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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?

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第022話 異変……ですよアイリス様??


 大分踊ったからお菓子とジュースを貰いながら一息つく。ビアンカお姉様の方は見ない、怒られるからね。

『自覚して治さんのは質が悪いのじゃ』

 だってこんなお菓子の山を前にして我慢出来る訳無いじゃんか!

『ビアンカがジトっとした目で見ておるのじゃ』

 何で今言うの? お菓子の味がしなくなるじゃん!?

『まるで子供じゃの』ジト目

 くっ、俺じゃない。お菓子が悪いんだよ?

『言い訳まで子供じゃの』

 うぬぬーー、もぐもぐ。


 その後立食パーティーが始まったが当然お菓子でお腹いっぱいのアイリスは案の定ビアンカにお説教を受けていた。ダールトンに促されてビアンカ達の所に戻ると笑顔で仁王立ちのビアンカが待ち構えていたのだ。

『学ばんのうお主は』

 違う、分かってた。計算の内。

『涙目で言われてものう』

「もう勝手にふらふらしない様にね」

「……あい」

(これでお菓子のテーブルから引き剥がしたし、お姫様から距離を取らせたからトラブル回避も出来るでしょ。後はダールトン様達に任せれば良いわ)

 皆んなは食事を摂りながら歓談してるけど、俺はビアンカお姉様とマリアンヌ様に囲まれているだけで暇になっちゃった。

 お腹いっぱいだし眠気が来て目がシパシパしてくる。

 大会場の端には幾つかの椅子があるテーブル席が設けられている。その一つからさっきの幼いお姫様と目が合って手招きされた。んー、椅子に座れるかな。

『おい、勝手にふらふらするなと言われておったじゃろ』

 勝手じゃない、お姫様が呼んでた。

『ええ~、また怒られる予感しかしないのじゃ』


「アイリスさま、コチラでお菓子をいっしょにしませんか?」

「ん、お腹いっぱい」

「そっ、――そうですか」

 席が空いてるから座ってしまおう。ああ、駄目だ、寝落ちしそう……すやぁ。

((ええ~……))

『はぁ~、コヤツは……、肉体だけでなく精神までも幼くなってるのはリリィの調整の所為なのかの? ……いや、コヤツの場合は元々か??』

「えーっと、お姉様、どうしたらよろしいでしょう?」オロオロ

「……その前に、貴女勝手にアイリス様を招きましたね?」

「う、でも……はい、申し訳ありません」

(後でお母様からお説教でしょうけど、これ本当にどうしましょうか)

 チラリとマドレイシアの隣に座って寝入ってしまっているアイリスを見る、その見目と自由もあってまるでお伽噺に聞く精霊の様に感じてしまう。

 王族の座る席に座り、断りもなく寝入ってしまうのだ。貴族社会において許されるのは上位者か赤子位だろう非常識さがそう思わせた。

 その席には姫2人だけでなく高位貴族の子息令嬢もいたのだが、アルトレイシアが言い含めていたので注目は浴びていたが絡まれると言う事はなかった。アイリスも眠気が優って目に入って無かったのもお互いにとって幸いだっただろう。

 ――それに気付いたビアンカが良い笑顔で見ていた事を除けばだが。


 そしてその光景を見ていたもう一つの集団、カントラス王国の重鎮達は対応に頭を痛めていた。

「アルトレイシアには言い含めてあるのであろう?」

「はっ、それは勿論」

「ならば良い。寝ているだけなら何も起こらんだろう」

「そう、ですな。寧ろ陛下や私達が行けば騒ぎになるかも知れません」

「うむ、子供達だけなら問題あるまい。大人は近寄らせるな、目を光らせておけ。レグラントスも近寄るなよ。今はそれより魔武器のお披露目だ」

「「はい」」

「酷いな父上は、でも良い手応えだったんだよ?」

 ギロリ

「はいはい。流石に寝ているお嬢様を起こして口説く様な真似はしませんよ」

「起きてからもだ。精霊王国がどう反応するか分からんからな」

「……分かりました」

 レグラントスは反発しようとしたが、父親の国王や重鎮達の真剣な視線に頷くしかなかった。



 食事と共に中央のテーブルが片付けられ、集まっていた者達が左右に分かれて前に居るガントナード国王へと視線を集まっていく。

「……さて、先の戦争は多くの被害を出したが思わぬモノを手に入れた。此度の余興としてこの場にお披露目しようと思う」

 レストッド宰相が声を掛け、国王が玉座から立ち上がり話し出した。

「本来なら巫女に浄化して貰ってからすべきかも知れんが、話し合いの結果魔剣の力を肌で感じて貰おうと言う事になった。伝説級の魔武器だ!!」

 パンパン!

