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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?

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第001話 タヒュロス王国へ


 カントラス王国から飛空挺でタヒュロス王国経由でメメントリア王国へ行く事になった。

「この飛空挺が……」

「はい、メメントリア王国との国交が結ばれましたら正式にこの飛空挺が貴国との運航に使われます」

 カントラス王国では4隻の飛空挺が運航に使用されているが小国であるメメントリア王国では1隻だけになる。しかし国家規模はそれ以上の差があり不公平とは言えない。

 スカーレットもその事に不満は無く、寧ろアデール王国やカントラス王国の発展ぶりにリアースレイ精霊王国が深く関わっていて、それが自国にももたらされるかもしれないと感動していたのだった。

 そしてそれをマリアンヌは羨ましそうに見ていた。

 アデール王国にカントラス王国、更に南にも教王国商業王国との付き合いの深い国々に囲まれていてリアースレイ精霊王国を招こうとすれば教王国商業王国に焚き付けられた周辺国に呑み込まれてしまう。

 いかに教王国商業王国に食い物にされていようと、どうにもならない状態に陥っているのがタヒュロス王国の現状なのだ。



 タヒュロス王国に寄るのはマリアンヌ様を送る為で、メメントリア王国にはスカーレット姫を送る為だ。他にもメメントリア王国ではスカーレット姫の妹のコクリコット姫の治療を俺が頼まれている。

 どんな病か知らないけど難病らしいしリリィとネネェに任すしかないな。

『任すのじゃ』『なのー』

 今回はカントラス王国王都の飛空場から飛空挺での旅だ。街中なら兎も角整地されていない道を馬車で長旅はキツいから直接飛空挺で行けるなら文句はない。アリアとカチュアが大変だからな。

『回復魔法がなければお主が一番弱音を吐いておったじゃろうがの』

 聞こえない聞こえない。あー何にも聞こえない。


 朝イチで飛空挺に乗って今は音楽の練習中、リーフを弾きながら歌を歌っている。どうせまた指が痛くなるし疲れるからそうなる前から回復魔法を掛けながらやる。

 迷宮でも歩きながら回復魔法を使っていたし、剣の鍛練中でもダンスや音楽の練習中でも使いまくっているからか殆んど意識しなくても使える様になっているな。

『まあ、継続戦闘能力が上がっておると思えば、……良い事なのじゃ』

『無理矢理納得してるなの。主は回復魔法特化なのー』

『皆まで言うでないわ! と言うか魔法特化であって回復魔法特化ではないのじゃ!!』プンプン

 けど感知魔法は同じ様に使いまくっているけど難しいんだよな。魔力を周囲に薄く満遍なく広げる事は何とか出来る様になったけど、それでも直径10mくらいか?

 薄くすると返ってくる反応も薄くなるから得られる情報も少なくなってしまうのだ。

『念動魔法は魔力のごり押しで出来るが感知魔法は念動魔法の上位魔法と言える魔法なのじゃ。魔力を薄く広げるだけでも魔力操作が甘いと魔力が散ってしまうしの。その少ない反応からでも多くの情報を知覚出来る様にする事が重要なのじゃ』

 魔力を濃くすれば相手にもバレ易いしなぁ。念動魔法の方はそこそこ出来る様になった。体外で自分の魔力を固めて操作するまさに魔力で作る第三の手、石ころを掴んで投げたり相手を殴りつけたり出来るのだ。

『威力は知れとるがの。まあお主が殴るよりは強いかも知れんのじゃ』

『牽制くらいには使えるの、優秀なの』

 お前等誉めてるのか貶してるのか分からんぞ?


『ちょっ、止めるのじゃ! 雑に頭を撫でるでないわ!!』

『あはははは! きゃっきゃ』

 念動魔法は魔力の手だから手の届かない物を動かしたり精霊を掴んだり撫でたりも出来るのだ。リリィが雑にと言うから丁寧に撫でてやる。ネネェは喜んでるからそのままだ。

『いやいやっ、そう言う事でない! 撫でるのを止めるのじゃ!』

『あははぁーー、イヤなら逃げれば良いなのー。リリィは喜んでるなのー』

『ちょっ! おまっ!?』

 そう言う事なら思いっきり撫でてやる。鍛練なんだからリリィも喜んで付き合うだろ。見た目は幼いねえねだからちょっと癒されるな。


 火や風、水魔法は普通石を投げる様に放り投げる事しか出来ない。けど念動魔法を組み合わせると速度や形状を変える事が出来る様になった。その効果は計り知れない。

『とは言え、水を纏って体を洗ったり風で乾かしたりしかしとらんがの』

『平和的で良いなの』

『ぐうっ』

 ネネェはのほほんとしてるけどリリィは悔しそうにしている。せめて戦闘に役立てろと言う事だろう。剣の鍛練はしているんだから良いじゃないか。



「相変わらず可愛らしい歌声ですね」

「ふふっ、そうですね。あの子の演奏には何故か癒されますわ」

 マリアンヌのうっとりした声にビアンカも同意する。アイリスが自身に回復魔法を掛けながら周囲に感知魔法の鍛練の為に魔力を這わせているのが原因だ。

 感知魔法に回復魔法が乗っかってしまっていて、更に歌声や楽器、アイリスから奏でられるあらゆる音から回復魔法が波紋の様に広がって、聞いている者達の心身に染み渡らせていたのだ。

