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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?

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第023話 目覚めのアイリス


 ビアンカが動かないのはアイリスが離れた所で寝ていたからだ。近くにいたらアイリスを連れてさっさと避難していただろう。精霊王国の手前アイリスを置いて逃げる訳にはいかなかったのだ。

 精霊王国側は精霊王国側で巫女から何かある可能性を示唆されていたのだが、アイリスの意思を尊重して動く事を事前に申し合わせていた。

 しかしいざその時、当の本人が寝ているとは考えてもいなかった。パーティーの最中なのだから当たり前だろう。

 アイリスが危険地帯にいれば守る為に動けただろうが安全圏で寝ているだけ。ビアンカも遠巻きに見ているだけなのでアイリスが巻き込まれない様にするしかなかった。


 そしてカントラス王国上層部もアイリスと精霊王国の繋がりが見えないながらも、アイリスに対して対応に苦慮していた。

 自らの失態によって魔剣の暴走を許してしまい、危険に巻き込んだと言う事実に凍り付いていたのだ。

「教王国商業王国の連中は逃げたか。流石だが後で何を要求されるか分からんな」

「それよりも精霊王国です。彼等には忠告を受けていたにも関わらずこの失態。しかも今被害を抑えているのも精霊王国の熊獣人達です」

「我等の兵士では邪素がキツすぎて対応出来ん様だな。借りばかり出来てしまうな」

 伝説級の魔武器は現在2本、教王国の勇者が持つ聖剣、商業王国が持っていると言う魔武器、どちらも超大国が所持している。

 それを持つだけで超大国になる訳ではないが他国に誇れる物ではある。何れかに奪われるにしても交渉次第で充分な対価を得られる筈だった。

「素直に巫女に浄化を頼んでおれば良かったか……」

「魔剣がどうなるか分かりませんでしたし結果論です。今は解決に向けて全力で尽くしましょう」



 うーん眠い、怠い。またリリィの所為だな。隙あれば体の調整とか言ってリリィの魔力まみれにしてくる。急に起こされるとその魔力が抜けて無いから怠いんだよ?

 て言うか何で姉姫様に起こされたんだろ? 何か騒がしいし。

『魔剣の邪素に飲まれて兵士が暴走したのじゃ』

 魔剣? 邪素? 暴走?? 何それどう言う状況?? 何か凄そうだけど大丈夫なのか?

『今の所人死にには出ておらんの。熊獣人が抑えておるのじゃ』

 良く分からないけど、取り敢えずビアンカお姉様達の所に行くかな。危険は無さそうだけど、俺はビアンカお姉様の従者だし帯剣もしてるしな。

「ちょっと!? 危ないからそっち行っちゃ駄目よ!!」

 誰かに後ろから抱き止められた。見上げると姉姫様だったが、抱き締めて来たその手は震えていた。

 しかしそれはアルトレイシアだけじゃなく蔓延する魔剣の邪素に大会場にいる多くの人々が畏れを感じていたのだ。



 レストッド宰相は強引に付いて来た第3王子レグラントス含め、幾人かの兵士を連れて姫達の所へ避難誘導の為に向かった。

 そこでアルトレイシア姫がアイリスを抱き止めている所を見て少し逡巡しながらも、先ずは避難だと切り替えた。

「アルトレイシア姫、我々も避難致しましょう」

「えっ、ええ」

「レストッド宰相、お待ち下さい。アイリス様、如何致しますか? 彼方でビアンカ様がお待ちになっておりますが」

 そこにダールトンが割って入って来た。

 俺は当然ビアンカお姉様の下に行く事にした。ビアンカお姉様の護衛なんだから当然だよね?

『そう思うならその眠そうな目をどうにかせんか』

 無理、怠いし眠気も取れない。て言うかこの倦怠感はリリィの調整の所為だろ? ――何故かアルトレイシア姫様が一緒に来ようとしているんだけど、ビアンカお姉様か誰かあっちにいる人と仲良しなのかな?


「アルトレイシア。君も付いて行く気かい?」

「はい。せめてアイリス様が安全な所に着くまでは見届けたいと思います。レグラントスお兄様」

(アイリス様が重要人物なのは分かりました。この国の為にもこれ以上の失態は避けなければなりません)

 アルトレイシアは場合によっては自らがアイリスの盾となって果てる事も覚悟していた。――そんな悲壮な決意とは裏腹に、アイリスは無理矢理起こされた眠気と怠さと戦っていたのだが。

「では僕も付いて行こうかな。妹が体を張っているのに逃げ出すなんて情けない真似出来ないからね」

 レストッド宰相が止めるのも聞かずにアイリスに同行する2人。ダールトン達が周囲を固めた為、遠巻きに兵士を置くしかなかった。


 姉姫様が付いて来たらお兄ちゃんも付いて来た。妹が心配なんだろうね。やっぱり良いお兄ちゃんだなこのイケメン王子。

 ビアンカお姉様の方に歩いていると怪我人達が倒れているのが見えてくる。結構な血が出ているけど死んでないよな? 大丈夫かな? 俺が治した方が良いのかな?

