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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?

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第026話 ドラゴンの治療


「グルルウゥゥッ!」

 そんなアイリスの存在をドラゴンも当然感じ取っていた。

 そのドラゴンは群れ竜の中でも若い個体で3年前に同じくもう一頭の若い個体と序列争いをしていた。熱くなってじゃれあいを超えていた所で精霊樹の領域にもつれあったまま入り込んでしまったのだ。

 精霊樹の神聖な魔力はドラゴンにとっても強大で相容れない魔力だ。普段なら絶対に入らない処だが時既に遅し、ドラゴン達は気付いていないが精霊樹を通して精霊神が天罰を与えたのだ。

 一頭は大怪我を負ったが何とかそのまま逃亡、もう一頭は傷が深く動けなくなってしまっていた。一時は助けを待ったが精霊樹の領域まで来れる者は居なかった。

 精霊神による天罰の魔力が残っている所為か、ドラゴンの持つ優れた自己治癒能力が上手く発揮出来ず。更に精霊樹の清浄過ぎる魔力が不快な気分にさせていた。

 自身の魔力で何とか傷を癒そうにも精霊樹を住みかにしている者達が追い出そうと度々攻撃して来て上手くいかず、余計にイライラさせられていた。

 精霊樹が無ければ火を吐いて焼き払っているのだが、更なる天罰を怖れて耐えるだけになっていたのだ。


 そんな中で精霊樹と呼応するかの様な気配を漂わすアイリスが、自身に向かって歩いて来ているのだ。顔を向け威嚇するのも当然だろう。

「グルルルルゥゥアァアアアアッ!!」

 首を振ってあからさまにアイリスを威嚇するドラゴンに、アイリスの動向を見守っていた全員がその咆哮によって体を凍りつかせた。

「――これ程、とはね」

 ドラゴンな魔力の乗った咆哮には、まるで肉体を縛る効果がある様だった。魔力の多いシャルロッテは自身の魔力を循環させ、ドラゴンの魔力の影響を排除し、冷たい汗を感じながら呟いた。

 他の面々は膝をつき未だ言葉どころか呼吸すらキツい状況だ。さっさと回復したシャルロッテに対しても信奉者のレイク以外は異常者を見る様な目を向けていたのだが。


『ドラゴン苦手なのー』

『ドラゴンは力の象徴じゃからのう』

 ドラゴンの魔力は霊素邪素のどちらにも寄らない。言わばドラゴンと言う独自の魔素だ。霊素を好む精霊にとっては邪素もドラゴンの魔素も相容れないのである。

 精霊樹を住みかにしている精霊達も怯えて隠れているのもその所為で、リリィとネネェのこの反応も当然だった。

「大丈夫、貴方を癒すだけですよ」

 アイリスは自身を満たす清浄な魔力でドラゴンの咆哮の影響を受けていなかった。その咆哮を怯えと取ったアイリスは、自身も魔力を乗せて言葉をドラゴンに向けた。

 にっこりと、いささかも悪意敵意を見せず慈愛を向けるアイリスにドラゴンは困惑していた。

 精霊樹に呼応するかの様な強大で神聖な魔力(リリィ、ネネェ+精霊神の魔力)を持つ何者か、目を向けると小さい生物だ。(足場の所為で)歩く事すらままならない様は余りにも弱々しく映る。

 そのアイリスの言葉は魔力を通して思いとしてドラゴンに伝わっていた。その魔力は神聖さをいささかも失わさず治癒の対象者に優しい魔力へと変えられてドラゴンの目の前に迄来ていた。

「グルルゥ」

 今度の声は威嚇ではない。困惑しながらも興味深そうに見ている。いざとなれば身動ぎ1つで踏み潰せそうな相手だ。冷静になれば誇りあるドラゴンとして警戒するのが恥じと思えて来たのだ。


 清浄な魔力に満ちたアイリスの桃色の瞳には、ドラゴンの怪我の状態がその中身までも見透されていた。そっとドラゴンの足に触れ膨大な魔力で先ず内臓から癒していく。

『ぬおおっ、無茶するでないのじゃああああ!?』

『ネネェの魔力回復が全然追い付かないなのーーっ!!』

 何時もは周囲の魔力を精霊剣を通して自身の魔力に変換してアイリスに送り込んでいた。

 しかし今は精霊樹の魔力が周囲にあり、ほぼ変換が必要無くダイレクトにアイリスに送れているのだが、それでも全く追い付かずリリィとネネェは悲鳴を上げていた。

「ふむ、――仕方がないですね」

 そう呟くとアイリスはリリィ、ネネェを通さず精霊神からの魔力に加え精霊樹の魔力も自身で扱い出して回復に充てる事にしていった。

 ドラゴンの内臓は一部機能不全を起こしていた。それは精霊神の天罰による呪いの様なモノだったが、アイリスの魔力によって解かれ回復魔法へと変えられていく。

「グルルゥ」

 ドラゴンは自身の体が正常に機能が戻され癒されていくのを感じ、その心地良さから目を閉じてアイリスに身を委ね出した。

「痛かったでしょう。……長い間、頑張りましたね」

 アイリスは治療の効率を上げる為にドラゴンの状態を、その受けた痛みから精神まで共有するかの様に情報を吸い上げていた。それはアイリス自身痛みを幻視する程である。

 焼かれた様に痛む内臓、焼けただれた様な皮膚、鱗も再生出来ずにいた。翼も半ばまで裂かれていて血は止まっていても痛々しい。


「精霊神様も、やり過ぎです」

 精霊神ならもっと穏便に済ます事も出来たろうし回復してやる事も出来ただろう。アイリスは精霊神から魔力を受け取りながらも罰としてはやり過ぎだと怒りを露にしていた。

 アイリスのその想いは魔力に乗ってドラゴンにも伝わり、ドラゴンは更に心までも委ねていった。

 そうして精霊神の魔力が解かれ急速に治癒されていく内臓、更に皮膚も癒され裂かれた翼にも膨大な魔力が回復の為に注がれていくのだった。


 清浄で濃密な魔力の奔流は、アイリスの桃色の髪をなびかせながら一際輝かせている。

 その有り様は幻想的で、神聖を帯びてあたかも天使か女神の様にすら見えている。――遠目に見てもドラゴンが回復されていくのが見えるのだ。ドラゴンが大人しく治療されているのも含めて大きなインパクトだった。

 ドラゴンの治療は恙無く行われた。内臓は完治し皮膚も、鱗までは再生していないが焼けただれた部分は真新しい皮膚が出来ている。翼の治療も裂かれた部分を徐々に繋げていって回復させられた。

「グルルゥゥ(感謝する)」

「ふふっ、お大事に」

 一部鱗が生えておらず皮膚が剥き出したがいずれ生えて来るだろう。

 ドラゴンはアイリスに一吠えしてからその巨体を、木々を避ける様にして歩いて行く。そして精霊樹の領域から離れると癒された翼をはためかせ、力強く空を飛び去っていった。






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