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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?

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第011話 マリアンヌと王城


 早朝、ビアンカの屋敷に訪れた商工ギルドのギルド長シルブレッドは、アイリスがまだ寝ていると聞くと城に情報収集に行くとあっさり帰って行った。それから夕方になり、シルブレッドはダールトンを連れ再びビアンカの屋敷に訪れていた。

「この度は城からの救出に尽力して頂き有り難う御座います」

「お礼は先程頂きましたわマリアンヌ様」

「私達もその言葉で充分ですよマリアンヌ様」

「おいダールトン」

「どうせ適当な情報を右から左に流しただけだろう」

 形としてビアンカからの依頼でマリアンヌを救出した事になっているが、マリアンヌからも何らかの利益を得ようとしていたシルブレッドを先んじてダールトンが止めた。

 怨めしそうにダールトンを見るがビアンカもマリアンヌ寄りなのを見て大人しく引き下がる事にした。そのくらいの機微も読めなければ商工ギルドのギルド長にはなれないのだろう。


「まあ良い、実はカントラス王国の方もマリアンヌ様の対処には悩んでいたのでね。処刑すれば貴族達の溜飲は下げられますがタヒュロス王国とは修復不可能になりますし」

「そもそも何故戦争なんて起こったのですか?」

 マリアンヌの疑問は当然と言えた。カントラス王国と比べ、マリアンヌのタヒュロス王国は小国でありそもそも国力が違うのだ。リアースレイ精霊王国との取り引きで経済も好調な為、何とかタヒュロス王国もカントラス王国との繋がりを求めていたくらいだった。

 アデール王国の反発を気にして上手くいっていなかったが、アデール王国の様な無茶を言う国でも無かったので戦争の話を聞いた時には余りの驚きでマリアンヌは目眩を起こし倒れてしまった程だった。


「それはアデール王国がマリアンヌ様を人質に取って居た事、近年アデール王国が軍事力の強化を進めていた事が問題視されていて。アデール王国と大きくぶつかる前にタヒュロス王国に牽制として一当てし、双方の反応を見ようとしたのだそうです」

「敵性国家のアデール王国と手を結ばれる前に圧力を掛けようとした?」

「そんな、……私がアデール王国に行った所為で……」

「マリアンヌ様、それは違います」

 顔を青くして震えるマリアンヌをダールトンが直ぐ様否定する。

「アデール王国は覇権国家を目指していました。マリアンヌ様のタヒュロス王国だけでなく多くの近隣諸国がそれなりに被害を受けています。マリアンヌ様の事は後付けの理由に過ぎないでしょう」

「カントラス王国がタヒュロス王国と同盟を組めば良かったのだがな。アデール王国を刺激して全面戦争になる事を恐れたのでしょう」 

「アデール王国は私達フォシュレーグ王国を敵視してると思ったけど?」

「ビアンカ様、確かにそうですが経済の停滞しているフォシュレーグ王国より同じく我々リアースレイ精霊王国との取り引きで発展して来ているカントラス王国の方が脅威に写っているだろうと考えたのでしょう」

 ビアンカの疑問にシルブレッドが答える。更にカントラス王国と小国であるタヒュロス王国はおよそ5倍の国土差があり国力は10倍はあると補足していく。

「半分以下だとは思って居ましたけどそこまで差があったのですね」

 マリアンヌは目をふせて呟く。国の大きさ、自領の大きさは地図が発達していないこの世界では極めて曖昧なものだ。

 では国力をどう判断するかと言うと大きな街の人口と町や村の数等で大まかな戦力や資源を予測すると言う大雑把なものになっている。それでも問題が起きていないのは周囲の国、領地も同様のレベルだからだ。


「だからこそカントラス王国が大敗を喫した理由が分からないのです。メメントリア王国の魔武器の暴走とは聞いているのですがね」

 ビアンカとシルブレッド達の目がマリアンヌに注がれるが心当たりが無いのか困惑して何も言えなくなってしまっている。

「魔武器、ですか。確か魔の森の何処かに曰く付きの魔武器があると言う話しは聞いた事がありますが、詳しい事は分かりません」

「魔武器1つでそこまでの事が起こるか?」

「どうかな? 性質にも寄るだろうが、聖剣並みの魔武器なら有り得るかも知れん」

「伝説級と言われる聖剣並みの魔武器がそう簡単にあって堪るか」

 魔武器とは魔力と親和性と高い武器の事で現在この大陸に知られている伝説級の魔武器は教王国の聖剣と商業王国にもう1本あるのみだとされている。

 アイリスの持つ精霊剣リリィも伝説級の物だが知られていない為数には入れない。


 魔武器は幾つかのランクに分けられていて、魔力の通りが良く強化に使えるのが下級の魔力武器。その上からは魔法の発動を補助出来る魔法武器と言われていて品質によって国宝級、更に伝説級と言われる物迄ある。

「その曰くとやらはどの様なものでしょう」

「分かりませんわ。魔物の手に渡らない様に封印したとは言われていますけど」

「結局何も分かりませんか」

「そもそも本当にその魔武器が使われたのかも分かりませんしな。それよりシルブレッド、タヒュロス王国側の被害の状況を」

「ああ、複数の兵士等から聞いた話しではタヒュロス王国側は大きな被害は出ていないとの事です。ただ国家規模から考えますと楽観は出来ないかと思われます」

 カントラス王国側から見て被害が小さく思えても小国のタヒュロス王国にとっては痛手となる事もあるだろう。


 