「変わった楽器ですが精霊王国の弦楽器なのですね」

「ええ、子供の練習用ですが。ただ本物はミスリルが使われているらしいので音は全く違うと思いますよ?」

「まあ、ミスリルですか?」

「ええ」

「ミスリルは柔らかいからそういった物には向かないと聞きましたけど、精霊王国には関係ないのでしょうね」

 飛空挺と言う空を飛ぶ超巨大物体を建造してしまう異次元の技術を持つ国家だ。リアースレイ精霊王国以外では馬車か船しか乗り物が無い世界でその底知れなさにスカーレットは驚きを通り越して呆れてしまう程になっていた。


 皆んなが見ている中での演奏も慣れたものだな。まあスカーレット姫は初めてだけど。

 もうスカーレット姫の妹の治療をしたら帰るだけなんだけど、何故今になっても音楽やダンスの練習をしているかと言うとビアンカお姉様に言われたからだ。

 領地に帰ったら報酬に色を付けると言われれば俺も否はない。皆んな誉めてくれるから気分も良いしな。


 その後はアリアとカチュアに付き合ってナージャさんの絵本の読み聞かせ。読み書き覚える為に初めは俺が読んであげてたのにナージャさんに取って替わられたんだよな。

『主読むの拙いなのー』

『口下手じゃからの』

 ナージャはカチュアを膝に抱きながら俺とアリアを左右に絵本を読んでいる。カチュアはちょっと甘えん坊、アリアは逆に甘えるのが苦手みたい。

 ナージャさんは気を使ってどちらも可愛がっている。けどアリアは俺が抱っこしてあげようとしたら拒否されてしまった。遠慮しなくても良いのに。

『(遠慮じゃないのじゃ)』

『(背も近いし恥ずかしがってるなの)』


 読んでいる絵本は町を探検する猫の話しで俺も傭兵になった時に文字を覚えるのに何度も読んだんだよな。確かに面白いけど、読んだ事のある本なんだよなぁ…………すやぁ。

「あらアイリスちゃん寝ちゃったのね」

「良く寝るねアイリスちゃん」

「うん」

「2人はアイリスちゃんと仲良くなった?」

「なったと思う。でもアイリスちゃん忙しそうであんまり一緒に遊べないの!」

「ダンスとお昼寝は一緒だけどアイリスちゃん直ぐ寝ちゃうから」

「そう! アイリスちゃん直ぐ寝ちゃうの。だから何時もカチュアお昼寝でアリアちゃんと2人で話す事になるの」

「剣や魔法の鍛練もあるから疲れてるし、仕方ないんじゃないかな」

「でもでも、アリアちゃんだってアイリスちゃんに魔法習いたいって言ってたじゃない」

「アリアちゃんは魔法を習いたいの?」

「あんまり才能ないみたいだけど、何時かアイリスちゃんの髪の毛を魔法で乾かしてあげたいなって」

「あっ、カチュアもそれやりたい!」

「ふふっ、そっか。それじゃアイリスちゃんの魔法鍛練の時間に一緒に習える様に頼んでみましょうか」

「本当!?」

「……ありがと、ございますナージャさん」

「ええ(皆んなアイリスちゃんには弱いし、アイリスちゃんから頼めば誰も反対出来ないでしょ)」

 アイリス含む子供達に囲まれ顔が弛むのを必死て抑えながらも更なる点数稼ぎに余念がないナージャだった。

 そうして朝イチでカントラス王国を出て昼前にタヒュロス王国のマリアンヌの公爵領領都外れの牧草地に降り立つのだった。



 一方メメントリア王国では先んじてシャルロッテが傭兵達を送り込んでいた。

 山脈の高地にあるメメントリア王国は、元々魔物が少なく狩人が狩りをして大物が出れば兵士が対応していた。しかし数年前から増えて来た魔物に対応が後手後手に回っていた。

 そこに一月程前からフォシュレーグ王国から傭兵達が入って魔物の間引きを積極的に行う様になった。当初は警戒されていたが時間と共に住民達に受け入れられていっていたのだ。

「今は取られた麓の砦手前に簡易の砦を作って兵士達が詰めてるんだろ? アホじゃないか?」

「魔物の間引きに回せって話しだよなあ? 兵士が足りないってアピールだろ?」

 アデール王国に取られていた麓の砦はシャルロッテの手引きによってレンリート伯爵軍が接収していて、メメントリア王国のベルドット将軍は国王の反対を押し切り軍を動かして形ばかりの返還要求をしているのだ。

「んで、やっぱり西か?」

「ああ、他に比べて多いんだよなあ一応」

「でもやっぱ他が少な過ぎるよな? まあそれが何百年と続いているらしいし、問題は無かったんだろうけど」

「まあその辺の調査をするには俺等も数が足りてねえから今は後回しだな」

 シャルロッテに厳選された傭兵達は住民達に聞こえる様に話し合いをしていた。そうやって住民達と交流を深めながら情報収集と情報操作をしていくのだっだ。






第7章始まります。

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