第023話 祭り上げられる、聖女?
ゴブリン、ゴブリンソルジャーと次々倒して行く。ソルジャーは俺の力じゃ斬り付けても大した傷は付けられ無かったから、それからは牽制で斬る事はあっても基本は突きで刺して始末していった。
今までの片手剣だったら簡単には倒せなかったかな? 重いから何度も突きなんか放てなかっただろうし。そもそもこんな連戦なんて出来なかったしな。
『ふむ、だが慣れて来たようじゃな。まだゴブリンナイトは無理じゃろうしこの辺にしておくかの』
ふへぇ~、……漸くか。俺の体躯じゃゴブリンの攻撃だってまともに喰らえば大ダメージなんだからな? 緊張を強いられてクタクタだよ。
じゃあさっさと安全な所に案内してくれ。もう戦いなんて沢山だ。ゴブリンだってゴブリンソルジャーだってソロには怖いんだぞ?
『分かった分かった、仕方のない奴じゃのう』
ぐっ、別人の精霊とは分かっていても妹の姿で言われると傷つく。妹精霊の案内のままゴブリンを倒しながら移動して行く。コレ安全な所に行ってんだよな?
ちょっと不安にかられながらもそのまま進んで行くと、若い少女達がゴブリンに囲まれながら戦っていた。ちょっと苦戦してるかな? 不意打ち出来そうだし3匹くらいなら安全にイケるから助けるか。
なるべく静かに駆けて近付いて行く。1匹目を後ろから首を斬り裂き、剣を戻して2匹目に背中から心臓に突き刺す。3匹目は少女達が倒していった。
「はあっ、はあっ、ありがとうございます。助かりました」
「んっ」コクリ
『少女が1人倒れておるのじゃ。助けてやらんか』
「ルルッ! ルルッ! 駄目だっ、血が止まらないよっ!!」
「落ち着いてラビィ! 腹の傷だ、……もう、助からないよ」
「何でよっ! 何でこんな依頼受けなきゃイケなかったのよ!? 私達まだランク2なのよっ!! こんな依頼の所為でっ……」
……助からないってよ? 早く村に案内してくれ、流石に疲れたよ。
『お主この状況でよう言うたの? この依頼はお主が始まりじゃろ? 少しは責任を感じんか?』
俺がゴブリンを引き寄せた訳じゃないだろ? 何で俺が責任感じるんだよ。まあ、……可哀想だとは思うけどな。でも此処は敵の真っ只中、感傷に浸っていられる状況じゃないだろが。
『はあ〜、言うてる事は分かるがの。まあ良い。我が回復させる故、精霊剣を持ったままその少女に手をかざすのじゃ』
はあっ? 何だよそんな事も出来んのかよ!? て言うかそれなら早く言えよな!
そのくらいなら実害ないし、さっさと少女達をどかして倒れてる少女の前に座り込み手をかざしていく。
『――素早いの。さっきのは強がりだったのかの? 色々と拗らせとるようじゃからの、コヤツは』ボソッ
少女に手をかざした瞬間、妹精霊がまた勝手に外魔力循環を初めやがった!? そして精霊剣から清浄過ぎる魔力が俺の身体中を駆け巡る!
うぶええええ、何してくれてんだコイツぅー! 相変わらず気持ち悪い魔力しやがって、心が浄化されそうだよっ!?
『我を手放したら神罰を与えるのじゃ。手放すで無いぞ?』
マジかよ、この呪いの邪剣めっ!
涙目になりながらも邪剣の魔力に耐えていると、体の中で清浄過ぎる魔力が更に変質した。ぐぐぐ、コレが回復魔法の魔力、なのか? 更に気持ち悪くなって来たぞ?
少女にかざした手からその気持ち悪い魔力が倒れている少女に向けて放出されていった。
この身体中に流れる清浄な、気色の悪い魔力が少女に回復魔法として吐き出されている。だけどその度に新たに清浄な魔力が精霊剣から俺に送り込まれているこの悪循環……、うぷっ、吐きそう。
「ちょっと何っ……」「えっ?嘘……………」
邪剣から流れてくる清浄過ぎる魔力が回復魔法に悪化して身体中を駆け巡って影響を受けてしまう。洗脳され自分が自分でなくなってしまう。ああ、何もかもが愛おしい、何としてもこの少女を助けなければ。
――って何でだよふざけんな!
くふぅう……、もう俺に出来る事はただただ耐える事だけだ。せめて気を紛らわさないと、回復魔法、俺も使えるようにならないかな。私も、自分の力で少女を癒せるようになりたい。少女の状態に集中する、苦しそうだ、早く治してあげないと。
『血管は繋がったのじゃ。流れた血を魔法で排出しながら臓器の修復をして、あとは皮膚を繋げて、――コレでもう大丈夫なのじゃ』
私の魔力で命の修復が行われて命が救われた。まさに生命の神秘、いずれ聖なる精霊様の力に頼らずともこの奇跡を私自信の力で起こせるようになりたい。
そう思わせるのに充分な出来事で、……あってたまるかぁ!!!