「何故マリアンヌを引き渡したのです! 民が納得しませんよ!?」

 カントラス王国王城でグレアム侯爵はガントナード宰相に詰めよっていた。

「静まれグレアム侯爵」

「しかしレストッド宰相」

「ガントナード陛下は対価としてかねてより希望していた飛空挺の増便を一便、受け入れさせた」

「それは……うーむ、内容をお聞きしても?」

 カントラス王国が重要品目としてリアースレイ精霊王国から輸入をしているのは酒、香辛料に化粧品、衣服に紙と多々あるが何れも満足出来る量は輸入出来ていなかった。

 今までは1日に3便だったのが4便に増える。実質25%輸入量が増える事になるが中身が重要だ。

「うむ、紙は現状国で使う分は足りている。香辛料は兎も角砂糖は商業王国と比べて品質に差もあるので多少は増やす。他に主に増やすのは化粧品とドレス、それに酒だな」

 

 宰相としては紙を増やして欲しかった。その紙とは植物から作られる植物紙の事で精霊紙と言う名でリアースレイ精霊王国の独占技術になっていて、現状他の国々は何で出来ているかも分かっていない物だった。

 リアースレイ精霊王国との取り引き以前は木簡や羊皮紙が主流であった。国の主要機関ではその精霊紙を使われているが、一般の商人や下級貴族は未だ木簡や羊皮紙が一般的だ。

 国もその有用性は認めているがそこまで行き渡らせる事は輸入量から諦めていたのだった。

「砂糖、化粧品、ドレス、……王妃様ですかな」

「うむ、酒は陛下だが王妃様にそこまで圧されてはな。せめてご自身でも楽しめる物をと酒を所望された」

 これには宰相も何も言えなかった。王妃が求めた物は貴族女性達が求めて止まない物だ。これを王妃が扱うと言うのは王族への求心力引き上げに直結する。

 男達も無視出来ない影響力があるのだ。その有用性は宰相も認めるしかない。

 リアースレイ精霊王国の商品は何れも驚く程の高品質だ。勿論酒も上手いが空の酒瓶すら高位貴族達がコレクターとして集めてしまう程なのだ。

 これには当初リアースレイ精霊王国も驚いたそうだが、それからは態々意匠を凝らしたガラス細工の様な酒瓶で酒を輸出する様になったと言う裏話もある。

 ガントナード宰相は苦い顔をしているがグレアム侯爵はニヤついている。侯爵は酒好きで酒瓶のコレクターでもあったのだ。


「まあ、元々あの娘に咎がある訳ではありませんからな」

 カントラス王国にとっては極小さな戦いであったのも大きい。武勲を求めるには戦場として不足な為、高位貴族の参加も少なく貴族の被害も少なかった。

「しかし貴族はそれで納得しましょうが民にはどう知らせます?」

「うむ、此度の件は元々アデール王国の覇権主義に対応する為のものであったからな。アデール王国の工作によって被害が出たと発表する」

「敗北を隠さないと?」

「既に広がり初めていて止めようが無い。初手に箝口令を出せなかったのが痛い。今さら下手な口止めをしても政敵に利用されるリスクが高いのでな」

 顔をしかめるグレアム侯爵に難しい顔をしてレストッド宰相が答えた。気位の高い貴族にとって恥を晒す様な真似は耐え難い屈辱だ。それを甘んじて受け入れろと言う事だ。

「まあ、……負けたのは軍で我々ではありませんからな」

 飛空挺の増便による影響と天秤に掛けて他者の責任にすると言う落としどころを見つけたグレアム侯爵だった。実際グレアム侯爵は兵士を出していないし間違いではない。

 民からすれば軍の上層部は貴族で占められているし貴族の時点で同類としか見られないのだが、貴族にとっては貴族社会で言い訳が立てば民の評価など気にする迄もないのだった。

 軍も軍でより下の身分の者に責任を押し付けていく事だろう。


「それと合わせて今回の負けを理由に軍備増強をする事も発表する事になる」

「何と、……」

 軍とは国にとっては金食い虫だが貴族にとっては新たなポストが増えるとも取れる。グレアム侯爵の目が欲望にギラついたが貴族としては当たり前なのでレストッド宰相は受け流し話しを進める。

「民の反発は戦争をした事、負けた事、自国の防衛力に対する不安、大まかに言えばこんなものであろう。戦争をした事負けた事はアデール王国の所為にして防衛力の不安は軍備増強で打ち消す。軍備増強は元々議題にあったしな」

「成る程、確かにそうですな」 

「それとな、いずれ陛下から発表があるが実はアデール王国がフォシュレーグ王国に戦争を仕掛けたが負けたらしい。当面アデール王国も戦争どころではないだろう」

 ガタッ!「なっ! それは誠ですか!?」

「うむ、この情報を流せばアデール王国とこの国が戦争になると言う民の不安は消せるだろう」

 実際には民だけでは無く貴族も不安から解放されるだろう。領地が近い貴族は尚更だ。

 と言うより民の不安と言っているが実際には貴族の不安しか気にしてはいない。王公貴族にとって民など国の方針には従うしかない存在なのだから。






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