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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?

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第015話 暗躍から破綻へ


 国王ギリアムと宰相カールイスは謁見にも使われる大会場でシャルロッテのメモを活用する為に、軍で反ベルドット派となった貴族達と面会していた。

「ではこの内容は事実なのだな?」

「はっ、私の弟は真面目で融通の効かない所がありまして。以前から麓の砦の警備態勢に対する不満を聞かされておりました」

「ふむ」

「弟は賄賂の酒など飲んでられないと常々言っておりましたから、当日も飲んでいなかった筈です。それでも亡くなったのは国の為に命を懸けたのでしょう。その誇りを歪め、王家を貶め様とする行いは、許し難いのです!」

「うむ、確かにそうですな」

「遺族の中でもベルドットの言い分を安易に信じてしまった者達も多くいました。私も悔しいですが子爵家程度では声も上げられませんでした」

「それは私もです。しかしフォシュレーグ王国から多くの傭兵が来る様になって、アデール王国側との認識の違いに今ではベルドット公爵の言い分に疑問を持つ者が多く出て来ているのです」

「軍内部でも、と言う事だな?」

「はっ、高位貴族に知られればどう動くか分からない為、密かに箝口令を出しているので下位貴族と平民出身者に限られますが」

 箝口令を出していても国民にそれだけ広まっていれば高位貴族にも伝わってしまいそうなモノだが、彼等は庶民と接しないし下位貴族に対しても使用人くらいにしか捉えていない為に伝わる事がなかった。

「私は高位貴族の殆んどが生き残った事に常々疑問を持っていたのです。それが奴等は安酒を飲まずに輸入品の高級酒を横流しして飲んでいたからだと知った時は憤慨させられました」

「どう言う事です?」

 宰相の疑問に訴えた男爵家の人間が答える。高級酒は通常王都に持ち込まれてから王家や貴族、商人が購入していく為に睡眠薬を入れられなかった。砦にいた高位貴族達はその酒を横領して飲んでいたから寝入る事もなく逃げのびる事が出来たと言うのだ。

「それに奴等は輸出品のベリージャム等を買い叩かれたと装い差額で女を買ったりもしていて、正にヤりたい放題だったらしいのです!」

「「何だと!?」それは誠か?」

 これには国王も宰相も驚きを隠せなかった。此処5年程メメントリア王国は苦しい生活を余儀なくされていた。アデール王国への輸出品を買い叩かれていたのがその主な理由だ。お陰でランプ用の油等の必需品が満足出来る程輸入出来ずに城でも苦心している程だった。

 3年前に麓の砦と周辺領地を奪われてからは更に苦しくなっていたのだ。


 ベリージャム等の甘味は貴重で庶民ではたまにしか口に出来ない贅沢品であったが、生活必需品の輸入の為に殆んどを輸出に回していたのだ。庶民の僅かな楽しみまで奪って私利私欲に走る様は余りにも浅ましい。

「こっ、こんな状況に国を追い込んでおいて、その責を王家に押し付け更に私欲に走り国を疲弊させるとはっ!! 厚顔無恥にも程がありますぞ!? 陛下っ!!」

「おっ、おう」

 宰相は近年国の財政に苦心しており常々アデール王国への愚痴を溢していた。しかし蓋を開けて見ると実は身内が原因だったとなればこの怒りも当然だろう。しかしそんな姿を見た事が無かった国王は目を丸くして若干引いていた。

「あ、あの野郎~~」

 顔を紅潮させてぷるぷると拳を握る様は親の仇を見つけたかの様であった。



 宰相カールイスが怒りに震えている時、大会場に近衛兵がやって来てベルドットが兵を動かしたと伝令を伝えてきた。

「何だと! ベルドットが!?」

「はっ、今現在他の近衛兵と宰相閣下の兵士達を急ぎ集結させておりますので此処に留まってお待ち下さい」

「ふう~、……しかしタイミングが良すぎるな」

 気持ちを落ち着かせた宰相がギロりと子爵達を睨み付ける。

「わっ、我々は知りません! 無関係です!!」

「それは直ぐに分かるでしょう。しかし、本気で王位を簒奪する気か?」

 一時的に子爵達は近衛兵に拘束される事になった。彼等としても敵対する気は無いし武器も持たず兵士も連れていないので大人しく捕まる事にした。

 今更ベルドット側に付くのもあり得ないし抵抗して反意があると思われても堪らない。そもそも王位簒奪など下位貴族の自分達は全く聞いていない余りにも恐れ多い話しだった。


「これはこれは、ギリアム国王陛下、この様な所におられたのですね。執務室におられなかったのでお探し致しましたよ」

「ナーバロン侯爵か」

 宰相かそう呼ぶ男に率いられたベルドット公爵の手勢と思われる兵士達百人程が大広間に入って来た。近衛兵が30人宰相の兵士が20人程で倍する敵に囲まれてしまった事になる。

