそっちも鍛え直さないととは思うけど。
『うむ! そうじゃろ、そうじゃろ!』
でもいくら強化してもアーダルベルト達の様な力は出せないだろうしなぁ。そう思うと剣術鍛えたりとか、……何か虚しい。
『んなっ! それは上を見すぎなのじゃ!!』
でもミリアーナやナージャさんにも腕力で勝てそうにないし、と言うかビアンカお姉様にも勝てないしな。
実戦じゃ体力不足で回復に魔力を消費させられるから剣士としてやっていくのは厳しくないか?
『ぬああぁああああっっーーーーっ!!!?』
あ、壊れた。
『リッ、リリィー! なのー??』
何とか剣の鍛練は続けると言う事でリリィを正気に戻した。そもそもリリィが居なければねぇねを助けられなかった恩人だしな。ミリアーナと傭兵仕事をするのにも最低限あった方が良いし、……仕方がない。
これからもコイツ等の魔法の支援が無ければ魔力の回復も覚束無いんだ。体力筋力に不安があって補助に魔力を使う必要のある俺にとって無下に出来る相手では無いのだ。
『それだとリリィが無理矢理剣術をやらせとるようじゃないか!なのじゃ!!』
「『…………』」
『何か言うのじゃーー!!』
今夜は久しぶりにナージャさんとミリアーナと寝た。最近はビアンカお姉様やアリアとカチュアとばっかりだったし、今は3人共飛空挺に乗っていてお城には居ないらしいからな。
――全く、女の子は皆んな甘えたがりだよ。
『『…………』』
ついでに久しぶりに上がった回復魔法を堪能してもらう事にした。リリィが渋るかと思ったけど素直に受け入れたな。
『何時もやっておるのにそんな子供みたいな真似せんのじゃ!』
ぷんぷん怒っている様は正に子供なんだよなぁ。見た目が幼い頃のねぇねだし15cm程度の小さい姿だから余計にそう感じてしまう。
『……主も人の事を言えないなのー』ボソッ
そして翌朝、いよいよ帰還である。フォシュレーグ王国とリアースレイ精霊王国は国交が未だ無い為、飛空挺で直接レンリート伯爵領まで行く事は出来ない。
その為今回は一応アデール王国とリアースレイ精霊王国は実質的には国交断絶しているが、正式ではないので目をつむり。アデール王国ブラン侯爵領とビアンカお姉様のレンリート伯爵領の領境まで飛空挺で送ってもらえる事になった。
そこから馬車で5日程でレンリート伯爵領の領都に着く。当初1年の契約であった旅路だが3月から10月迄の凡そ7ヶ月の旅となった。
期間は短くなったが中身は想定外だらけのそれ以上に濃すぎる時間だったと言えるだろう。
メメントリア王国とリアースレイ精霊王国、レンリート伯爵領との契約は恙無く行われた。
フォシュレーグ王国ではなくレンリート伯爵領となったのはフォシュレーグ王国はルードルシア教王国ラージヒルド商業王国の強い影響下にあり、潰される懸念があるからだ。
当初の目的であるコクリコットの治療を終えたのでレンリート伯爵領に帰る事になった。城を出る前に王家一行と別れの挨拶をした。ビアンカお姉様やシャルロッテ様も一緒だ。
「私、魔法いっぱい頑張るのでまた会いましょうねアイリスちゃん」
「――アイリスちゃんなら何れ簡単に行き来出来る様になるかも知れないわね」
「ん」コクリ
コクリコット姫の言葉にチラリとシャルロッテ様を見ると肯定的な意見が出たので取り敢えず頷いておいた。
「アイリスちゃん。アデール王国やカントラス王国で受けた君の回復魔法には体だけでなく心の方も随分と救われた。有り難う」
「んっ、――良かった」
次にスカーレット姫だ。アデール王国にはマリアンヌ様と同じでスカーレット姫も人質として来ていたらしいからな。未だ14歳、アデール王国に来た時は12歳か。色々大変だったんだろうし俺の魔法が役に立ったのなら幸いだな。
「アイリスちゃん。貴方にはコクリコットや私の治療だけでなくドラゴンの事も、……返しきれない程の恩が出来てしまったわ」
そう言ってアプリコット王妃様は深々と頭を下げて来た。
どうしよう、どうしたら良いか名? キョロキョロ周りを見渡しても皆んな見てるだけだ。何かしないとイケないよな? 目の前に頭があるし、――取り敢えず頭を撫でておこう。
『どうしてそうなるなのー?』
『ビアンカが凍り付いておるのじゃ』
王妃様の頭を撫でてたらリリィとネネェから突っ込みが入った。何でだよ!? 皆んな女の子は頭撫でたりしてくるだろ!? ビアンカお姉様だってシャルロッテ様だってミリアーナやナージャさんも良くしてくるぞ!!
ガバッ「んぶっ!?」
「ああ、やっぱり可愛いわ! アイリスちゃん家の子にならない? コクリコットでもスカーレットでも娶って良いから!」
「ちょっ!? お母様いきなり何を言うの!!」
「お母様離れて!! 気持ちは分かりますが空気を読んで下さい! フォシュレーグ王国に怒られますよ!?」
「もうっ、分かったわよ。可愛い妹達の良い嫁ぎ先になると思ったのに」
「「妹じゃなく娘です!!」」
ちょっとグダグダになったが別れの挨拶ではコクリコット姫にスカーレット姫とアプリコット王妃の3人から熱烈なハグをアイリスは受ける事になった。若干コクリコットは恥ずかしそうであったが。
飛空挺に乗り込み空を飛んで王都から徐々に去って行くのを国王ギリアムと宰相カールイスは見つめていた。
「さて、此れから忙しくなりますな陛下」
「ああ、お前も若返ったのだからキリキリ働いてもらうぞ?」
「ええ、陛下を手本として精進致しますよ」
「――くくっ、言うではないか」
これから冬の厳しい風に晒される時期に来ているのに何処か爽やかな春の息吹きの様なモノを感じている2人だった。
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