 宰相が手を叩くと大広間の出入り口から中央の空いた道を、騎士に連れられた兵士達が歩いて来る。――魔剣を乗せた箱が運ばれて来たのだ。

 魔剣の邪素の影響から少しでも離れる様に長い木で御輿の様に組まれた端を持っているが、それでも兵士達は苦しそうな顔を隠せずにいた。

「兵士のお披露目ではないのだ。顔を隠して入れれば良かったのではないか?」

「申し訳ありません陛下。魔剣の影響か、兵士の教育が足りなかった様です」

 8人の兵士に運ばれる剣一本。組まれた木の重さもあるがそれ以上に邪素が重みを感じさせ歩みを遅らせていた。


 その邪素の影響は周囲にも出ていて、近くを通り過ぎると貴族達も魔剣から大きな力、邪素の穢れた魔力を感じ取り気分を悪くさせていた。

「あれが、伝説級の魔剣か……」

「確かに凄まじい圧を感じる。戦争に影響を及ぼしたと言うのも頷ける話しだな」

「それにしても、何と禍々しい力なのだ」

 多少のざわめきはあるものの、騒ぎ立てる事がなかったのは伝説級の魔武器と言う事が大きい。教王国と商業王国ですら1本ずつしかない代物だ。

 中堅規模のカントラス王国より大きな大国は何十とある。

 そんな中で大陸3本目の伝説級の魔武器を自分の国が手にしたと言うのだから貴族にとってもそんな名誉な事はないのだ。


 迷宮等の邪素にまみれた場所に慣れていれば耐性もあっただろうが持ち運んでいるのは王城の兵士達である。対人戦闘に特化していて訓練も人相手にしかしていないので耐性の無い者達ばかりだ。

 それはまるで極寒の泥沼の中を歩いている様だった。

 魔剣を乗せた御輿を運んでいる兵士達は、放たれる邪素に精神を削られながらも歩き続けていた。

 しかし肉体までも蝕まれる様に感じ、何とか歩みを進めるがその足は思う様に動かなくなっていく。


 そしてとうとう1人の兵士がズブズブと足が沈み混む感覚に取られ、次の足が出ずに前のめりに倒れ込んでしまった。

 周りの兵士達もフォローどころではなく共倒れとなり御輿の上に乗っていた魔剣も転がり落ち、――倒れた兵士にぶつかった。

「ぐあああああああーーーーっ!!!」

 魔剣の持つ強烈な邪素にその兵士は思わず魔剣を遠くへやろうと握ってしまい、邪素に侵されて魔剣をめちゃくちゃに振り回し出した。

「「「きゃーーーー!!」」」

「うわぁ! なっ、何が起こった!!?」

「おい下がれ! 危ないぞ!!」

「兵士は何をしておる! 早く何とかしろ!!」

「「「ぎゃあああーー!!!」」」

 魔剣を運んで動けない他の兵士達には目もくれず立って動いている人間に向かって魔剣を振るう兵士、兵士でもない無手の貴族では相手にもならない。逃げ惑う貴族達が腕を斬られ背中を斬り裂かれ次々と倒されていった。


「なっ、なんだ! 何が起きておる!!?」

「陛下! 先ずは混乱を収めませんと」

「う、うむ。そうだな。よし、戦えない者は逃げろ! 近衛達は構わん! あの暴れている兵士を止めろ!! それと待機している兵士達を呼び込め!!」

「「「はっ!」」」

 目の前の惨状が信じられないと固まっていた国王は宰相の言葉にハッとして指示を出していった。

 王族の近衛達は帯剣していたが王族を守るのが職務である為動かずにいたが、国王の命を受けて魔剣を持って暴れる兵士に向かって行った。



「ああ~、こうなったか……」

 遠目で見ていた熊獣人達は巫女からの警告とアイリスを送り込んだ事から何かが起こるだろうとは考えていた。

「どうするの? 今回の件で死人が出るのは避けた方が良いんでしょ?」

 アイリス絡みだからこそカントラス王国とタヒュロス王国の間を取り持ったのだ。そこに亀裂が入るのはアイリスとの縁を大事にしたい精霊王国の面々からすると避けたい状況だ。

 近衛兵が動いた事でそれ以降の被害は抑えられているが魔剣の濃密な邪素を間近で受ける為に苦しそうだ。 

 そこに熊獣人の3人が参戦した。

「ちっ、邪素にまみれてんな! 長くは打ち合えねえぞ!?」

「何とか魔剣を弾き飛ばせれば良いんだけどな!」

「迷宮で邪素に慣れてる私達でもキツそうね。肝心の愛し子ちゃんは寝てるのよね、……あら?」

 子供達を避難させる為に一緒にいたアイリスも揺すり起こされていた。






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