「入場を許可しておらぬのに、不敬ではないかナーバロン侯爵よ」

「そちらも何やら揉め事の様で」

 ナーバロン侯爵は宰相の言葉を無視し捕らえられた子爵達を見て考える様に呟いた。待ち構えていた近衛兵や宰相の兵士達が想定以上の数がいたので色々と情報が漏れていたのだろうと考えた。

 どちらも抜刀はしていないが既に互いに臨戦態勢だ。言葉一つで血を見る様な緊張感に包まれている。

 近衛兵は王家に対する忠誠心と腕を見込まれた精鋭だ。いかに相手が倍の数いようとも先手を取れれば蹴散らせるだけの実力がある。しかし倍は倍、国王を危険にさらす事にもなる。

 対するナーバロン侯爵の率いた兵士達も相手の実力は知っている。国王に狙いを定めて戦えば防戦一方にさせて追い込む事は出来るだろう。此方の被害を考えなければ、だが。

「その者達は何の咎で捕らえられているのですか?」

「……その方等には関係の無い事だ」

「いやいや、同じ軍属ですし知らぬ仲ではないので、そう言う訳にもいかないでしょう」

「……陛下、彼等を離して宜しいですか?」

 無手の彼等を解放した処で脅威が増える訳ではない。寧ろ取り押さえている精鋭の近衛兵の手が空き動ける様になる分此方が得だ。それに子爵達がどちらに付くか判断出来るかも知れない。宰相の目から何か考えがあるのを察して許可を出した。

 国王の同意を得て宰相は子爵達に「良く考えて行動しろ」と小声で脅してから解放していった。子爵達は周りを見渡し戸惑う様にいながらも、互いに目を合わせ頷き合いナーバロンの方に歩いて行った。

「災難でしたね。しかし何故捕らえていたのかの説明がありません……、何です?」

 シャキッ! どすっ!「ぐっふぉあっ!!!?」

 ナーバロン侯爵の前まで来た子爵はナーバロン侯爵の剣を抜き股間を目一杯蹴り上げた。

「黙れぇぇ!!! 貴様等の所為でこんな真似をせねばならなくなったのだぞ!! 分かっているのかぁっ!!!」

 吠える様に叫んだ子爵はそのまま抜いた剣で斬りかかり咄嗟に手で守ろうとしたナーバロン侯爵の腕を切り落とした。

「ぎゃあぁああーー!!」

「そうだっ! 死ね! 死ね!! 死ねぇえええ!!!」

 子爵に当てられたのか他の下位貴族達も続いて軍の重鎮達に襲い掛かっていった。


 彼等はシャルロッテの間者の巧みな話術によって、自分達の身内は命を賭けたのに軍上層部によって名誉の死を汚され隠され歪められ王家への恐喝にまで利用されていると教えられていた。

 下位貴族達は庶民と接する機会も多く、市井の話しも良く耳に入る。皆んなが皆んな信じた訳ではないだろうが、その噂話しが世間に広まっている事実は見過ごせなかった。勿論どちらもシャルロッテが流させた噂ではあるのだが。

 この様な強引な王位簒奪が成ってしまえば間違いなく民からクーデターが起きて巻き込まれる。自分達下位貴族には満足な私兵もいないのだから家ごと蹂躙されて終わるだろう。

 仮に王位簒奪が成ったとしてもフォシュレーグ王国やリアースレイ精霊王国に滅ぼされ、適当な人間を王位につけて傀儡国家にされるだろうと噂されていると聞く。

 そしてこの現状、まるで自分達がナーバロン侯爵達を引き入れたかの様しか見えない。ギリアム国王陛下や宰相のカールイス様にも疑われた。

 ――処される。国家反逆罪の片棒を担がされて。疑念を払拭するには命の危険があろうが戦うしかないのだ。

「死ねえっ! この、国賊があぁああーーっ!!!」






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