『死んではおらんが、危ないのはおるの』

 誰も回復魔法が使われていないって事は使い手がいないのか? このままじゃ死んじゃうぞ。

『そうじゃの』

 ……これ俺が治すしかないんじゃない?

『見捨てる気が無いのならそうじゃの』

 うーん、眠いし怠いのに……仕方ない。


「アイリス様?」

 アルトレイシアは握っていたアイリスの手に引っ張られて怪我人、それも見るからに重傷者の所に歩いて行く。歩き進むにつれ邪素が濃くなっていきアルトレイシアは毒が体を蝕んでいく様な不快さに、思わず体を強張らせアイリスの手を握り締めた。

「大丈夫かい? アルトレイシア」

「はい、レグラントスお兄様は……」

「キツいはキツいかな? でも僕は話しの種にと迷宮に何度か潜った事があるんだ。その時の感覚に似てる所為か耐えられない程じゃないかな。アルトレイシアは無理しないで、駄目そうなら戻るんだよ?」

「…………はぃ」

 姉姫様はキツそうだな。お兄ちゃんの言う通り無理しちゃ駄目だぞ?

『初めてまともな邪素をくらったのじゃからの。仕方がないのじゃ』

 邪素って迷宮とかにあるヤツだろ? そんなキツいかな?

『迷宮では疲労回復とかでリリィの魔力を使いっぱなしであったじゃろ。リリィの魔力は聖素じゃから邪素を払う力があるのじゃ。今もさっき寝てた時に調整していたリリィの魔力が残っておるのじゃろ』エッヘン!

 その所為で眠いし怠いのに何で偉そうなんだよ。まあ良いや。それじゃリリィの魔力が抜けたらヤバいのか?

『いやお主の魔力量ならこれ以上魔剣に近付かなければ大丈夫じゃろ』

 この姉姫様は大丈夫か?

『まあ命に問題はないのじゃ。魔剣を浄化してしまえば手っ取り早いのじゃが、今は怪我人の手当てが先じゃろ』

 そうだな。て言うか浄化ってのは出来るのか?

『リリィの魔力が聖素をふんだんに含んでおるのじゃ。それを使えば出来るのじゃ』


 取り敢えず怪我人の手当てが先か、俺の回復魔法じゃ無理だしまたリリィの魔力に毒されるのか。

『毒されるとはなんなのじゃ! 毒されるとはっ!!』

 いやだってどうせまた洗脳されちゃうんだろ?

『洗脳じゃないのじゃ! 精霊神様に寄り添った結果なのじゃ!! 有り難がるのじゃ!! 不敬が過ぎるのじゃ!!! 相変わらず何なのじゃお主はああああーーっ!!!』

 うがーーっ!!! と頭をかきむしるリリィを冷めた目で見る。まあ結局やる事は変わらないからな。

 背中を斬られて倒れている兵士の前に膝を付いて片手をかざし、深呼吸してからリリィの回復魔法を受け入れていく。

 それまでの雑多な感情が押し流されて清廉な感情に無理矢理塗り替えられていく感じがする。何時も通り自分が作り替えられる様な不快な感じだ。

 でも今は仕方ない。俺の回復魔法ではまだ完全には癒せない程の重症なのだから。


 気が付くと姉姫様の手が離れていた。まあ両手が空いてる方が良いので別に気にはしないのだけど。

『リリィの魔力は精霊神様と同じく純粋な聖素に近いのじゃ。周囲に漏れるだけで浄化作用があるのじゃ。それで邪素の影響から逃れたのじゃろ』

 成る程、ならこの魔力で周囲を覆えば魔剣ごと浄化出来ると言う事か。俺はリリィの回復魔法を阻害しない様に受け入れながら、自身でも回復魔法を施していく。

 そうすると兵士の傷は見る見る内に塞がり消えていった。重症だった為かその兵士はそのまま気絶してしまった様だけどもう大丈夫でしょう。

 私は直ぐ様他の重傷者達の手当てに移ります。その間も敢えてリリィからの魔力を循環、放出させて周囲を浄化させていきました。



 その光景は正におとぎ話の聖女や天使の様、アルトレイシアは自身の手のひらを見てからまたアイリスを見つめていた。

(あの方が回復魔法、……癒しの御技を発現させてから息苦しかった空気が一変しました。この空気は、まさに精霊神社の巫女様の様です)

 カントラス王国の王族は特別に精霊神社で巫女から定期検診を受けていた。精霊神社は巫女と共に精霊神の加護を受けていて、アイリスの創り出す空気感と酷似していたのだ。

「それを精霊神社の中でもなく城の中で、この様な状況で……、精霊王国が大事にする訳ですね」

 ふとレグラントスお兄様の方を見ると目を見開いてアイリス様を見ていました。これだけ尊い光景を見せられては無理もありません。

 納得してアイリス様の方を見ていると後ろからレグラントスお兄様の「私の女神だ」と言う呟きが聞こえて来ました。

 …………そう言えばアイリス様が男の子だって、まだ言ってませんでした。






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