気持ち悪っ、ペッペッ。何が奇跡だふざけんなっつうの! ナチュラルに洗脳して来やがって、今からお前は邪剣だ。いや、初めからだったな悪い悪い。
『洗脳などしとらんのじゃ! お主が歪んでおるからそう感じるのじゃ! 少しはまともに生きるのじゃ!!』
余計なお世話だクソが。ああー気持ち悪い気持ち悪い。
「ルルッ、ルルッ、大丈夫なの!?」
「ラビィ落ち着いて、呼吸も安定してるし苦しそうじゃなくなってる。多分大丈夫だよ!」
「あの! ルルを治してくれたんですよね!?」
「血が足りて無いでしょうから食事を取って安静にさせて下さいね」ニコッ
「はっ、はい! ありがとうございました!!」
「それで、あの、……お金は……」
「いりません、それよりもご自愛ください」
って何言ってんだ俺ぇーー!? 後遺症かっ!? 怖っ、邪剣怖っ!! マジで手放す事考えた方が良くないかコレ!?
『たった今人の命を救ったと言うに邪剣扱いとは、本当に神罰を考えた方が良いのかの?』
おいぃいいーーっ!!? おっそろしい事抜かすなよ! 助けたんだし良いじゃねえか! 悪い事なんもしてねえだろが!!
『んー、まあそうじゃったのう』やれやれ
全く、――とんでもない事を言う邪剣に戦々恐々としたまま歩いて行く。
少女達も怪我した娘は目を覚ましたけど血を流し過ぎて戦えないし、他の娘達も防具がボロボロで此方も戦えそうにない。なので取り敢えず一緒に戻る事にした。
そうしてしばらく歩いていると、ようやく補給場所まで辿り着いた。
此処までくれば安全かな? 補給場所では多くの人が傷つき倒れていた。けどヤラないからな? 分かってんだろうなこの邪剣が!
いや、どうせなら此処でこの邪剣捨ててくか? 誰かが拾いそうだし。
『お主本気じゃな? そんなに神罰を喰らいたいのかの?』
何でだよ! 俺より良い奴に拾われろよ! あっ、そうだレイク何てどうよ??
『良い使い手になるじゃろうが、ひと先ずお主の性根を叩き直さんとな』
マジで何で俺にこだわんの? イジメ? イジメなの? 勘弁してくれよ、俺の小さな体じゃ壊れちゃうよ? マジで呪われちゃった気がするぞ!?
「聖女様、大丈夫ですか?」
「この人達も癒やすんですか?」
振り返るとさっきの少女達が付いて来てた。何? 何なの??
「すいません、何か食べ物ありませんか? この娘血を沢山流しちゃって」
「おいおい、腹ヤラれてるじゃねえか。大丈夫なのかよそのガキ」
「あっはい、怪我は此方の聖女様が癒やしてくれて……」
えっ? 聖女様って誰? もしかして俺の事?? 確かにその娘を治したけど聖女って何? 何言ってんの??
「聖女っ!? アンタ癒やしの祝福使えんのか!! だったらコイツも治してくれっ!!」
強引にオッサンに手を引っ張られ、倒れて寝かされてる別のオッサンの所に連れて行かれる。って痛い痛い、何でそんな強く引っ張るんだよ逃げられねーだろが!
「ほれ、コイツだ。頭から血を流して意識が戻らねえんだ!」
頭が血だらけのオッサンの前に座らせられる。何の罰ゲームだよ。危機迫る表情で詰め寄ってくるオッサン達、怖いんだよ! コレ断ったら斬り殺されるんじゃないか!?
『ふぅむ、確かにこのままだと意識が戻らなくなりそうじゃな』
「ちょっと待ちなさいよ。聖女様が怯えてるじゃない!」
「そうよ、その怪我人以外離れなさいよ! 治すに治せないわよ!」
「「うっ、すまん」」
いや、そもそも治すなんて言ってないんだけど? 少女達とオッサン達に周りにいる奴等まで注目してる。コレ魔力切れとか言って逃げられないよな? どうすんだよオイ??
『任せておれ、この程度なら我の回復魔法の範疇じゃ!』ドヤ顔
ソレが嫌なんだよ! アホが!! いい加減空気読めやコラ!
ああ、でももうどうしようもない。クソ、こうなりゃ邪剣! テメェの呪いの力使ってやらぁ!!
『呪いじゃないと言うとるのじゃ!!』
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